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【2025年も続く米の高騰】食料危機時代に自力で栽培できる「代替カロリー源」6選

家庭菜園のイメージ ニュース

「米」の価格高騰が止まらない。

政府は、備蓄米の市場放出を決定したが、果たしてこれで価格は下がるのだろうか?

政府は、インフレ率を「2%」と定め、物価上昇を通じて、30年続いたデフレからの脱却と、持続的な経済成長を目指している。

その影響は、あらゆる製品に及び、日本人の主食である「米」も例外ではない。

現在、「米」の価格(農林水産省がまとめた全国のスーパーでのコメの平均価格)は、3月3日発表の2月17日の週では、「5キロあたり3,939円」となっており、家計への負担は、増すばかりである。

そもそも、日本の食料自給率は低く、災害や国際情勢の変化など、有事の際に、必要な食料を確保できるのか、という不安は拭えない。

こうした状況を踏まえ、一般庶民が、「自ら食料を確保する方法」はないのかを、見ていきたい。

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  1. 米の価格高騰とその背景
    1. 米の価格高騰の現状
    2. 米の価格高騰の背景と要因
      1. ① 生産コストの上昇(肥料・燃料・人件費の高騰)
      2. ② 農家の減少と生産量の減少
      3. ③ 需給バランスの変化(需要の変動)
      4. ④ 政府の政策と影響
      5. ⑤ 世界的な影響(気候変動・国際情勢)
      6. 今後の米価格の見通し
  2. 日本の食料自給率の低さと、有事の際の食料不足リスク
    1. 食料自給率の現状
    2. 食料自給率の推移
    3. 有事の際の食料不足リスク
  3. 「米」にこだわらず命をつなぐ食料とは?
  4. 自力で栽培できる「代替カロリー源」6選
    1. ① サツマイモ(狭い土地でもOK、収穫量が多い)
    2. ② ジャガイモ(狭い土地でもOK、収穫量が多い)
    3. ③ かぼちゃ(長期保存が可能、栄養価も高い)
    4. ④ 小麦・雑穀(ソバ・アワ・ヒエなど)(プランターでも育つが、製粉や調理に工夫が必要)
    5. ⑤ 豆類(大豆・落花生)(タンパク質とカロリーを同時に確保)
    6. ⑥ トウモロコシ(成長が早く、用途が多い)
  5. ベランダや庭でできる作物と栽培方法
    1. 限られたスペースでも育てられる作物と工夫
    2. 水耕栽培やプランター栽培の活用
      1. 水耕栽培(Hydroponics)
        1. 水耕栽培の種類と方法
          1. ① NFT(Nutrient Film Technique)方式
          2. ② 浮き床(Deep Flow Technique:DFT)方式
          3. ③ 垂直型水耕栽培(Vertical Hydroponics)
      2. プランター栽培(Container Gardening)
        1. プランター栽培の種類と方法
          1. ① 一般的なプランター栽培
          2. ② 布袋栽培(Grow Bag Method)
          3. ③ 棚を活用した立体栽培
    3. 水耕栽培とプランター栽培の比較
      1. 選び方のポイント
    4. ベランダや庭で栽培しやすい作物と方法
      1. ① サツマイモ(甘藷)
      2. ② ジャガイモ
      3. ③ ミニトマト
      4. ④ トウモロコシ
      5. ⑤ 豆類(エンドウ・インゲン)
      6. ⑥ かぼちゃ(ミニ品種)
      7. ⑦ 小麦(プランター栽培)
      8. ⑧ 青菜類(小松菜・ホウレンソウ・リーフレタス)
  6. まとめ

米の価格高騰とその背景

近年、日本国内における「米」の価格が上昇している。

その背景には、「生産コストの上昇」「農家の減少」「需給バランスの変化」「政府の政策」「世界的な影響」といった、さまざまな要因が絡み合っている。

この現状を、少し詳しく見ていこう。

米の価格高騰の現状

かつては、「5kgあたり2000円台」で購入できた「米」が、現在では、「5kgで4000円」を超えるケースもある。

特に、ブランド米や高品質米は、価格が上がりやすく、家計に大きな影響を与えている。

また、スーパーでは、値上がりを抑えるために、低価格帯の商品を取りそろえているが、それでも全体的な価格上昇は、避けられない状況にある。

下記は、農林水産省がまとめた、全国のスーパーでの「米」の平均価格である。

このグラフを見ると、2025年(令和7年)2月17日の週では、「5キロあたり3,939円」となっており、前年同じ時期と比較すると「94%のプラス」で、ほぼ倍の値段になっている。

