みなさんは仕事をする中で、「もっと早く動いていれば・・・」と感じた経験は、あるだろうか?
ビジネスの世界では、スピードが成功の鍵を握ることがよくある。
そして、その鍵を象徴する言葉が、「先行者利益」なのである。
これは、他人よりも一歩先に行動を起こすことで得られる、利益やチャンスのことだ。
新しい仕事やプロジェクトに取り組むとき、多くの人が「失敗したらどうしよう」と不安に思い、慎重になりがちだ。
これは、誰しもが感じることだろう。
しかし、実際には、まず行動を起こした人が、大きな成果をつかむことが多い、と言われている。
ここでは、「先行者利益」とは何か、そして早く行動することが、どのように成功につながるのかについて、見ていきたい。
「先行者利益」とは?
皆さんは、「先行者利益」という言葉を、聞いたことがあるだろうか?
「先行者利益」とは、特定の分野や技術において、先に進んだり、先におこなったりすることで得られる、利益や優位性のことだ。
新たなビジネスモデルや、製品・サービス、領域を開拓することで、具体的には、次のような利益が得られると、言われている。
例えば、認知度の向上、ブランド力の確立、顧客の囲い込み、競争環境での優位性などが挙げられる。
この様に、他人より早く行動することは、新しい商品やサービス、アイデアを、いち早く市場に送り出すことができ、競合他社よりも有利なポジションを、確保することにつながるので、とても重要なことなのだ。
人は何故、行動を先送りするのか?
吾輩もそうだが、多くの人は、「先行者利益」が分かっていても、行動に移せないのは、何故なのだろうか?
「先行者利益」の存在を、頭では理解していても、実際に行動に移すことは、そう簡単な事ではない。
その理由は、いくつかの心理的、環境的要因に起因しているという。
ここでは、その主な原因を挙げ、それを乗り越えるための、ヒントについて見てみよう。
行動を先送りする(人が様子を見たがる)心理
- 失敗への恐れ
誰でも失敗することは怖いものである。
「もし結果が出なかったらどうしよう」「周りにどう思われるだろう」という不安が、行動を妨げる大きな要因である。
特に、新しいことに挑戦する場合、前例がないため、リスクが高く感じられる。
この恐れは、特に責任を伴う仕事や、プロジェクトにおいて、顕著である。
ヒント:
小さな成功体験を積み重ねることで、自信をつける。
一気に大きな成果を狙うのではなく、小さな挑戦を繰り返すことで、失敗に対する耐性を高めることができる。 - 現状維持バイアス
人間は、現状を維持したいという心理を持っている。
「このままでも特に困らない」「今のやり方で十分」と思うことで、新しい行動に踏み出すモチベーションを失ってしまう。
特に、変化がリスクを伴う場合、現状維持は安心感を与えるため、ついつい、その場にとどまってしまいがちになる。
ヒント:
「何もしないリスク」について考えてみる。
行動しないことで、失うチャンスや、利益に目を向けると、行動する意義について、感じられるようになる。 - 準備不足による不安
「まだ準備が整っていない」「もっと情報を集めてから動こう」と考えるうちに、タイミングを逃してしまうことがある。
これは、完璧を求めすぎるあまり、行動を遅らせる要因となる。
ヒント:
完璧を求めず、「まずやってみる」姿勢を持つことが重要である。
動きながら学ぶことも、成功への道であり、完璧な準備ができるまで待つ必要はない。 - 他人の目を気にする
「こんなことをして失敗したら、笑われるかもしれない」「上司や同僚に評価されなかったらどうしよう」といった、他人の視線を過剰に気にすることが、行動を妨げる要因になる。
特に、職場では、人間関係が、行動に影響を与えやすい。
ヒント:
他人の評価は、一時的なものにすぎないため、それよりも、自分の成長や成果に焦点を当てみる。
行動を起こした結果の方が、自分にとって価値がある。 - 成功へのビジョンが見えない
「これをやって本当に成功するのか?」という疑問が、行動を鈍らせることもある。
先行者の道は、前例がないため、成功の確信が持てず、リスクを過大視する傾向がある。
ヒント:
成功の可能性だけでなく、学びや経験という成果についても、意識する。
「やらない後悔」よりも「やった結果」を得ることの価値に対して、目を向けることが大切である。
