今や大人気の「おにぎり」だが、吾輩が子供のころには、ピクニックや遠足、運動会など、学校の行事で食べる「定番の弁当」というイメージしかなかった。
今ではコンビニでも「おにぎり」は、普段から定番の商品で、コンビニで販売が開始されてから40年以上経過し、1年間に売れるコンビニおにぎりの国内総販売量は、「60億個」もあるという。
吾輩も、コンビニでおにぎりが売られるようになってからは、朝や、お昼など手軽にワンハンドで食べることが出来るので、頻繁に購入している。
ちなみに、吾輩が必ず買うお気に入りの「おにぎり」の具材は、「ツナマヨ」「梅」「昆布」だ。
ここでは、美味しい「おにぎり」の「握り方」や「米」「海苔」「具材」について見ていきたい。
おにぎりの「歴史・起源」とは?
おにぎりの起源についてだが、いろいろ見ていくと古くは、紀元1世紀頃(弥生時代中期〜後期)石川県旧鹿西町(現中能登町)で、もち米を蒸して固めて焼かれた、おにぎり状のチマキ炭化米塊が発見されているとの事。参考:石川県中能登町HP 公開資料
さらに、日本の歴史書上では、奈良時代の書物「風土記」の一つ「常陸国風土記」に「握飯(にぎりいい)」という記述が残されていたことから、この頃から「おにぎり」という食べ物が出回ったのではないかという。
また江戸時代になると、「おにぎり」が弁当として重宝されはじめ、農民たちの間では、農作業の合間に「おにぎり」を食べていた。
そして元禄年間では、浅草海苔の養殖が始まり、「のり巻きおにぎり」は、この頃に発明されたという。
この様に、「おにぎりの歴史・起源」はかなり古く、2000年近く前までさかのぼることから、「日本人のソウルフード」と言えるだろう。
詳しい歴史・起源は、下記の資料を参考にしてほしい。
引用元:一般社団法人おにぎり協会調べ【おにぎりの歴史】
- 紀元前6000年頃(縄文時代中期)
日本にイネが伝わったとされる。- 紀元前3000〜2800年頃(縄文時代後期)
九州から西日本を中心に、東北地方まで稲作が広まる。当時は赤米が主流。のちに黒米が広まる。- 紀元1世紀頃(弥生時代中期〜後期)
石川県旧鹿西町(現中能登町)で、もち米を蒸して固めて焼かれたおにぎり状のチマキ炭化米塊が発見される。- 717 〜724年頃(奈良時代初期)
元明天皇の詔により日本各地の『風土記』が編纂される。そのうちのひとつ『常陸国風土記』に「握飯(にぎりいい)」の記述が残る。- 794〜1185年頃(平安時代)
貴族が宴の際、蒸したもち米を握り固めた「屯食(とんじき)」と呼ばれるものを従者に振る舞った。また、防人など兵士が携帯したとされる。- 1221年(鎌倉時代初期)
承久の乱で、東国(鎌倉幕府側)の武士に兵糧として梅干入りのおにぎりが配られ、これをきっかけに梅干が全国に広まったとされる。また鎌倉時代末期(1300年頃)には、うるち米が用いらるようになった。- 1467〜1590年頃(戦国時代)
おにぎりは兵糧として特に重宝される。間引き菜をコメと一緒に炊いた菜飯おにぎりが主流。豊臣秀吉が天下統一後、赤米や黒米に比べ収量の多い白米が広まる。- 1603〜1868年頃(江戸時代)
おにぎりが「弁当」として重宝されるようになる。五街道の整備に伴い旅人が携行食として、農民が農作業の合間に食した。アサクサノリの養殖が始まった元禄時代(1688〜1704年)に海苔巻きおにぎりが発明される。- 1869年(明治2年)