スーパーでの販売数量・価格の推移(POSデータ全国)(PDF : 343KB)

出典元:農林水産省 スーパーでの販売数量・価格の推移(令和7年3月3日)

米の価格高騰の背景と要因

「米」の価格高騰の背景には、「異常気象」「需要の変化」が、「米」の供給と価格に影響を与えていると考えられる。

要因としては、「猛暑による生産量減少」「インバウンド需要の拡大」「家庭での消費減少」などがあげられるが、これだけではなく、様々な要因が重なった結果として、発生している。

その主な要因について見ていこう。

① 生産コストの上昇(肥料・燃料・人件費の高騰)

  • 肥料価格の高騰
    肥料の原料であるリン酸やカリウムは、海外からの輸入に依存している。
    しかし、ウクライナ情勢の影響や原料価格の高騰により、肥料価格が2〜3倍に上昇。
    これが「米」の生産コストを押し上げている。
  • 燃料費の上昇
    田植え機やコンバインなどの農機具を動かす燃料(軽油)の価格が上がり、収穫・運搬コストが増加。
  • 人件費の増加
    農業従事者の高齢化により、労働力不足が深刻化し、人件費が高騰している。

② 農家の減少と生産量の減少

  • 米農家の減少
    1960年代には300万戸以上あった米農家は、現在では100万戸以下にまで減少。
    特に後継者不足が深刻であり、離農が進んでいる。
  • 作付面積の減少
    都市開発や高齢化により、耕作放棄地が増加し、「米」の生産量が減少。
  • 兼業農家の増加
    「米」だけで生活するのが難しくなり、農業を縮小する農家が増加している。

③ 需給バランスの変化(需要の変動)

  • 「米」の消費量の減少
    日本人の「米」の消費量は減少傾向にある。
    1960年代には1人あたり年間118kgだったが、現在は50kg程度。
    パンや麺類の消費が増え、「米」の需要が減少している。
  • ブランド米の人気と価格差
    安価な「米」よりも、「新潟コシヒカリ」や「北海道ゆめぴりか」などのブランド米が人気を集め、それらの価格が上昇。
  • インバウンド需要の拡大
    訪日外国人が和食人気の高まりから、「日本米」を求められている。
    高級寿司店・飲食店向けの需要が増加(観光地の飲食店で国産米の使用量増加)、宿泊施設での朝食提供(旅館・ホテルが国産米の需要を拡大)がある。

④ 政府の政策と影響

  • 減反政策の終了(生産調整の廃止)
    2018年に政府が「減反政策(コメの生産制限)」を廃止。
    これにより「米」の生産が自由になったが、農家の経営判断による生産のばらつきが発生。
  • 政府の備蓄米放出
    政府は、価格抑制のために備蓄米を放出するが、その量には限りがあり、大幅な値下がりにはつながらない可能性がある。

⑤ 世界的な影響(気候変動・国際情勢)

  • 気候変動による不作
    高温障害や台風、豪雨などの影響で、「米」の品質低下や収穫量の減少が発生。
  • 国際情勢(ウクライナ危機など)
    肥料や燃料の供給が不安定になり、価格高騰を引き起こしている。
  • 輸出の増加
    日本産の「米」が海外で人気となり、特に中国や香港向けの輸出が増加。
    国内市場の供給が減ることで、価格上昇につながっている。

今後の米価格の見通し

政府が備蓄米を放出しても、生産コストの上昇が続く限り、大幅な値下がりは期待しにくいだろう。

長期的には、農家の減少や気候変動の影響で、さらに価格が上がる可能性もある。

一方で、低価格帯の「米」や外国産米への需要が増えることで、消費者の選択肢は、広がるかもしれない。

そこで我々が考えなくてはならないのは、今後も「米」の価格動向には注視しながら、家庭での食料確保や代替手段の活用であり、有事の際の対策を、個人レベルで考えていくことが、求められているのかもしれない。