行動に移せない理由は、多くの場合、心理的な壁にあるようだ。
しかし、その壁を乗り越えることで、新しい可能性が広がるのだ。
失敗を恐れず、小さな一歩を踏み出してみることが、「先行者利益」を手にする、第一歩となる。
早く動くことの「メリットとリスク」
新しいことに挑戦する際、他の人よりも早く動くことで、「先行者利益」を得られる可能性が高くなる。
しかし、その一方で、リスクも伴うのも事実であり、先行者は、誰もやってない事を先駆けて行うわけで、当然、失敗も多いものだ。
ここでは、早く動くことの、「メリットとリスク」について見ていこう。
先行者利益の「メリット」とは
「先行者利益」とは、市場に早く参入することで、得られる利益が大きくなるのだが、具体的にどの様な優位性があるのか、見てみよう。
- 市場やチャンスを独占できる
競争相手がいない段階で始めることで、注目を集めやすく、市場や顧客を先取りできる。
特に、新しい商品やサービスでは、最初に認知されることが、有利に働く。 - 学びや改善の時間を確保できる
早く行動することで、他の人が動き出す前に試行錯誤することができる。
失敗したとしても、その経験を活かし、素早く改善できるため、成功への近道になる。 - 信頼や評価が得られやすい
リーダーシップを発揮し、誰よりも早く動く姿勢は、周囲からの信頼や、高い評価につながる。
上司や同僚から、「頼りになる人」と思われるチャンスになる。 - トレンドを作り出せる
自分が最初に行動することで、新しい流行や文化を、生み出す可能性がある。
他者が追随する立場になるため、主導権を握りやすくなる。
先行者利益には「リスク」があるの?
「先行者利益」を目指した戦略は、有利なことばかりではなく、メリットがあるということは、それなりに、リスクも伴うということである。
では、どの様なリスクがあるのか、具体的に見てみよう。
- 失敗の可能性が高い
他の人がまだ挑戦していない分、成功の確信が持てないことがある。
そのため、やり方を間違えるリスクや、結果が出せない可能性もある。 - 周囲からの批判を受けることがある
新しいことを始めると、「そんなこと上手くいかない」「リスクが高すぎる」と否定的な意見を言われる場合がある。
そのプレッシャーに、負けない強さが求められる。 - コストや時間のロスが発生する
早く動いた結果、計画が思うように進まず、時間や資金を無駄にしてしまう場合もある。
このリスクを、最小限に抑えるための準備が求められる。 - 競争相手の模倣リスク
早く動いたことで、注目を集めても、そのアイデアや方法が模倣され、競争が激化する可能性がある。
この場合は、次の一手を考える必要がある。
リスクと向き合う心構え(行動する勇気)
この様に、新しいことに挑戦するとき、必ずリスクはつきものである。
特に「先行者利益」を狙う場合は、誰もやったことがないことに取り組むため、不安や失敗の可能性を感じるのは、自然なことであろう。
でも、成功する人たちは、このリスクを恐れるのではなく、向き合い、乗り越える方法と行動する勇気を持っている。
ここでは、リスクと向き合うための、心構えについて見てみよう。
- 「失敗は学びの一部」と考える
失敗を恐れる人は多いが、失敗は、何かを学ぶチャンスでもある。
成功している人は、たくさんの失敗を経験し、その中で得た教訓を次の挑戦に活かしている。
「失敗しても、それを次にどう活かすかが大事」と考えることで、恐れよりも行動する意欲が湧いてくる。 - 「やらないリスク」にも目を向ける
挑戦しないことにもリスクがある。
たとえば、誰かに先を越される、チャンスを逃す、成長の機会を失う、などがある。
「挑戦しないと、このままの状態が続くだけ」と気づくことが出来れば、行動する勇気が湧いてくるはず。 - 完璧を求めすぎない
最初から完璧を目指すと、なかなか行動に移すことが出来なくなる。
「まずやってみる」という気持ちを、持つことが重要である。
挑戦しながら学び、少しずつ改善していけば良い。
「動きながら考える」ことで、リスクへの耐性もついてくる。 - 小さな一歩を踏み出す(行動する勇気)
いきなり大きな挑戦をする必要はない。
まずは、小さなリスクを取ることから始めてみること。