山本海苔店2代目山本徳治郎が、明治天皇の京都への行幸の土産として、醤油やみりんで味を付けた海苔を開発。味付け海苔は京都を中心に広がり、近畿地方では味付け海苔がおにぎり海苔のスタンダードになる。- 1885年(明治18年)
日本鉄道宇都宮駅構内で地元旅館が日本初の「駅弁」を販売。黒ゴマをまぶした梅干入りおにぎり2コとたくあん2枚が竹の皮に包んであった。- 1889年(明治22年)
山形県鶴岡町(現・鶴岡市)の私立忠愛小学校で貧困児童を対象に、日本で初めて「給食」を実施。当時の献立は、おにぎり、焼き魚(塩鮭)、菜の漬物。- 1957年頃(昭和32年)
三重県津市にある天ぷら定食店「千寿」が、海老の天ぷらを具にしたおにぎり「天むす」を賄い料理として考案。- 1978年(昭和53年)
セブンイレブンが、パリッコフィルムを考案。パリパリ海苔の手巻きタイプおにぎりを商品化。以降、おにぎりがコンビニエンスストアの主力商品に。- 1978年(昭和53年)
セブンイレブンが、パリッコフィルムを考案。パリパリ海苔の手巻きタイプおにぎりを商品化。以降、おにぎりがコンビニエンスストアの主力商品に。- 1978年(昭和53年)
セブンイレブンが、パリッコフィルムを考案。パリパリ海苔の手巻きタイプおにぎりを商品化。以降、おにぎりがコンビニエンスストアの主力商品に。- 2013年(平成25年)
「和食:日本人の伝統的な食文化」が、自然を尊重する日本人の心を表現したものであり、伝統的な社会慣習として世代を越えて受け継がれているとし、ユネスコ無形文化遺産に登録。- 2014年(平成26年)
おにぎりの世界的認知拡大と地位向上を目指す、一般社団法人おにぎり協会設立。
「おにぎり」の素材について
「おにぎり」は、食欲を満たし、栄養を補給するという意味では、簡単な素材「米」「海苔」「具材」で手軽に食べられる食事だ。
吾輩が思う「おにぎり」の食材についてだが、第一の主要な素材は、「米」だ。
次は「おかず」にあたる「具材」で、「海苔」は箸や器に変わる、食べることが出来る「道具」の様な感覚がある。
普段、なにげなく食べる「おにぎり」という食べ物だが、昨今では、おにぎり専門店では行列をなして買い求める光景が良く見られるようになった。
そんな「おにぎり」だが、食べる人は一体どんなところに「おにぎり」の魅力を感じているのだろう?
ここでは、そんな「おにぎり」のこだわりの材料について、一つずつ見ていこう。
米
「おにぎり」は、適度に空気を含み、米の一つ一つがつぶれない程度にくっつきあっていて、口に入れたときにホロッとほぐれるのが、理想とされている。
米粒が詰まっていたほうがおいしいのだろうが、かといって米粒がつぶれてしまうと、ベチャッとした食感になりよくない。
「おにぎり」は、屋外で食べる携帯食として重宝されていたので、時間がたっても美味しく食べれれるような工夫がされているのだ。
コンビニやおにぎり専門店では、使用する「米」について、こだわりが詰まっている。
その、今人気のおにぎりの「米」について、「産地」「研ぎ」「炊き」「握り」などを紹介しよう。
産地
「米」は産地や品種によって、味わいが違うという事はよくわかるが、実は、農家による違いや、同じ農家の同じ品種であっても、作る田んぼや作り方によっても違いがあるという。