日本の食料自給率の低さと、有事の際の食料不足リスク

日本の「食料自給率」は、近年低下傾向にあり、食料安全保障上の懸念が高まっている。

特に、有事の際の食料不足リスクが指摘されている。

以下に、具体的なデータとその出典を挙げながら見ていこう。

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食料自給率の現状

農林水産省のデータによれば、令和5年度の「カロリーベースの食料自給率は、38%」で、前年度と同水準である。

これは、国内で消費される食料のうち、「38%」が、国産で賄われていることを示している。

「生産額ベースの食料自給率は61%」で、前年度比3ポイントの上昇となった。

カロリーベースの食料自給率については、小麦の生産量増加や油脂類の消費量減少がプラス要因となる一方で、てん菜の糖度低下による国産原料の製糖量の減少がマイナス要因となり、前年度並みの38%となりました。カロリーベースの食料国産率についても、前年度並みの47%となりました。なお、飼料自給率は、前年度比+1ポイントの27%となりました。

生産額ベースの食料自給率については、輸入された食料の量は前年度と同程度だが、国際的な穀物価格や生産資材価格の水準が前年度と比較して落ち着き、輸入総額が前年度比で減少(特に、畜産物、油脂類(飼料、原料を含む)の輸入総額が減少)したこと等により、前年度比+3ポイントの61%となりました。生産額ベースの食料国産率についても、前年度比+2ポイントの67%となりました。

令和5年度食料自給率について(PDF : 272KB)

引用元:農林水産省 日本の食料自給率

食料自給率の推移

過去数十年にわたり、日本の食料自給率は、低下傾向にある。

農林水産省の、食料自給率の推移に関するデータによれば、1965年(昭和45年)には、「カロリーベースで73%」だった自給率が、2022年(令和5年)には「38%」まで低下している。

我が国の食料自給率は、米の消費が減少する一方で、畜産物や油脂類の消費が増大する等の食生活の変化により、長期的には低下傾向が続いてきましたが、2000年代に入ってからは概ね横ばい傾向で推移しています。

食料自給率の推移

総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等(EXCEL : 54KB)

引用元:農林水産省 日本の食料自給率 食料自給率の推移

有事の際の食料不足リスク

食料自給率の低さは、有事の際の食料不足リスクを、高めることになる。

近年の「新型コロナウイルス感染拡大」や、「ロシアによるウクライナ侵攻」などの国際情勢の変化は、食料供給の不安定化を招いている現状がある。

農林水産省は、これらのリスクに対応するため、「食料供給困難事態対策法」を、令和6年の通常国会で成立させ、平時からの対応を強化している。

「食料供給困難事態対策法」については、農林水産省で公表されている、下記の資料を参考にして頂きたい。

近年、世界的な食料需給の変化と生産の不安定化により、食料供給が大幅に減少するリスクが高まる中、食料供給が減少し、国民生活・国民経済に影響が生じる事態を防止するため、平時からの対応に始まり、必要な対策を政府一体となって早期から措置を行う「食料供給困難事態対策法」が令和6年の通常国会で成立しました。

PDFはこちら(PDF : 368KB)

食料供給困難事態対策法のポイントを示した資料は以下をご覧ください。
<概要資料>
食料供給困難事態対策法の概要について(令和7年3月)(PDF : 1,284KB)

<概要資料(リーフレット版)>
食料供給困難事態対策法について(令和7年3月)(PDF : 302KB)

引用元:農林水産省 食料供給困難事態対策法について

さらに、気候変動による農作物の不作や、世界的な食料需給の変化も、食料供給に影響を及ぼす要因とされている。

農林水産省は、これらのリスクを分析・評価し、「食料安全保障」の確立に向けた施策を、検討している。

食料は人間の生命の維持に欠くことができないものであるだけでなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものです。全ての国民が、将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにすることは、国の基本的な責務です。

