大学進学は、日本社会の現状において、「人生を変える大きな選択肢」となっている。
一方で、大学進学をはばむ経済的負担や、学歴社会の壁は、多くの若者にとって、重い課題となっている。
こうした状況下で、注目されているのが、「通信制大学」である。
この「通信制大学」は、まだ一般的ではないため、その特徴や仕組み、学費はどの位かかるのか、そして課題は無いのか、などについて、気になる事もある。
ここでは、少子化や経済的不安が広がる日本において、日本の大学進学を取り巻く現状を理解し、「通信制大学」の可能性と課題を、深掘りしてみたい。
そして、これが、将来どのような役割を果たすことが出来るのか、「誰でも学べる社会」の実現に向けた、新しい道となるのか、などについて見ていきたい。
大学進学を取り巻く日本の状況
日本の大学進学を取り巻く状況は、少子化や経済的格差の影響を受け、大きく変化している。
一方で、いまだに学歴が就職や生涯収入に、大きな影響を与える「学歴社会」が、根強く残っており、大学進学の重要性は、変わらない現実がある。
しかし、進学には、高額な学費や、奨学金という名の借金が伴っており、多くの若者は、経済的な負担を抱えながら、学生生活を送っている現状もある。
さらに、大学生の数が減少する中で、大学自身も存続のために、新たな取り組みを迫られている。
以下では、少子化や不景気が進む日本において、大学進学の現状を理解し、課題と向き合う中で、どのような選択肢があり、どの様に未来の可能性を広げるのか、見ていきたい。
少子化による大学生数の減少と大学経営の課題
日本では少子化が進み、18歳人口が減少している。
どのくらい減少しているのかと言えば、例えば、1990年代(平成2年~平成4年)には、18歳人口が、約200万人を越えていたが、令和5年では、約110万人までと、ほぼ半減している。
引用元:文部科学省 参考データー集
この状況により、大学に入学する学生も減っており、特に、地方の大学では、定員割れが深刻とのこと。
学生が集まらなければ、大学は経営が苦しくなり、最悪の場合、閉校に追い込まれることもある。
大学側は、生き残るため、留学生の受け入れを増やしたり、社会人向けプログラムを拡充したりしているそうだ。
しかし、こうした対策にも限界がある。
少子化は、進む一方なので、どうしても、大学同士の競争が激化する。
「どの大学に進学するか」だけではなく、「この大学は将来も存続できるのか」という視点も、必要になる時代が来ているのだ。
デフレ・不景気で学費が高額に感じる、現代の若者の経済状況
大学の学費は、年々上昇している。
例えば、国立大学の授業料の標準額は、現在、年間約54万円で、4年間で約214万円。
国立大学は、文部科学省により、入学金と授業料の標準額が定められているので、基本的にはその金額に準じる。
ただし、すべての国立大学が、一律の授業料という訳ではなく、標準額から20%を上限として、各大学が自由に授業料を、定めることができる。
私立大学は、年間年間100万円前後、4年間で400万円前後が相場で、100万円以上かかる場合もある。
授業料は、学部によって異なり、文系学部より理系学部の方が、40万円~50万円程度、高い傾向にある。
引用元:文部科学省:(参考2)国公私立大学の授業料等の推移
一方で、日本経済は、デフレや不景気が続いており、家計の収入が上がらない中、学費が高額に感じられるのは、当然であろう。
特に、親の収入が不安定な家庭では、進学をあきらめざるを得ない学生もいる。
また、学費だけでなく、地方から都市部へ進学する場合には、生活費も大きな負担となる。
家賃や光熱費、食費などを考えると、アルバイトをしても、十分な収入を得るのは難しい状況だろう。
そのため、奨学金を利用する学生が増えているのだが、これには「借金」というリスクが伴っている。
このように、進学したい気持ちはあっても、経済的なハードルが高いのが、現実となっている。
奨学金という名の借金と、それが生活や結婚に与える影響
