バレンタインデーが近づくと、手作りチョコレートに挑戦する人が増える。
しかし、せっかく作ったのに「チョコが固まらない」「表面が白くなってしまった」「口どけが悪い」といった失敗を、経験したことがある人も、多いのではないだろうか。
手作りチョコレートを成功させるためには、「テンパリング」という工程が重要だという。
これは、カカオバターの結晶を、安定した状態に整える作業であり、この工程を正しく行うことで、ツヤがあり、なめらかな食感のチョコレートができあがるのだ。
逆に、「テンパリング」に失敗すると、べたついたり、粉をふいたように白くなったりする原因となる。
ここでは、プロ並みの仕上がりを目指すために、手作りチョコレートを上手に作るコツを紹介したい。
適切な温度管理や、作業のポイントを押さえれば、誰でも美しいチョコレートを作ることができる。
バレンタインデーに向けて、ぜひ参考にして頂きたい。
チョコレートが固まらない主な原因と対処法(コツ)
チョコレートが固まらない主な原因として、「テンパリング不足」が考えられる。
「テンパリング」とは、カカオバターの結晶を、安定した形に整えるための、温度調整の工程である。
これが適切に行われていないと、チョコレートが固まらず、ベタついたり、白く濁ったりすることがある。
もし、チョコレートが固まりにくい場合は、以下の点をチェックすると良い。
テンパリング不足
原因:
「テンパリング」とは、チョコレートに含まれる、カカオバターの結晶を整える作業であり、これが適切に行われないと、チョコが固まらず、ベタついたり、白くなったりする。
対処法(コツ):
1)適切な温度管理を行う(チョコレートの種類によって温度が異なる)
- ビターチョコ: 溶かす → 50~55℃ → 冷却 27~28℃ → 仕上げ温度 31~32℃
- ミルクチョコ: 溶かす → 45~50℃ → 冷却 26~27℃ → 仕上げ温度 29~30℃
- ホワイトチョコ: 溶かす → 40~45℃ → 冷却 25~26℃ → 仕上げ温度 28~29℃
2)温度計を使い、正確に管理する
3)冷却時は混ぜながら行う(結晶が均一になりやすい)
4)テンパリング済みのチョコを一部加える(シード法)
チョコレートの「テンパリング」とは
基本テクニック チョコレートのテンパリング
テンパリングとは、チョコレートに含まれるカカオバターの結晶を最も安定した状態にする温度調整作業のこと。光沢の美しい、滑らかな口当たりのチョコレートを作るには欠かせない作業です。
手順
チョコレートを細かく刻み、50度位の湯せんにかけて静かに混ぜながら溶かします。
この時、ボウルの中のチョコレートに水気が入らないよう注意。温度計で測りながら、チョコレートの温度を40℃くらいまで上げます。次にボウルを冷水につけてチョコレートの温度を下げていきます。
ボウルに当たっている部分からチョコレートが固まっていきますので、温度を下げる時は常に静かに混ぜながら、だいたい26~27℃くらいになるまで温度を下げます。(ガーナブラックの場合は27~28℃、ガーナホワイトの場合は25℃)再び湯せんにかけて、一定の温度に調温します。
この時、ボウルをお湯につけるのは一瞬で、お湯から取り出してチョコレートを混ぜるのがポイント。決して長い時間つけないでください。温度計で測りながらこの作業を繰り返し、しっかりと混ぜながら少しずつ温度を上げていきます。
だいたい30℃くらいまで温度を上げたら、その温度をキープして下さい。それ以上温度を上げるとテンパリングが崩れてしまいますので注意して下さい。(ガーナブラックの場合31℃、ガーナホワイトの場合は28℃)これでテンパリングは終了。
引用元:LOTTE チョコレートのテンパリング
ただし、チョコレートの温度は作業が終わるまで27~30℃の範囲で保温してください。
もしもチョコレートの温度が32℃以上になってしまった場合は、結晶の安定が崩れてしまったので、再びテンパリングをやり直してください。写真の様につやのあるチョコレートになればできあがり!
チョコレートのテンパリング「シード法」
「シード法」とは、「テンパリング」の方法の一つで、溶かしたチョコレートに、刻んだテンパリング済みのチョコを加えて、温度を調整する方法である。
「シード法」は、「テンパリング」の中でも最も簡単で失敗しにくい方法である。
適切な温度管理をすれば、初心者でもツヤがあり、なめらかなチョコレートを作ることが出来る。
手軽にできるため、初心者にもおすすめの方法だ。
手作りチョコに挑戦する際は、ぜひ試してみよう!