このため、平成11年7月に公布・施行された「食料・農業・農村基本法」においては、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄を適切に組み合わせ、食料の安定的な供給を確保することとしています。また、凶作や輸入の途絶等の不測の事態が生じた場合にも、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保しなければなりません。

世界的な人口増加等による食料需要の増大、気候変動による生産減少など、国内外の様々な要因によって食料供給に影響を及ぼす可能性があり、食料の安定供給に対する国民の不安も高まっています。

このため、不測の事態に備え、日頃からそうした要因の影響等を分析、評価するとともに、不測の事態が生じた場合の具体的な対応手順の整備等を進めておく事が重要です。こうした取り組みを通じて、総合的な食料安全保障の確立を図っていきます。

同法においては、不測時における食料安全保障に関する規定を設け、不測時において国が必要な施策を講ずることを明らかにしています。

引用元:農林水産省 食料安全保障とは

これらのデータから、日本の食料自給率の低さと、有事の際の食料不足リスクが、浮き彫りになっている。

「食料安全保障」を強化するためには、国内農業の振興や輸入先の多様化はもとより、国内生産の安定化促進など、多角的な対策が求められている。

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「米」にこだわらず命をつなぐ食料とは?

日本人の主食として、長年親しまれてきた「米」は、炭水化物を豊富に含み、エネルギー源として優れた食品である。

しかし、「米」の栽培には、広大な土地と水が必要であり、収穫までに長い時間と手間を要する。

食料自給率の低下や気候変動、国際情勢の影響を考慮すると、「米」に依存しすぎることはリスクが大きいと感じる。

「米」の栽培は、手間がかかるが、食料自給の観点から、代替作物を考えることで、安定的な食料確保が可能となると考える。

「サツマイモ」「ジャガイモ」は、家庭でも育てやすく、「トウモロコシ」「豆類」は、栄養価も高いため、主食の代替作物として適している。

特に、有事の際には、長期保存が可能な豆類や雑穀の備蓄が重要となる。

今後の食料安全保障を考える上で、「米」以外の選択肢を持つことが求められる。

そこで、より少ない手間と土地で栽培でき、命をつなぐ食料として、適した作物を探ってみよう。

自力で栽培できる「代替カロリー源」6選

「米」は、栄養価が高いが、栽培の手間や環境要因を考慮すると、代替作物を確保することが重要だと考える。

サツマイモ、ジャガイモ、かぼちゃ、小麦・雑穀、豆類、トウモロコシは、それぞれ特性が異なり、食料としての有効性が高い。

特に、サツマイモ、ジャガイモ、かぼちゃは家庭でも育てやすく、保存性も高いため、緊急時の食料確保に適している。

今後の食料安全保障を考える上で、「米」に依存しない、食料確保の戦略を立てることが求められると思う。

① サツマイモ(狭い土地でもOK、収穫量が多い)

  • 栄養価
    サツマイモは、炭水化物を豊富に含み、エネルギー源として優れている。
    さらに、ビタミンC、ビタミンB群、カリウム、食物繊維が多く、腸内環境の改善や免疫力の向上が期待できる。
    β-カロテンを含む品種もあり、抗酸化作用がある。
  • 栽培方法
    サツマイモは、比較的やせた土地でも育ち、干ばつに強い作物である。
    春に苗を植え、適度に水やりを行いながら管理すれば、4~5か月後に収穫できる。
    手間が少なく、家庭菜園にも向いている。
  • 注意点と実現可能性
    低温に弱く、保存時は10~15℃の環境が望ましい。
    栽培が容易であり、収穫量も安定しているため、実現可能性は非常に高い。

② ジャガイモ(狭い土地でもOK、収穫量が多い)

  • 栄養価
    ジャガイモは、炭水化物を主成分とし、エネルギー源として優れている。
    さらに、ビタミンCやカリウムが豊富であり、特にカリウムは塩分を排出し、高血圧の予防に役立つ。
  • 栽培方法
    春植えと秋植えの二期作が可能であり、冷涼な気候でも育つ。
    種芋を植え、発芽後に土寄せを行うことで収穫量を増やせる。
    土壌の乾燥を防ぐことが重要である。
  • 注意点と実現可能性
    長期保存が可能だが、発芽を防ぐために光を避ける必要がある。
    収穫までの期間が短く、米と比べて労力が少ないため、安定した食料源となる。