当然、「米」は工場で作っているわけではないので、稲の生育には天候が大きな影響を与えることになるので、毎年味が変わるのが一般的だ。
そんな大変な「米」だが、おにぎりに適した銘柄をピックアップしてみよう。
新潟県産「コシヒカリ」
「新潟県産コシヒカリ」は、独特の甘味、粘り、炊いた時の艶、香りなどが評価され、全国ブランドとして支持されている。
特徴として、炊き上がりは、白くて艶があり、ふっくら、噛むともっちり、 香りが良く、甘みがしっかりしている。
茨城県産「ミルキークイーン」
「ミルキークイーン」は、コシヒカリの突然変異から生まれた低アミロース品種で、もち米に近い特性を持つ。
特徴としては、通常のうるち米と比べ、白濁した粒がやや多く含まれ、一般のお米に混ぜて炊くと、ご飯に粘りがでて美味しくなるので、ブレンド米としても大変向いている品種と言える。
米の粒は少し小さめで、食感としては、もち米のように粘りが強く、冷えても固くなりにくく、冷めた時の香りもある。
※アミロースとは、お米に含まれるデンプンの一種で、多いほど粘りが少なく、少ないほど粘りが多いと言われている。
山形県産「つや姫」
「つや姫」は、甘みや粘り気にも優れており、コシヒカリを凌ぐ美味しさとも言われている。
特徴としては、「白さ」「粒の大きさ」「甘み」があり、炊き上がりは名前のとおりにツヤツヤに輝いていて、米の粒も大きく、しっかりとした甘みと粘り、弾力がある。
他品種と比べ「粒感」が最大の特徴なので、粒がつぶれないように力をこめず優しく包み込むように握るのことが大切。
炊きたてを握ったおにぎりは、しっかりとした粘りがあり、かめばかむほど甘みが出ておいしいが、時間が経って冷めると、粒の硬さが強調されるようになり、張りがでる。
愛媛県産「にこまる」
「にこまる」は、「食味」「のどごし」に加え、おにぎりで特に重要となる「くちほどけ」「包容力」「冷めて旨い」など、バランスが良い。
特徴としては、粒ぞろいが良く、炊き上がりは外側はぱりっとしていて艶があり、中はしっとりふっくら、もちもちの食感で、丸くて大きい粒は、1粒1粒がしっかりとしていて色白。
米の甘みや旨さは相対的に高く、冷めてからも噛みしめると力強い旨みがにじみ出てくる。
岩手県産「銀河のしずく」
「銀河のしずく」は、口の中で粒がぱらぱらとほぐれる感じで、適度な硬さもあり、喉越しも良い。
特徴としては、適度な硬さはあるが、柔らかな噛み口、ほどよく粘り気があってもっちり、粒が大きく、粘りがほど良く、甘みもしっかりと伝わり、冷めてもおいしく、食味もバランスがとれていて、炊きあがりの白さも美しい。
食欲をそそるようなふっくら芳醇で香り高く、粒ぞろいでふっくら艶やか。
北海道産「ゆめぴりか」
「ゆめぴりか」は、低アミロースの性質(低いほど粘り強い)を持つ「北海287号」という母と、食味と収量性ともに優れた性質を持つ「ほしたろう」という父の間に生まれ、味がよく、収量性の高い米だ。
特徴としては、まず第一に「アミロース」の低さが挙げられ、このアミロース含有率が他の米よりも低く、強い粘り気があり、もち米に近い食感になっており、冷めてもモチモチとして美味しい。
また、含まれるたんぱく質の量が少なめで、炊き上がりがやわらかくつやがあり、米飯中に含まれる糖の量が多いので、豊かな甘味が感じられ、より一層旨味を感じる。
おにぎりに向いている「米」はどれ?