奨学金は、「進学を助ける支援」として利用されているのだが、その多くは、返済が必要な「借金」だ。
例えば、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用する場合は、卒業後に、毎月数万円を10年以上かけ、返済するケースが一般的なのだ。
この「借金」が、社会人生活に、大きな影響を与えることがある。
新社会人は、家賃や生活費に加え、奨学金の返済に追われることが多く、経済的な余裕がなくなっていく。
その結果、結婚や子育てを、先延ばしにする人が、増えることになる。
奨学金が、将来の生活設計に影響を及ぼし、夢や希望を制限する要因になり得るという現状は、進学を検討する際に、しっかりと考慮しなければならない。
それでも根強い学歴社会と、大卒・高卒間の生涯収入差
日本では、いまだに「学歴社会」が根強く残っている。
「高卒」と「大卒」の間には、生涯賃金で、大きな差が生まれると言われている。
一般的な推計データ(男性)では、高卒の生涯収入は約2億1千万円、大卒は約2億6千万円と、約5千万円の差があるとされている。
作成結果の説明
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 生涯賃金など生涯に関する指標
学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の 60 歳までの生涯賃金(退職金を含めない)は(図 21-1)、男性は中学卒 1 億 9 千万円、高校卒 2 億 1 千万円、高専・短大卒 2 億 1 千万円、大学・大学院卒 2 億 6 千万円、女性は中学卒 1 億 5 千万円、高校卒 1 億 5 千万円、高専・短大卒 1 億 7 千万円、大学・大学院卒 2 億 1 千万円となる。
この差は、昇進のしやすさや、専門職への道が開かれる可能性の違いによるものである。
また、学歴は、就職活動でも、大きな影響がある。
特に、大企業では、大学卒業が応募の最低条件になることが多いため、高卒では、選択肢が限られてしまう場合がある。
そのため、多くの親は、学歴を重視し、なんとか子供を大学に進学させたいと考える。
ただし、少子化が進む未来では、学歴社会が変化する可能性もあり、大卒が当たり前になることで、学歴だけでなく、実力や個性が重視される時代が、来るかもしれない。
しかし、現時点では、学歴が収入や就職の選択肢に直結しているため、大学進学の価値は、まだまだ高いと、言えるだろう。
通信制大学とは?
「通信制大学」とは、通学せずにインターネットを活用して授業を受け、学習を進めることができる、大学のことである。
自宅や好きな場所で学習できるため、時間や場所の制約を受けにくく、働きながら、学位取得を目指す人や、学費を抑えたい人にとって、新しい学びの選択肢となっているという。
現在の様な、急速なインターネットの普及、社会人の学び直し(リカレント)などにより、近年、新たに注目されているのが、「通信制大学」なのである。
「通信制大学」は、オンライン大学ともいわれるように、日々通学しなくても、オンラインでの自宅学習を中心とした学びで、通学制大学と同等の、大学教育を受けることが出来るのである。
「自宅がキャンパスから遠い」「まとまった学習時間がとれない」「仕事や家庭と両立していきたい」など、本格的に学びたくても学べない事情がある人々に、広く学びの機会を、提供できる。
さらに、通信制ならではの、さまざまな学習メリットもある。
「通信制大学」は、年々増加する傾向にあり、2022年(令和4年度)現在では、通信教育をおこなっている私立大学は、全国に42校あり、その学生数は、22万人以上となっている。
また、社会人(年齢が23歳以上)の割合は、約83%となっており、多くの人が、何らかの仕事をしながら、学んでいる。
引用元:公益財団法人 私立大学通信教育協会(データ集)
通信制大学の特徴
特徴①:オンライン授業中心