③ かぼちゃ(長期保存が可能、栄養価も高い)

  • 栄養価
    かぼちゃは、炭水化物を多く含み、エネルギー源として利用できる。
    また、β-カロテン、ビタミンC、食物繊維が豊富で、抗酸化作用や免疫力向上に寄与する。
    特に皮にも栄養が多く含まれ、丸ごと利用できる点が優れている。
  • 栽培方法
    つる性植物であり、畑がなくてもプランターやフェンスを活用して育てることができる。
    種まきから約3~4か月で収穫可能であり、乾燥に強いため水管理が比較的容易である。
  • 注意点と実現可能性
    長期保存が可能であり、保存環境が適切なら数か月間品質を維持できる。
    しかし、広がるつるを管理する必要があり、スペースを確保することが求められる。
    省スペース栽培も可能なため、食料確保の手段として有望である。
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④ 小麦・雑穀(ソバ・アワ・ヒエなど)(プランターでも育つが、製粉や調理に工夫が必要)

  • 栄養価
    小麦は、炭水化物を多く含み、パンや麺の原料として利用できる。
    ソバは、タンパク質やルチンを含み、血管の健康維持に役立つ。
    アワやヒエは、ミネラルが豊富で、特に鉄分を多く含むため、貧血予防に効果的である。
  • 栽培方法
    小麦は、冬作物として育てられ、冷涼な気候でも生産可能である。
    雑穀類は、痩せた土地でも育ちやすく、短期間で収穫できる。
  • 注意点と実現可能性
    小麦粉は、長期保存が難しいため、収穫後の保存方法に工夫が必要である。
    雑穀は、保存性が高く、主食の補助として有効であるため、食料確保の選択肢として価値がある。

⑤ 豆類(大豆・落花生)(タンパク質とカロリーを同時に確保)

  • 栄養価
    豆類は、炭水化物だけでなく、タンパク質を豊富に含む。
    特に大豆は、「畑の肉」と呼ばれ、必須アミノ酸を多く含むため、動物性食品が不足する状況でも、重要な栄養源となる。
  • 栽培方法
    比較的やせた土地でも育ち、連作障害が少ない。
    種をまいた後、適度に水やりを行いながら育てる。
    収穫後は、乾燥させることで長期保存が可能である。
  • 注意点と実現可能性
    収穫までに時間がかかるが、一度収穫すれば長期間保存できる。
    副食としても利用できるため、食料確保の観点から有力な選択肢である。

⑥ トウモロコシ(成長が早く、用途が多い)

  • 栄養価
    トウモロコシは、炭水化物を豊富に含み、主食としての利用が可能である。
    また、食物繊維やビタミンB群を含み、消化器官の健康維持に寄与する。
    乾燥させて粉にすれば、長期保存が可能である。
  • 栽培方法
    温暖な気候で成長が早く、種まきから約2~3か月で収穫できる。
    受粉を助けるために、複数株をまとめて植えることが推奨される。
  • 注意点と実現可能性
    害虫の被害を受けやすいため、防虫対策が必要である。
    収穫後の鮮度が落ちやすいため、乾燥保存を行うことで、保存性を高める。
    短期間で栽培でき、生産性が高いため、有事の際の食料としての可能性は高い。

ベランダや庭でできる作物と栽培方法

ベランダや庭での栽培には、「縦方向を活用」する、「収穫が早いものを選ぶ」「長期間収穫できるものを育てる」、などの工夫が必要である。

また、プランター栽培や立体的な工夫を活用することで、狭い場所でも効率よく食料を生産できる。

限られたスペースでも育てられる作物と工夫

限られたスペースでも、適切な作物を選び、工夫次第で、十分な食料確保が可能である。

主な選定のポイントは、以下のようなものがある。

  • つるを誘引できる → さつまいも、インゲン、かぼちゃ
  • 深さがいらない葉物 → 小松菜、ホウレンソウ、リーフレタス
  • 短期間で収穫可能 → ジャガイモ、ミニトマト、エンドウ
  • 長期保存できる → さつまいも、トウモロコシ、小麦
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水耕栽培やプランター栽培の活用