ここでは「おにぎり」に向いている米を紹介したが、これらは普通に白ごはんにしておいしい米なので、家庭用では、使い分けるのは難しいだろう。
この様に見ていくと、業務用なら「粘り」を意識した「米」を選ぶのが良いだろう。
それに加えて、「くちほどけ」「のどごし」「冷めて旨い」の3つを意識して選ぶことができたら、もちもち、つやつやのおにぎりに向いた「米」に出会えるに違いない。
これらの特徴から吟味すると、「つや姫」「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」がおにぎりに向いている「米」といる。
おにぎり専門店では「米」だけでなく、入れる「具材」や、使う「海苔」や「塩」、そして「握り方」に至るまで、こだわりを持ち、研究し工夫しているので、至極の一品はぜひお店で味わってほしい。
米の特徴など、米に関する事柄が学ぶことが出来るサイトは、以下の通り。参考にしてほしい。
参考資料:日本列島 お米図鑑
研ぎ(すすぎ、洗い)
昔は精米技術が低く、米ヌカが大量に残っていたので、炊く前にしっかり研いで落とすことが必要だったが、現在は、精米技術が向上したので、しっかり洗い落とす必要はなく、うっすら残っている「肌ヌカ」やゴミを洗い流すだけで良い。
よって、米研ぎの目的は、肌ヌカ」やゴミを洗い流すことに加え、「米に軽く傷をつけ、水分を浸透しやすくする」ということになる。
研ぎ(すすぎ、洗米)のコツ
1.すすぎ【最初のすすぎは「スピードと水質が大事!」】
正確に米の分量を量ったら、米をあらかじめ水を張ったボウルや炊飯器の内釜(米研ぎは、炊飯器の内釜を使っても問題はない。)に入れ、最初のすすぎを行う。
米が全部浸るくらいに水を入れ、手で軽くお米を2〜3回転(約10秒)させたら、素早く水を全部捨てる。
ここでのすすぎは、「軽いすすぎ」であって、乾燥した米は、米に残っているヌカの匂いも吸収するので、素早く水を捨てるのがポイント。何度もかき混ぜたり、すすぎの状態で放置しない。
米は乾物のため、特に研ぎ始めの最初の水は、吸収しやすく、一番はじめに米に加える水は、カルキ臭のする水道水ではなく、浄水器の水などのおいしい水がベスト!
2.洗米【軽やかにシャカシャカ研ぎ】
水がほとんどない状態の米を、ボウルや炊飯器の内釜で、シャカシャカとやさしく研ぐのがポイント。
猫の手の様な形又は、ソフトボールを握ったような手の形で、一定のスピードで同じ方向に20回くらい、米の摩擦を利用しながらシャカシャカとかき回す。
研いだ後は、そのボウルに水(ここは水道水でOK)を入れ、白く濁った研ぎ汁を捨てる。
軽くかき混ぜ、底に残った研ぎ汁も捨てる。
ゴシゴシ、ギュッギュッと力を入れて研ぐと米が割れてしまうため、絶対にやってはダメ。
また、米に水を張った状態で研ぐのも、米どうしの摩擦が起きず、きちんと研ぐことが出来ない。
3.研ぎ水の取り換え【2~3回】
素早く水を溜め、研ぎ汁を捨てる「研ぎ水の取り替え」は、「2回」行い、合計3回程度研ぐと良い。
目安は、「うっすら米が透けて見え、水が澄む程度」で、水が透明になるまですすぎを繰り返すと、途中からは、でんぷん層が流れ出て水が濁るので、米の栄養分や旨み、甘みも全部流れ出てしまう。
4.炊く準備【研ぎ終わったらそのまま炊き上げる】
お米を研ぎ終わったら、そのまま分量の水を追加して水に浸し、炊飯器や鍋で炊き上げる。
このときの水は、ミネラルウォーターなどを使うとより美味しく炊き上げられる。
【補足】
1.ザルで水切りしない方が良い
研いだ米をザルで勢いよく水切りすると、米が急激に乾燥してひび割れてしまい、本来割れるはずのない米まで割れてしまうので、ザル上げ後は、乾燥しないよう5分以内に、素早く炊飯器や鍋に移して水を加えると良い。