インターネットを通じて、動画講義や教材を閲覧し、学ぶスタイル。
オンデマンド授業が多く、好きな時間に学習可能。
特徴②:学費が比較的安価
一般的な通学制大学に比べ、学費が低く抑えられる場合が多い。
日々の通学のための交通費や、下宿代が不要である。
一般的な通学制大学と、通信制大学の学費を比較すると、おおむね、以下のようになる。
大学種別 | 学 費 |
---|---|
通学制大学 | 年間80万円〜150万円程度 |
通信制大学 | 年間30万円程度~ |
特徴③:柔軟な学習スケジュール
仕事や家庭の状況にあわせて、学習時間が調整可能なため、自分のペースで学習を進められる。
特徴④:ニーズにあった学び方ができる
「大卒資格」のほかにも、「学び直し」や「興味ある分野の知識を深めたい」など、社会人ひとりひとりのニーズにあわせて、きめ細かく、学びの内容や学び方を、選ぶことが出来る。
特徴⑤:幅広い受講生層
高校卒業後すぐの学生だけでなく、社会人やシニア世代も多い。
特徴⑥:スクーリング制度がある場合もある
必要に応じて、対面授業や試験が行われることもある。
特徴⑦:学位が取得できる
通信制大学は、文部科学省から認可された大学であるため、卒業することで、4年制大学の卒業資格(学士号の学位)を取得できる。
通信制大学の仕組み
通信制大学は、インターネットを活用し、自宅など、好きな場所で学べる大学であり、通学の必要がないので、仕事や家庭と両立しながら、勉強できるのが特徴である。
授業は、主に録画された講義動画や、オンライン教材を使用して行われりため、自分のペースで視聴でき、忙しい人でも、スケジュールに合わせて、学習が進められる。
学びの基本的な流れは、講義動画の視聴から始まり、レポートや課題を提出し、単位を取得する。
多くの場合は、学期末にオンライン試験や、提出課題により、成績が評価されるという仕組みだ。
一部の大学では、短期間だけ対面で行う「スクーリング」や、オンラインでのライブ授業も用意されている。
以下は、通信制大学についての、大まかな仕組みである。
- 学習プラットフォーム
大学ごとに用意されたオンラインシステムにログインし、講義動画や教材にアクセス。 - 課題・レポート提出
授業ごとに課題が出され、オンラインで提出。これが成績評価の一部となる。 - 試験の実施方法
オンライン試験のほか、場合によっては指定会場での対面試験もある。 - 学位取得
一定の単位を取得すれば、通学制と同じ学士号が授与される。
在宅で学べる利便性と、働きながらでも学べる柔軟性
通信制大学の利便性と、柔軟性を具体例で見てみよう。
在宅で学べる利便性
通信制大学は、インターネットさえあれば、どこからでも学ぶことが出来る。
たとえば、子育て中の主婦が、子どもを昼寝させている時間に、講義動画を視聴し、夜に課題に取り組む、ということができる。
また、地方に住む学生であっても、遠方の大学に通う必要がないので、自宅で、東京や大阪にある大学の講義を受けられるため、引っ越しや通学費用が不要である。
働きながらでも学べる柔軟性
通信制大学は、社会人が仕事の合間に、学ぶことが出来る仕組みが整っている。
例えば、平日はフルタイムで働き、夜や週末に講義を視聴したり、課題を進めたりすることで、スキルアップを目指す人もいる。
ある学生は、日中は看護師として働きながら、夜に通信制大学で経営学を学び、キャリアアップを実現した。
また、必要に応じて、授業のペースを調整できるため、繁忙期には学習量を減らし、余裕のある時期に集中して学ぶことも可能である。
これらの例から分かるように、通信制大学は、さまざまなライフスタイルに対応し、誰にでも平等に学ぶチャンスを提供してくれる。
学びの機会の平等性
通信制大学は、年齢や背景に関係なく学びを追求できる「平等な学びの場」として、以下の様な、具体的可能性がある。
学び直しの機会を提供
社会人やリタイア後の人々が、新しい分野を学んだり、スキルを身につけたりする場を提供できる。