たとえば、「新しい提案をしてみる」「チームで手を挙げてリーダーをやってみる」など、小さな挑戦の積み重ねは、自分自身に勇気を与えてくれる。 - リスクを「計画的」に管理する
リスクに向き合うとき、無計画に突っ込むのではなく、事前にどんなリスクがあるのかを把握し、対策を考えることが重要である。
「最悪の場合どうするか」を想定しておけば、不安が和らぎ、行動しやすくなる。
この様に、リスクに向き合う心構えと行動する勇気があれば、リスクは怖いものではなく、成長のチャンスにもなる。
「リスクを取らなければ、何も得られない」という意識を持って、勇気を持って、まず一歩を踏み出すことが重要なのだ。
失敗しても、やり直せば良い。
勇気あるその一歩が、あなたの未来を、大きく変える力になるに違いない。
「1つの成功の裏には9つの失敗がある」
ファーストリテイリングの柳井正社長は、自著『一勝九敗』で、「1つの成功の裏には9つの失敗がある」と述べている。
この言葉には、ビジネスの成功には、失敗を恐れず、勇気を持って挑戦し続けることの重要性が、込められている。
柳井社長は、成功するためには、まず行動を起こし、失敗を通じて、改善を重ねることが必要だと、強調している。
新しいことに挑戦するときは、失敗は避けられないもの。
しかし、重要なのは、その失敗を分析し、次につなげることであり、それが結果的に、大きな成功へとつながるのである。
このプロセスを繰り返すことで、競争相手より早く、市場のニーズを捉え、「先行者利益」を得ることができるのである。
柳井社長は、また、「挑戦しない人は失敗しないが、挑戦しなければ成功もない」と語り、リスクを取ることの必要性を説いている。
この様に、早い行動と柔軟な改善の姿勢が、成功を呼び込む秘訣である、といえる様だ。
誰にとっても、最初の挑戦は、勇気がいるもの。
失敗を恐れず、勇気を持って挑戦することで、自らの成長や成功を、手にするチャンスが広がる。
この考え方を胸に、まずは、小さな一歩を踏み出してみよう。
行動する習慣を身につける方法
「先行者利益」を得るためには、「気づいたらすぐに行動する」習慣を身につけることが重要である。
しかし、頭ではわかっていても、実際に行動を起こすのは、そう簡単ではない。
ここでは、すぐに行動するための、具体的な方法について、いくつか見てみよう。
- 「5秒ルール」を活用する
アイデアが浮かんだら、5秒以内に行動を起こしてみる。
たとえば、「これをやってみたい」と思ったら、すぐにメモを取る、同僚に話しかける、調べ始めるなど、小さな一歩で良い。
行動に移すまでの時間を短縮することで、迷いや不安に、引きずられることを防ぐことが出来る。 - 小さな目標を設定する
「すぐに行動しよう」としても、目標が大きすぎると、どこから手をつければいいか分からず、結局動けなくなってしまう。
例えば、「資料を作る」という大きな目標を、「5分だけ必要なデータを集める」「まずは構成案を考える」といった、小さなステップに分解し、目標を設定してみる。 - 期限を自分で設定する
「いつかやろう」と思っていると、結局いつまでも行動に移すことが出来なくなる。
具体的な期限を設け、「今日中に」「30分以内に」など、自分で制限時間を設定してみると良い。
また、期限を守る習慣をつけることで、自然と行動のスピードが上がりやすくなる。 - 優先順位を決める
日々の業務やタスクが多いと、何から手をつけるべきか、迷うことがある。
その結果として、行動が遅れることもある。
重要度や緊急度を考慮し、「今すぐやるべきこと」を明確にしておくことが、重要である。
決断が早まるだけでなく、効率的に行動できるようになる。 - 周りを巻き込む
一人で動こうとすると、不安や迷いから、行動が鈍ることがある。
チームや同僚に「これをやろうと思っている」と理念を共有することで、自分を動かさざるを得ない環境を作るのも、効果的である。 - ポジティブな習慣を意識する
すぐに行動できる人は、普段から「行動そのもの」を習慣化している。
例えば、朝に1日の計画を立てる、決めた時間にタスクを振り返るなど、行動を促す仕組みを、日常に取り入れると良い。
「すぐに行動する」ことは、意識と習慣の積み重ねで、養われる。
まずは、小さな行動を繰り返しながら、自分なりのルールを、作るところから始めてみよう。
その一歩が、「先行者利益」を得る、大きなチャンスとなるはずだ!