2.新米や精米したての鮮度のよい米はやさしく、鮮度の落ちた古米はしっかり研ぐ
新米や精米したてのものなど、鮮度の良いものを食べるときは、手で押さえつけてゴシゴシと洗うとお米が割れてしまい、美味しくなくなってしまうので、「優しく研ぐ」のが良い。
精米から1年以上経過した「古米」と言われる米は、米の表面が古くなり、風味も悪くなっているので、精米から1年以上が経った古米の場合のみ、しっかりギュッギュッと「しっかり研ぐ」のが良い。
炊き
米も水も、正確に計ることが大切で、米はカップに対し、すりきりでピッタリと計るように心がける。水は、米重量の1.2倍が基準。
水加減は慎重に好みに合わせて増減して硬さを調整するが、固めにしたいからといって極端に水を減らしたり、柔らかくしたいからといって極端に水を増やしてはダメ。
また、ご飯は炊く量によって味が相当に異なるので、できれば大きなお釜にいっぱい炊くのが理想的で、炊く量に応じて釜の大きさを使い分けると良い。
釜や炊飯器で炊ける量を、いっぱいに炊くようにすると、おいしいご飯になる。(釜に対して8割が最大量)
炊きのコツ
1.浸漬(米を水に浸す)【ふっくらと炊きあがる】
炊く前に、水に浸すことがとても大切で、浸漬をすることにより、米の芯までたっぷりと水が浸透する。
水を含んだ米は、炊き増えし、ふっくらと炊き上がる。最低30分(冬場なら1時間)浸漬する。
また、お米は水を含む量に限りがあるため、長く漬けすぎると逆にデンプン層が流出してベタつきの原因になってしまうので、「最長でも90分が目安」となる。
浸漬の際は、温度が低いほうが好ましく、夏場などは冷蔵庫に入れておくと、なお良い。
2.炊飯器で炊く【早炊き】
早炊きでは、このプロセスのうち「お米に水を吸水させる」「炊き上がったごはんを蒸らす」の時間を短めにすることで早く炊き上げており、浸水の時間と蒸らしの時間が短くなることで、早炊きモードでは食感がややかためになるケースが多いようだが、米が十分に 浸漬(米を水に浸す)し吸水されていれば、米に芯が残ることは無い。
3.蒸らし【おいしさ、栄養面でも必須】
炊き上がったご飯は、充分に蒸らすことが必要で、ご飯は、蒸らし加減でも味がずいぶん違ってくるので、「火を止めてから10~15分間」は、フタをとらずにそのまま蒸らす。 蒸らしすぎてもご飯が絞まってしまうので要注意。
火を止めた直後のご飯と、充分に蒸らしたご飯を比較すると、蒸らしたご飯は、見た目にもふっくらとしているのは、蒸らす段階で、釜の中を火を止めたときのままの高温状態にしておくことにより、米に蒸気を充分吸いこませ、 余分な水分がお釜の中に残らないようにしているから。
さらに、充分な蒸らしをすることで、米の中心のデンプンを消化吸収しやすい状態にもしてくれる。
4.シャリ切り【味を均一化し風味を保つ】
蒸らしが終わったら、釜の底からお米をはがすように「シャリ切り」(かき混ぜる)をする。
「シャリ切り」をすることにより、釜の底や中のお米が空気に触れ、余分な水分を飛ばすことができる。また、味も均一化され、風味を損なわず保温できる。
握り
「握り」は、おにぎり用型などを使わず、手でふっくら握ること。
手で握るからこそ、絶妙な力加減で冷めてもおいしい、おにぎりができるのだとか。
おにぎりの専門店では、「握りすぎない」ことを意識しているそう。おにぎり=三角形、というイメージを持っている方も多いと思うが、おにぎりは片手で食べるもので、極端な言い方をすると、形はどうであれ、まとまっていればいいのだそう。
三角形にする場合は、握る回数は3回まで!