これにより、キャリアチェンジや、生涯学習の促進につながる。
例: ITやデザインなど、今後の需要が高い分野を学び直し、未経験の業界に挑戦する人が増加している。
働きながら学べる柔軟性
仕事や家庭の都合に合わせ、学習スケジュールを調整できるため、特に、社会人や子育て中の人に適している。
時間的拘束が少ないため、学業と生活の両立が可能である。
例: 通信制大学で学びながら、職場でのキャリアアップを目指している人も多い。
経済的負担の軽減
通学制大学に比べ、学費が安く、住居費や通学費もかからないため、経済的なハードルが低い。
また、アルバイトやフルタイムの仕事を続けながら通えるため、学費を自己負担で賄いやすい。
地方や海外からのアクセス
地方在住者や海外に住む人が、地理的制約を受けず、質の高い教育を受けられる環境を提供できる。
都市部の大学に通うため、引っ越しや交通費が不要である。
例: 離島や海外に住む学生が、通信制大学を通じ、日本の学位を取得している。
多様なバックグラウンドを持つ学生との交流
通信制大学には、年齢や職業、国籍などが異なる幅広い層の学生が在籍している。
このため、通常の大学では、得られない多様な視点や人脈を、得ることができる。
例: 社会人や学生同士がオンラインで意見交換し、実際のビジネスで協力するケースもある。
デジタルスキルの向上
オンライン学習の過程で、デジタルツールの使用に慣れたり、新しいテクノロジーに触れたりすることで、現代社会に必要な、ITスキルを自然に身につけることが出来る。
例: 動画講義やオンライン課題の提出を通じ、自己管理能力や、リモートワークスキルを高めることが出来る。
教育格差の解消
従来の大学教育にアクセスできない、経済的・地理的ハンデを抱えた人々にも、平等に学びの機会を提供することが出来る。
これにより、学歴格差や地域格差の緩和が期待されている。
例: 通信制大学は、奨学金制度や特待生制度を導入し、さらに多くの学生を支援している。
「高等教育の修学支援新制度」などの奨学金・助成金制度がある。
日本の通信制大学の学校事例
日本の通信制大学は、幅広い年代や職業の人々に、高等教育の機会を提供する、重要な存在である。
2022年(令和4年度)時点では、42校が、私立大学通信教育協会に加盟しており、大学ごとに多様なカリキュラムや学習スタイルが整備されている。
そして、通信教育を行っている私立大学は、全国に多く存在し、様々な学部・専攻で学べる環境を提供している。
以下に、主な私立大学と、その特徴を見てみよう。
早稲田大学(人間科学部 eスクール)
特徴:
早稲田大学の通信制課程として設置されている「eスクール」では、ほぼすべての授業をオンラインで受講可能。
卒業すれば、通学課程と同じ学位が取得可能。
学部:
人間科学部(健康福祉科学、心理学など)。
慶應義塾大学(通信教育課程)
特徴:
日本で最も歴史ある、通信教育課程を持ち、法学部と文学部を中心に学ぶことが可能。
スクーリングも組み合わせて学ぶ形式。
学部:
法学部、文学部。
法政大学(通信教育部)
特徴:
多彩な学部構成で、歴史も古い通信教育課程。
通信教育部の卒業生も法政大学の一員として認知される。
学部:
法学部、文学部、経済学部、社会学部。
日本大学(通信教育部)
特徴:
在学生数が多く、多様な専攻が可能。
全国各地で、短期間だけ対面で行う「スクーリング」を実施し、地方在住者でも学びやすい環境。
学部:
法学部、文学部、経済学部、商学部。
東京通信大学
特徴:
比較的新しい大学で、完全オンライン形式の学習が可能。
ITや経済を中心とした、現代的なカリキュラムが特徴。
学部:
情報マネジメント学部、人間福祉学部。
サイバー大学
特徴:
ソフトバンクグループが運営する通信制大学で、ITやデジタル技術を専門的に学べる。
完全オンラインで、授業を受講可能。
学部:
IT総合学部(プログラミング、データ分析など)。
京都芸術大学(通信教育部)
特徴:
芸術系の通信教育課程が充実。