限られたスペースでも、食料を確保するためには、「水耕栽培」「プランター栽培」の活用が有効である。

これらの方法は、土壌の確保が難しい都市部の住宅環境でも実践しやすく、管理次第では、年間を通して安定した収穫が可能である。

以下に、それぞれの栽培方法を、詳しく見ていこう。

水耕栽培(Hydroponics)

「水耕栽培」とは、土を使用せずに、水と液体肥料で植物を育てる方法である。

根に直接栄養を供給するため、成長速度が速く、病害虫のリスクも低い。

特に、レタス、ハーブ類、トマト、イチゴなどの栽培に適している。

水耕栽培の種類と方法
① NFT(Nutrient Film Technique)方式

【特徴】
・水を循環させ、根に薄い栄養液の膜(フィルム)を流す方式
・野菜の根が常に酸素と養分を吸収できるため、生育が良い
プロ農家や商業用水耕栽培で広く利用される
【必要なもの】
・水槽(栄養液を貯める)
・ポンプ(栄養液を循環させる)
・水耕栽培用ネットポット
・培地(ロックウール、スポンジなど)
【育てやすい作物】
・レタス、バジル、ミント、ルッコラ、クレソン

1973年にイギリスで開発された技術であり、緩やかな傾斜のついた栽培ベッドに、培養液を少量ずつ流下させながら、栽培するシステム。英語名は、nutrient film techniqueと言い、頭文字をとってNFT水耕といわれている。
培養液を薄く循環させることによって、空気中の酸素をより多く溶解させ、液面上の作物の根が酸素を空中からも取り入れることができるため、酸素欠乏が起こりにくい。また、培養液の冷却や加温が低コストでできる。

引用元:植物工場ナーッパーランド 水耕栽培
② 浮き床(Deep Flow Technique:DFT)方式

【特徴】
・栄養液の上に浮かべた板の上で、野菜を育てる方式
・比較的簡単に導入できるため、家庭向けに適している
【必要なもの】
・発泡スチロールのトレー
・栄養液を入れる容器(プラスチックケースなど)
・スポンジやロックウール
【育てやすい作物】
・小松菜、ほうれん草、ミズナ

1964年に日本で開発された技術であり、栽培ベッドを水平に保ち、培養液を比較的大量に溜めたベッドに定植パネルを浮かべて苗を植え、培養液を循環させて栽培する方法である。NFTとの比較のため、和製英語として、DFT(deep flow technique)と呼ばれることもある。
培養液の量が多いことから、栽培中の濃度や組成の変化は緩やかであるが、高温時の酸素溶解量が不足し、作物によっては酸素欠乏症を生じることもある。ミツバで普及した水耕栽培方法とも言える。

引用元:植物工場ナーッパーランド 水耕栽培
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③ 垂直型水耕栽培(Vertical Hydroponics)

【特徴】
・縦方向に栽培スペースを確保することで、狭い場所でも多くの作物を育てられる
・ベランダの壁や天井を利用できるため、スペースの有効活用が可能
【必要なもの】
・PVCパイプや専用水耕栽培タワー
・循環ポンプと水槽
・LEDライト(室内栽培の場合)
【育てやすい作物】
・イチゴ、トマト、パプリカ

引用元:株式会社アイ・エム・エー 植物LABO

プランター栽培(Container Gardening)

プランター栽培は、限られたスペースで手軽に土耕栽培ができる方法である。

家庭菜園初心者でも始めやすく、作物の種類に応じた適切な管理を行えば、高い収穫量を得ることが可能である。

プランター栽培の種類と方法
① 一般的なプランター栽培

【特徴】
・プランターの形状に応じて野菜を選べる
・土を使うため、水耕栽培よりも安定した栽培が可能
【必要なもの】
・深さ15~30cmのプランター
・培養土(野菜用)
・肥料(有機肥料や液体肥料)
【育てやすい作物】
・トマト、ナス、ピーマン、ししとう