精米
米の場合、収穫するタイミングよりも「精米からの日にち」が一番大事だとの事。
精米すると、米はすぐに酸化して味が落ちてしまうが、逆に精米直後の米は、独特の粘り気や旨みが凝縮されたままだという。
この精米直後という「鮮度」への徹底こそが、最高の美味を生むのだそう。
具材
全国で消費されているおにぎりの具材を推定するには、コンビニのおにぎり具材の「人気ランキング」を見れば、わかるのではないかと思って、3年前の少し前の資料ではあるが、見つけたので確認してみよう。
大手コンビニの具材
下記は、大手コンビニ3社の「おにぎりの販売量」をもとにランキング化したもので、季節による影響も考慮するため、春、夏、冬の3つの結果を並べている。
参考:「フェリカネットワークス株式会社 IDレシートデータ」をもとに作成
引用元:株式会社モデル百貨 【コンビニおにぎりの歴史と各社人気ランキング!キャッシュレスなどのサービスと比較した変遷】
上記のランキングの結果で分かったことは、圧倒的にツナ(ローソンではシーチキン)が強く、次点で鮭、梅という結果になっている。
この結果は、吾輩が必ず買うお気に入りの「おにぎり」の具材とほぼ一致していて、吾輩のお気に入り具材は、「ツナマヨ」「梅」「昆布」だ。
おにぎり専門店の具材
大塚【おにぎり ぼんご】
具材も定番のしゃけ、明太子、焼きたらこなどから、ホッキサラダや醤油漬けの卵黄などちょっと変わった具材まで、あれこれチャレンジしてみたくなる具材がいっぱいだ。
さけ+すじこ、卵黄+肉そぼろなど、具材を組み合わせることも可能とのこと。
主な具材は下記の通り。
筋子、肉そぼろ、ホッキサラダ、明太マヨクリームチーズ、牛すじ、スタミナ焼肉、ベーコン、豚キムチ、鶏唐揚、ねぎとろ、卵黄、まぐろ角煮、じゃこ生七味、うにくらげ、数の子、野沢菜、塩辛、イカ明太子、しそ味噌、紅くらげ、生たら子、焼きたら子、しゃけ、辛子明太子、しらす、あさり、青しそ、おかか、芝漬、ふる漬、わさび漬、納豆、チーズ、うめ、鮭マヨネーズ、明太マヨネーズ、じゃこマヨネーズ、ツナ、ピーナッツ味噌、たくあんキムチ、味の花、こうなご、ままけは、ふき味噌、数の子、しそ昆布、カレー、高菜、きゃらぶき、のりの佃煮、はとうがらし、山ごぼう、紅生姜、味噌にぎりなど
参考URL:おにぎり ぼんご
浅草【宿六】
鮭、たらこ、おかか、昆布、梅干し、葉唐辛子など定番から、茄子、奈良漬、風味漬、塩辛などご飯に合いそうな具材がたくさんあり、どれも美味しそうで迷ってしまう。
主な具材は下記の通り。
しらす、山ごぼう、福神漬、紅生姜、生姜味噌漬、塩柴漬、ねぎ、あみ、スジコ、イクラ
参考URL:おにぎり 浅草 宿六
〒111-0032 東京都台東区浅草3丁目9−10 キャピタルプラザ浅草
築地【おにぎり屋 丸豊】
明太子、焼たらこや昆布、筋子、いくら正油、えび天など定番のおにぎりから、塩昆布入りの帆立や、焼いたアジをほぐした焼きあじ、鮭も辛口と甘口があったり、鮭・いくらの親子おにぎり、鮭・たら子の他人おにぎりなどの組み合わせも楽しめる。
おぼろ昆布、鮭ハラス、うなぎ、あさり、塩辛など築地ならではの海鮮おにぎりが魅力的で、海鮮だけでなく、唐揚マヨ、焼おにぎり、焼チーズなどもあり、中でも人気が、煮卵が入った「ばくだん」。
主な具材は下記の通り。
たら子、鮭、梅、明太子、昆布、おかか、たぬき、焼きたら子、他人、煮たら子、ツナ、あさり飯、さけわさび、しじみさんしょう、牛肉しぐれ、焼きチーズ、いくら、筋子、親子、鯱天
参考URL:おにぎり屋 丸豊
〒104-0045 東京都中央区築地4丁目9−9 築地場外市場 1F
学芸大学【飯塚精米店】
うめ、さけ、たらこ、すじこ、おかか、唐揚げ、明太子、葉唐辛子、しらす、ツナマヨネーズなど、おにぎりとして人気の具材が20種類以上。
主な具材は下記の通り。
うめ、さけ、たらこ、明太子、すじこ、からあげ、おかか、納豆、みそ、葉とうがらし、しらす、こぶ、高菜、ツナマヨネーズ、さけ入り焼きおむすび
参考URL:飯塚精米店
新宿【米屋のおにぎり屋 菊太屋米穀店】
鮭、たらこ、辛子明太子、ツナマヨなどの定番から、たけのこ山椒など季節限定のおにぎりなど揃っている。
主な具材は下記の通り。
おかか、昆布、とうもろこし、野沢菜、ツナマヨ、梅、ちりめん山椒、炭焼どり、焼さば、たらこ、辛子明太子、紅鮭、サーモン醬油漬
参考URL:米屋のおにぎり屋 菊太屋米穀店
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷5丁目24−55 エキナカ ニュウマン新宿 2階
ポイント
おにぎり専門店のおにぎりの具は、自宅で作るおにぎりやコンビニのおにぎりとは違って、定番の具材ではなく、普段食べたことのないような具材を選びたくなるのは、吾輩だけだろうか?