全国で、アートを学びたい人に、門戸を開いている。
学部:
芸術学部(デザイン、絵画、写真など)。
放送大学
特徴:
公共的な性格を持つ大学で、幅広い年齢層の学生が在籍。
全国各地に学習センターがあり、サポート体制が充実。
学部:
教養学部(多分野にわたる科目が履修可能)。
立命館大学(産業社会学部 通信教育課程)
特徴:
社会学的視点から、多分野を学べる環境。
社会人学生も多く、短期間だけ対面で行う「スクーリング」も多様。
学部:
産業社会学部。
武蔵野大学(通信教育部)
特徴:
人間学や仏教文化など、独自性のある教育内容。
オンライン学習と、短期間だけ対面で行う「スクーリング」を組み合わせたカリキュラム。
学部:
人間科学部、仏教学部。
※詳細については、各大学の公式サイトで情報を調べてほしい。
通信制大学を選ぶメリットと注意点
通信制大学を選ぶ際の、メリットと注意点について見てみよう。
通信制大学を選ぶメリット
- 学費が安く、経済的負担が軽い
通信制大学は、通学制大学に比べて学費が大幅に安いのが特徴。
年間10万~30万円程度の大学もあり、経済的負担を抑えながら、学ぶことができる。 - 働きながら学ぶことが出来る
フルタイムやパートタイムの仕事を続けながら、学位取得を目指せるため、キャリアアップや転職の準備に役立つ。
柔軟な学習ペースが許されるため、忙しい社会人や、主婦にも適している。 - 場所を選ばず学ぶことが出来る
インターネットを活用した学習が主流となっており、自宅やカフェ、好きな場所で学ぶことが出来る。
地方在住者や通学が困難な人でも、都心の大学の教育を、受けることが出来るのが、大きな魅力である。 - 多様な学びの選択肢がある
人文科学から工学、ビジネス、福祉まで幅広い分野を学ぶことが出来る。
特に、働きながら専門性を高めたい人や、新しい分野に挑戦したい人にとっては、理想的な環境である。 - 年齢やバックグラウンドに関係なく学ぶことが出来る
入学条件が比較的柔軟で、年齢や学歴に制約が少ない大学も多いため、学び直しや生涯学習を目指す人に、最適である。
通信制大学を選ぶ際の注意点
- 自己管理能力が必要
通学しないため、学習の進捗管理や課題の提出を、すべて自分で行う必要がある。
計画的に学習を進める自己管理能力が、求められる。 - コミュニケーションの機会が少ない
仲間との交流が少なく、孤独を感じる可能性がある。
基本的にオンライン学習が中心で、同級生や教授と直接会う機会が少ないため、人脈を広げたり、議論を深めたりする経験が、得にくい場合がある。 - 卒業までの道のりが長い
1科目ずつ進めるペースが多く、仕事や家庭との両立を優先する場合、卒業に時間がかかることがある。
平均的に、卒業までに、4~6年ほどかかる人が多い。 - 大学の認知度や実績の確認が必要
就職活動において、「通信制」の認知度や評価に、差が出る場合もある。
通信制大学の中には、学位の認知度や教育の質が、大学ごとに異なる場合がある。
卒業後の就職や、キャリア形成を考える際、大学の実績や評判を、事前に調べておくことが大切である。 - スクーリングや試験の有無を確認
一部の大学では、短期の対面授業や試験が、必須の場合がある。
通学が難しい場合は、完全オンライン対応かどうか、確認する必要がある。
通信制大学は、柔軟で経済的な学びの選択肢だが、自分の目標や生活スタイルに合った大学を、慎重に選ぶことが重要である。
通信制大学を選ぶポイント
通信制大学を選ぶ際は、自分の目的やライフスタイルに合った大学を選ぶことが重要であり、以下のポイントを参考にすると、最適な選択が容易になるだろう。
- 学びたい分野やカリキュラムの充実度
通信制大学により、提供されている学問分野や、カリキュラムが異なるため、自分の興味や将来のキャリアに合った学部・学科があるか、確認する。
実務に直結した内容や、資格取得を目指すことが出来るプログラムがあるか、確認する。 - 学費と経済的負担