野菜に合ったプランター選び
プランター栽培に必要な物

ホームセンターや園芸店では、様々な大きさのプランターが販売されています。どの大きさのプランターが最適なのでしょうか?それは野菜や野菜の品種によって異なります。
コマツナやチンゲンサイなどの葉物野菜は、地上部も地中の根っこもそこまで大きくなりません。なので長方形型で、深さが20~25㎝くらいのプランターで大丈夫です。
一方、トマトやナスといった人の背丈ほど育つ植物はそれだけ根も張るため、大きめのプランターを選ぶ必要があります。丸形でも正方形型でも大丈夫ですが深さが30㎝以上のものを選びましょう。一つのプランターにトマトを2株植えたい場合は、横幅が60~70㎝くらいのプランターが必要です。

引用元:DCM株式会社 ベランダでも野菜が作れる!プランター菜園の始め方
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② 布袋栽培(Grow Bag Method)

【特徴】
・土の量を調整しやすく、排水性が良い
・ベランダでも簡単に導入できる
【必要なもの】
・不織布の袋(または培養土の袋をそのまま使用)
・野菜用培養土
・肥料
【育てやすい作物】
・ジャガイモ、さつまいも、ニンジン

「そのまんま野菜畑」は、培養土袋に直接野菜のタネや苗を植え付けて栽培が行えるように設計された袋栽培専用培養土です。

引用元:タイキ種苗株式会社 袋栽培を始めよう!
③ 棚を活用した立体栽培

【特徴】
・ベランダの壁や手すりを活用して、多くの作物を育てることができる
・つる性植物に向いている
【必要なもの】
・支柱やネット
・つるを誘引するためのひも
【育てやすい作物】
・キュウリ、ゴーヤ、インゲン豆

引用元:第一ビニール(株) DAIM FACTORY

水耕栽培とプランター栽培の比較

「水耕栽培」と「プランター栽培」のどちらを選んだら良いのか迷うところだが、下記の「選び方のポイント」を参考にすると良いかもしれない。

「何処で、どのぐらいの量を、いつまでに」を意識して、両方を組み合わせることで、狭いスペースでも効率よく食料を確保できるようになるだろう。

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選び方のポイント

ベランダや庭で栽培しやすい作物と方法

以下に、ベランダや庭で栽培しやすい作物と、その方法を紹介しよう。

① サツマイモ(甘藷)

サツマイモ(甘藷)は、やせた土壌でも育ち、つるを上手く管理すれば省スペース栽培が可能である。

  • 栽培方法
    容器: 深さ30cm以上の大きめのプランターまたは布製の袋(収穫しやすい)
    土: 水はけの良い培養土を使用
    植え方: 苗を30cm間隔で植える
    管理: つるが伸びすぎると栄養が分散するため、適度に剪定する
    収穫: 植え付けから4~5か月後
    ポイント: つるをフェンスや棚に這わせることで、省スペースで管理可能

② ジャガイモ

ジャガイモは、短期間で収穫でき、プランターでも育てることが出来る。

  • 栽培方法
    容器: 深さ30cm以上のプランターや袋栽培(培養土の袋をそのまま利用可能)
    土: 軽めの土(赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1)
    植え方: 種芋を土に埋める(10cm間隔)
    管理: 芽が出たら2~3本に間引きし、土寄せを行う
    収穫: 約3か月後、葉が枯れ始めたら収穫
    ポイント: 収穫時にプランターをひっくり返すと簡単に掘り出せる
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③ ミニトマト

ミニトマトは、縦に伸びるため場所を取らず、長期間収穫できる。

  • 栽培方法
    容器: 直径30cm以上の鉢、または深さ25cm以上のプランター
    土: 野菜用培養土を使用
    植え方: 苗を1株植え、支柱を立てる管
    管理: 定期的に脇芽を摘み、支柱に固定する
    収穫: 開花から約50日後
    ポイント: ハンギングプランターを利用すると、垂れ下がる形で栽培可能