専門店のおにぎりは、専門店ならではの魅力が詰まっていて、なんだか特別な感じがするし、ついつい、少し奮発したり、冒険したりしてしまう。何度も通う常連さんが多いのも納得できる。
また、専門店は、お店ごとにこだわりがあり、食材が吟味されているので、自宅では味わえないという事も、特別な感じがする一因だろう。
海苔
おにぎりの海苔は、おにぎりに海苔を巻くことで、手にお米がつかないという便利さから、おにぎりに海苔を巻くという習慣がついたとされているが、今や人気店のおにぎりは、海苔は単なる箸や器の代わりではなく、おにぎりの重要な要素である事に疑いの余地はない。
一口に焼海苔と言っても、硬さ・色・味・香りはまったく異なり、これは吾輩が見てもわかるくらいだ。
しかし、おにぎり専門店では、「有明海」の海苔を使っているところが多いようだが、数種類を食べ比べ、使う米や具材などに合わせて、仕入れる海苔を決めているという。
その評価の基準は以下の3つ。
- ほよい口どけはあるか
- 海苔の香りを感じられるか
- 具材の味を邪魔していないか
などだそう。
海苔の産地
ちなみに海苔は、全国各地で生産されていて、生産地を大別すると以下の「3つのブロック」に分けられる。
「東日本ブロック」の産地
宮城、千葉、神奈川、愛知、三重など
「瀬戸内ブロック」の産地
兵庫、岡山、広島、山口、香川、徳島、愛媛など、瀬戸内海に面する地域
「九州ブロック」の産地
福岡有明、佐賀有明、長崎、熊本、鹿児島
「有明海」では、国産海苔の約4割が生産されており、産地は佐賀県、福岡県、熊本県、長崎県の4県で、特に佐賀県は毎年生産量1~2位を争う代表的な産地のひとつとなっている。
有明海に次ぐのが「瀬戸内海」で、国産海苔の約3割が生産されており、産地は大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、大分県。
伊勢湾に接する愛知県と三重県でも、古くから海苔の養殖が行われている。
東京湾でも国産海苔は生産されているが、現在は東京では海苔の生産は行われておらず、産地は千葉県と神奈川県。
国産海苔の生産地で最北に位置するのは、仙台湾に接する宮城県。
多くのおにぎり専門店では、海苔は香りが豊富でアミノ酸の含有量が多い、「有明産」を使用しており、九州の一級河川である大きな筑後川と矢部川から栄養豊かな水が流れ込んでいる栄養豊かな海で育った海苔は、「香りと味」に秀でているとの事。
海苔の栄養素
海苔には、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3種類もの「うま味成分」が含まれている。
3種類のうま味成分
- グルタミン酸…主に昆布、野菜などに含まれるアミノ酸
- イノシン酸…主にかつお節、肉類、魚介類などに含まれる核酸
- グアニル酸…主にしいたけなどに含まれる核酸
この様に加工品でなはく、自然に3種類もの「うま味成分」が含まれているものは珍しく、「うま味の相乗効果」が期待できる。
ビタミン
また、海苔には、ビタミン、ミネラルが豊富に含んでいて、その中でも注目なのはビタミン B1 と B2。
このビタミン B は、米の主成分は炭水化物のため、ビタミンB1を一緒に摂ることで、効率よくエネルギーに変えることができる。エネルギーの代謝と燃焼に必要なビタミン。(B1=糖質の分解・B2=脂肪の燃焼)
鉄分、カルシュウム
さらに、日頃不足しがちな鉄、カルシウムなども豊富に含まれており、ごはんの栄養分を補い最強のミネラルを作り出す。