通信制大学は、一般的に学費が安いが、大学ごとに差があるため、年間の学費や科目ごとの受講料を、確認する。
奨学金制度や、分割払いの有無も、重要な選択基準である。 - 学習スタイルとサポート体制
通信制大学は、オンラインでの学習が中心だが、サポート体制も大学によって異なるため、動画講義やライブ配信の有無など、学習スタイルが自分に合っているか、確認が必要である。
また、チューター制度や質問対応など、サポート体制の充実度も比較することも重要。
※チューターとは、個人指導の教師の事で、チューター制度とは、チューターが、原則1人の学生に対して1人付き、勉学について、サポートを行ってくれるもの。 - 卒業要件と学習ペース
通信制大学では、卒業に必要な単位数や、学習ペースが大学ごとに異なるため、働きながらでも無理なく単位を取得できるスケジュールか確認が必要。
短期間で卒業したい場合は、カリキュラムが、効率的に組まれているかも重要。 - スクーリングや試験の有無
完全オンラインで完結する大学もあれば、短期間だけ対面で行う「スクーリング」や試験が必要な場合もあり、対面が必要な場合、実施場所や頻度が、通いやすいかを事前に調べる。
海外や地方在住の場合は、完全オンライン対応の大学が、適していることがある。 - 大学の評判や卒業生の実績
大学の認知度や、教育の質、卒業後の進路も、選ぶ際の大きなポイントであり、卒業生の進路や資格取得率、企業からの評価を事前に調べておく。
SNSや口コミ、ランキングサイトで、在学生や卒業生の声を、参考にするのも有効である。 - 目的に合った学位や資格取得が可能か
大学卒業資格(学士)の取得が目的の場合は、学士号の取得が保証されているかを確認し、教員免許や公認心理師など、専門資格取得を目指す場合は、対応している大学かどうかも重要。
通信制大学を選ぶ際には、自分の生活スタイル、学びたい内容、将来の目標を明確にした上で選ぶことが大切である。
各大学の公式サイトで情報を調べ、比較検討することで、後悔のない選択をしよう。
少子化時代における通信制大学の未来像と課題
通信制大学の未来像と課題については、少子化により、大学進学率が低下するこの時代において、予測が難しい部分もあるだろう。
しかし、通信制大学は、少子化時代の新たな教育モデルとして、多様なニーズに応えられる可能性を秘めている。
一方で、教育の質や認知度向上など、解決すべき課題も多い現状にある。
未来を見据えた取り組みが、通信制大学のさらなる発展と、個人や社会への貢献につながることに期待したい。
通信制大学の【未来像】
- 多様な学びの場としての進化
少子化により大学全体の入学者が減少する中、通信制大学は、幅広い年齢層や社会人、育児中の親、地方在住者などをターゲットに、学びの場を提供できるだろう。
オンライン技術の進化により、AIを活用した個別指導や、VRを使った実践型教育が、可能になり、学びの質がさらに向上することが、期待されている。 - 生涯学習社会への貢献
働き方の多様化が進む中、スキルアップや、キャリアチェンジを目的とした、学びの需要が増えていくだろう。
通信制大学は、柔軟な学習環境を活かし、社会人が、働きながら学ぶことが出来る、生涯学習の中心的な、存在となるであろう。 - 地域格差の解消
通信制大学は、地方在住者が、大都市の教育機会に、アクセスできる様になり、地域格差を解消する、役割を果たすだろう。
また、地方創生に向けた、専門的な教育プログラムを提供することで、地域の課題解決にも寄与できるだろう。 - グローバル化の推進
通信制大学は、国境を越えた学びを提供できるポテンシャルがあり、海外の学生や、教員と連携したプログラムを増やすことで、国際的な教育機関としての役割も、期待できる。
通信制大学の【課題】
- 教育の質の確保
完全オンライン化によって、利便性が向上する一方、対面教育に比べ、学びの質が劣ると懸念されることがある。
質の高い教材開発や、学生と教員の双方向コミュニケーションを、増やす工夫が求められる。 - 認知度やブランド力の向上