「先行者利益」を獲得した5つの事例
下記に示す商品やサービスは、誰でもが知っている代表的な例で、いずれの事例も、最初に行動を起こした「ファーストペンギン」となったことで、現在でも、市場をリードしている。
後発の企業でも、成功する可能性はあるが、先行者が築いた基盤を超えるのは、非常に難しい様だ。
- スマートフォン市場のリーダー:AppleのiPhone
2007年に発売されたiPhoneは、それまでになかった、スマートフォンの使い方を提案した。
いち早く市場に登場したことで、圧倒的なブランド力とシェアを、獲得することが出来た。
その後、多くの企業が追随したが、Appleの「先行者利益」により、市場のリーダー的地位は、今も揺るぐことは無い。 - YouTubeという新しいプラットフォーム
2005年に始まったYouTubeは、動画をオンラインで共有するという、新しいアイデアで、注目を集めた。
多くの人が、この仕組みに魅了され、今では、世界中で利用されている。
後発のプラットフォームは、競争が厳しく、YouTubeの地位に追いつくのは、困難だと思われる。 - コンビニエンスストアのパイオニア:セブン-イレブン
日本で初めて、本格的なコンビニを展開した、セブン-イレブンは、地域密着型の店舗運営と、24時間営業で大成功を収めている。
先に始めたことで、消費者の信頼を得て、現在でも業界トップを維持している。 - 飲食店チェーンのモバイルオーダー:マクドナルド
モバイルオーダーシステムを、早期導入したマクドナルドは、他の飲食店よりも、利便性で優位に立っている。
これにより、消費者は、スムーズに注文と受け取りができ、競合に差をつけている。 - エコカー市場の開拓者:トヨタのプリウス
ハイブリッド車として、初めて市販化された、トヨタのプリウスは、環境意識の高まりにいち早く対応していた。
これにより、エコカー市場の先駆者としての地位を確立し、消費者からの信頼を、得ることが出来た。
「ファーストペンギン」とは
1.ファーストペンギンとは?
ファーストペンギンとは、新しい分野でもリスクを恐れず挑戦するベンチャー精神の持ち主のことです。常に集団で行動するペンギンのなかでも、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて真っ先に飛びこむペンギンをそう呼ぶのが元々の意味です。リスクはあるものの誰よりも先に行動する分、対価を得られる可能性が高まります。
引用元:カオナビ ファーストペンギンとは?【ビジネスでの意味】由来を簡単に
まとめ
早く動くことは「リターンが大きい分、リスクも伴う」行動である。
ただし、リスクを恐れて動かないのではなく、リスクを計画的に管理しながら、行動することが大切。
早く動くメリットを、最大限に活かせるようになるためには、「完璧を目指すのではなく、小さな一歩から始める」「失敗しても学びを得る」という姿勢を持つことだ。
最初は不安でも、その一歩が、未来を大きく変える可能性を秘めていることを、忘れないようにしたい。
この様な考え方に、まだ慣れていない我々にとって、挑戦することは、少し怖いかもしれない。
でも、行動しなければ何も始まらない。
小さな一歩を踏み出す勇気が、あなたのキャリアを、大きく変えてくれるに違いない!
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