「シード法」の手順
① チョコレートを細かく刻む
- テンパリングしたいチョコレートの量の約1/4~1/3を「シード用」として取っておく。
- シード用のチョコは細かく刻むと溶けやすく、温度調整がしやすくなる。
② チョコレートを湯せんで溶かす
- 刻んだチョコの 2/3~3/4の量 をボウルに入れ、50℃以下の湯せんで溶かす。
- 適温になるまで加熱する(チョコの種類によって異なる)。
ビター:50~55℃
ミルク:45~50℃
ホワイト:40~45℃ - チョコが完全に溶けたら、湯せんから外す。
③ シードチョコを加えて温度を下げる
- 溶かしたチョコに、残しておいたシードチョコを少しずつ加える。
- ゆっくりかき混ぜながら、温度を以下の範囲まで下げる。
ビター:27~28℃
ミルク:26~27℃
ホワイト:25~26℃ - シードチョコが完全に溶けきるように混ぜる。溶け残る場合は、再度刻んで混ぜる。
④ 仕上げ温度まで軽く温める
- ボウルを湯せんに 数秒 だけ当て、以下の温度まで軽く温める。
ビター:31~32℃
ミルク:29~30℃
ホワイト:28~29℃ - 温めすぎないように注意しながら、よく混ぜる。
「シード法」のコツ
✅ 温度計を使う(目分量ではなく、温度をしっかり確認)
✅ 湯せんの温度は50℃以下(高温すぎると分離しやすい)
✅ シードチョコを細かく刻む(溶けやすく、温度調整がスムーズ)
✅ 混ぜながら冷却する(均一な結晶を作るため)
✅ 仕上げ温度に再加熱しすぎない(温度が上がりすぎるとやり直し)
温度管理のミス
原因:
溶かしすぎる(高温にしすぎると分離する)
急激に冷やしすぎる(結晶化が乱れ、固まりにくくなる)
対処法(コツ):
1)湯せんの温度は50℃以下にする(熱湯を使うと温度が上がりすぎるため)
2)チョコを溶かすときはゆっくりかき混ぜる(急激な温度変化を避ける)
3)冷蔵庫に入れる前に室温で冷やす(冷蔵庫にすぐ入れると白く濁ることがある)
水分の混入
原因:
チョコレートは、水分と非常に相性が悪いので、湯せんの際に水滴が入ったり、湿度の高い場所で作業すると、分離してザラザラの状態になり、固まりにくくなる。
対処法(コツ):
1)湯せんの際は、ボウルに水が入らないよう注意する
2)蒸気がチョコに触れないようにする(ボウルのフチに水滴がついていないか確認)
3)ヘラやスプーンに水分がついていないか拭き取る
4)湿度の高い場所で作業しない(特に梅雨時や夏場はエアコンを活用)
適切な保存環境でない
原因:
急激な温度変化(冷蔵庫にすぐ入れると結晶が乱れる)
高温多湿の環境(湿度が高いとべたつきやすい)
対処法(コツ):
1)室温(18~20℃)で固める(急激に冷やさない)
2)乾燥した涼しい場所で保管する(冷蔵庫を使う場合は、密閉容器に入れて結露を防ぐ)
3)チョコが完全に固まってからラッピングする(すぐに包装すると表面が曇ることがある)
まとめ
手作りチョコをプロ並みに仕上げるには、「テンパリング」の成功が鍵である。
特に、温度管理が重要で、温度計の使用は「必須事項」だ。
温度計を使い、温度管理を徹底し、カカオバターの結晶を整えることで、なめらかでツヤのあるチョコが完成するのだ。
初心者には「シード法」がおすすめで、刻んだチョコを加えて温度を調整することで、簡単に「テンパリング」ができる。
さらに、水分の混入を防ぎ、適切な保存環境(18~20℃の室温)を保つことも重要だ。
これらの「コツ」を押さえれば、失敗なく美味しいチョコを作ることが出来る。
失敗しないための「コツ」は、以下の通り。
✅ テンパリングの正しい温度を守る(溶かす・冷却・仕上げの3ステップ)
- ビターチョコ: 溶かす → 50~55℃ → 冷却 27~28℃ → 仕上げ温度 31~32℃
- ミルクチョコ: 溶かす → 45~50℃ → 冷却 26~27℃ → 仕上げ温度 29~30℃
- ホワイトチョコ: 溶かす → 40~45℃ → 冷却 25~26℃ → 仕上げ温度 28~29℃
✅ シード法を活用し、簡単に温度調整を行う
✅ 水分の混入を防ぐ(湯せん時の蒸気や水滴に注意)
✅ 適切な保存環境を確保する(急激な温度変化を避ける)
これらの「コツ」を押さえれば、なめらかでツヤのある、本格的なチョコレートを作ることが出来る。
バレンタインデーに向けて、ぜひ実践し、本格的な手作りチョコに挑戦してみよう!