通信制大学は、通学制大学に比べ、知度や評価が低い傾向がある。
卒業生の活躍をアピールするなど、社会からの信頼を得るための、広報戦略が必要である。 - 学生の学習モチベーション維持
オンライン学習では、自己管理が求められるため、学生のモチベーションが、下がりやすいという課題がある。
学習進捗を支援する仕組みや、コミュニティ形成を促す、取り組みが求められる。 - 経営の安定化
少子化で、入学者が減少すると、大学経営が厳しくなる。
多様な学生層を取り込むプログラムの開発や、企業との連携による、収益確保が必要である。 - 資格取得・就職サポートの強化
通学制大学と同等の資格取得支援や、就職サポート体制が、整備されていない場合がある。
これらのサポートを充実させることで、社会的評価を向上させる必要がある。
まとめ
通信制大学は、少子化や経済的格差が進む日本において、学びの新しい選択肢として、徐々に注目されてきた。
自宅で学べる利便性や、働きながら学べる柔軟性を持ち、多くの人に、教育機会を提供する可能性を、秘めているからだ。
しかし、この可能性を、最大限に引き出すためには、いくつかの課題を、解決しなければならないことが、ここでは知ることが出来た。
通信制大学は、まず、教育の質の向上が重要である。
オンライン学習では、通学制大学に比べ、学生と教員の接触が、少なくなりがちである。
この問題を解決するために、AIやオンラインチャットを活用した個別指導や、VRを使った実践的な授業が求められる。
また、学生同士がつながるコミュニティ作りを通じて、孤立感を防ぐ工夫も必要だ。
次に、認知度や社会的評価の向上が、課題である。
通信制大学は、まだ通学制大学ほどの社会的評価を、得ていない場合がある。
この解決には、卒業生の成功事例を広めることや、企業との連携を強化して、実社会で活躍できる人材を、輩出していることを示す必要がある。
また、資格取得や、就職サポートを充実させることで、通学制大学と同等の価値を、提供することが求められる。
さらに、学生の学習モチベーションの維持も、重要なポイントだ。
通信制大学は、自己管理能力が必要となるため、定期的なフィードバックや、学習の進捗をサポートするツールの導入が、効果的である。
また、教員やメンターが、学生をしっかりとフォローする体制を整えることで、途中退学を防ぐことが可能となる。
通信制大学の将来像は、より多くの人が学びにアクセスできる「平等な教育の場」を提供することが挙げられる。
特に、地方在住者や社会人、育児中の親など、従来の通学制大学では、学びにくかった人々が、利用しやすい環境を作ることが、期待されている。
また、国際的な教育ネットワークを構築し、海外の学生や教員と連携することで、グローバルな学びの場へと、発展する可能性もある。
一方で、少子化が進む日本では、大学全体の入学者数が、減少していくことが予想されている。
この中で、通信制大学が生き残り、発展していくためには、多様なニーズに応える、新しい学びの形を、提供し続けることが、不可欠となる。
例えば、地域の課題に取り組む、専門的なプログラムや、生涯学習を支援する、カリキュラムを開発することで、より広い層の学生を、取り込むことができるだろう。
通信制大学は、学歴社会が根強く残る日本において、経済的負担を軽減しながら、大学卒業資格を取得できる、貴重な選択肢である。
その可能性を最大限に生かすため、課題を一つひとつ解決し、未来の教育モデルとして、その役割を果たしていくことが、期待されているのだ。
この様に、通信制大学は、社会の多様化と、教育のデジタル化が進む中で、学びを、より身近で、平等なものにする、大きな可能性を秘めている。
特に、少子化や働き方改革が進む日本では、今後、ますます、その重要性が高まるだろう。
通信制大学は、あなたの新しい学びの一歩を、支える存在になるかもしれない。
「経済的な理由や環境で、学びを諦める必要はない。通信制大学で、あなたの未来を築いていこう!」