④ トウモロコシ

トウモロコシは、ベランダでも育つが、複数株育てると受粉がスムーズに行える。

  • 栽培方法
    容器: 深さ30cm以上のプランター(最低2株以上植える)
    土: 野菜用培養土を使用
    植え方: 苗を30cm間隔で2~3本植える
    管理: 風で受粉しやすいよう、複数本植えるのが理想
    収穫: 約3か月後、ヒゲが茶色くなったら収穫
    ポイント: 1株1本に実を絞ると、大きくて甘い実になる

⑤ 豆類(エンドウ・インゲン)

豆類(エンドウ・インゲン)は、つるをネットに這わせて省スペースで育てられる。

  • 栽培方法
    容器: 深さ20cm以上のプランター
    土: 野菜用培養土を使用
    植え方: 種を3~5cm間隔でまく
    管理: つるが伸びたら支柱やネットに誘引する
    収穫: 開花から約1か月後
    ポイント: エンドウは冬でも育つため、周年栽培が可能

⑥ かぼちゃ(ミニ品種)

かぼちゃ(ミニ品種)は、つるをフェンスやネットに這わせれば、ベランダでも育てられる。

  • 栽培方法
    容器: 直径30cm以上のプランター
    土: 野菜用培養土を使用
    植え方: 1株植え、支柱を立てる
    管理: つるをネットに誘引し、人工授粉を行うと確実に実がつく
    収穫: 受粉から約45~50日後
    ポイント: ミニかぼちゃなら狭いスペースでも栽培可能

⑦ 小麦(プランター栽培)

小麦(プランター栽培)は、雑穀類の中ではプランターでも栽培しやすく、パンや麺の原料になる。

  • 栽培方法
    容器: 深さ20cm以上のプランター
    土: 排水性の良い土を使用
    植え方: 種をばらまき、薄く土をかぶせる
    管理: 水を控えめにし、密集しすぎたら間引く
    収穫: 春まきなら約4か月後
    ポイント: 収穫後は乾燥させて保存できる

⑧ 青菜類(小松菜・ホウレンソウ・リーフレタス)

青菜類(小松菜・ホウレンソウ・リーフレタス)は、成長が早く、こまめに収穫できる。

  • 栽培方法
    容器: 浅めのプランターでOK(深さ10~15cm)
    土: 野菜用培養土を使用
    植え方: 種をばらまき、薄く土をかぶせる
    管理: こまめに間引きし、適度に追肥する
    収穫: 20~30日後に外葉から収穫
    ポイント: リーフレタスは切り取っても再生するので、長期間収穫可能
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まとめ

「米」の高騰が続く中、日本の食料自給率の低さや、有事の際の食料調達リスクが、改めて浮き彫りとなっている。

広大な土地と多大な労力を要する「米」米に依存するのではなく、自力で栽培しやすく、効率的にカロリーを確保できる、代替作物の選定が重要であると感じる。

ここでは、限られたスペースでも育成可能な、サツマイモ、ジャガイモ、かぼちゃ、小麦(雑穀)、豆類(大豆)、トウモロコシの6つの作物を紹介した。

これらは、栄養価が高く、比較的育てやすいため、家庭菜園でも実現可能な選択肢である。

特に、「サツマイモ」や「ジャガイモ」は、プランター栽培に適し、「かぼちゃ」や「トウモロコシ」は、庭での栽培がしやすい。

また、「小麦」や「大豆」は、工夫次第で、都市部のベランダ栽培にも応用できる。

さらに、栽培方法として「水耕栽培」と「プランター栽培」の違いについても触れた。

「水耕栽培」は、成長が早く病害リスクが低いが、設備投資と管理の手間がかかる。

一方、「プランター栽培」は、手軽に始められ、広い範囲の作物を育てられるが、害虫や病気への対策が必要である。

食料危機に備えるためには、「育てる」という選択肢を持つことが重要である。

まずは、家庭で育てられる作物を一つでも試し、小規模でも食料自給の意識を持つことが、未来の安心につながるだろう。

作物を、楽しんで「育てる」という意識をもって取り組めば、食料の自給自足を、実践できるのではないだろうか。

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