食物繊維
食物繊維には、血糖値の上昇をゆるやかにする作用があり、炭水化物(糖質)の多いごはんを食べるときに、海苔を一緒に食べると血糖値の急上昇を防ぐことができるので、ぜひ一緒に食べたい。
食物繊維には、水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維の2種類があり、海苔には水溶性食物繊維が多く含まれているので、糖値の上昇を抑えるだけでなく、コレステロールを排出する作用や、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える効果もある。
塩
おにぎりにつける塩の量は、どの位が良いのかについては諸説あり、一般的なおにぎり(100gから120g)に「最適な塩の量は0.5gが目安」だそう。指3本でつまむ程度の量だとの事。
塩辛い具材をおにぎりの中に入れる場合は、塩の量は少し減らした方が良い。
大手コンビニでは、「赤穂の焼きあらじお」「瀬戸備前にがり塩」などが使われており、おにぎり専門店では、お店それぞれこだわりを持っているようだが、ここでは、自宅でのおにぎり作りに最適な塩の選び方とおすすめの塩を紹介したい。
詳細は以下の通り。
おにぎり作りに適した塩の選び方のポイントは次の2点です。
- 塩の結晶の形や大きさ
- 適度な塩味がある塩
ポイント①塩の結晶の形や大きさ
おにぎりには基本的に結晶の大きさが細かな塩が適しています。
細かい塩はより均一に分散し、ごはんにしっかり馴染んで調和した味を作り出します。
粒が大きかったりサクサクしたフレーク状だったりすると、おにぎりをかじった時にジャリッとした食感が目立ってしまうため、お米の食感を打ち消してしまうことがあります。
ポイント②適度な塩味がある塩
おにぎり専門店の中にはしょっぱさの鋭い塩を少量使うことでお米の甘さを引き出しているお店もありますが、塩のしょっぱさが鋭い分、ほんの少しの塩の加減によってしょっぱさが強くなりすぎてお米の味を打ち消してしまう可能性もあります。
おうちで塩おにぎりを作る場合には、塩味が強すぎず弱すぎのほどよいしょっぱさの塩を使うと、失敗が少なくお米の味を引き立てることができるでしょう。
なお、しょっぱさの強弱はパッケージの裏側に記載してある「栄養成分表示」の中の「食塩相当量」という数値を見ることで推測することができます。
食塩相当量が低ければしょっぱさはまろやかで、食塩相当量が高ければしょっぱさが強い塩の可能性が高くなります。
平均値はだいたい100g中90~95gほどなので、この数字を基準にすると選びやすいでしょう。
塩の専門家が選ぶ、おにぎりに特におすすめの塩3選
実際に上記でご紹介した10種類の塩で塩おにぎりを食べてみて、個人的に特に気に入った3つをご紹介します。
引用元:日本ソルトコーディネーター協会【塩おにぎりに最適な塩の選び方とは?】
- 黒潮源流塩
- 100zen海の塩
- 玉藻塩
まとめ
人気が高まった「おにぎり」だが、専門店の様にこだわった米や具材を自宅で使うことは出来ないが、ここでは、自宅で出来る「おにぎり」の作り方をまとめると以下の通りだ。
1.米:普段から自宅で食べている米でよい。
2.精米:できれば精米直後の米を使う。
3.すすぎ:軽く洗い米が全部浸るくらいに水を入れ、手で軽くお米を2〜3回転(約10秒)させたら、素早く水を全部捨てる。
4.洗い:水がほとんどない状態の米を、シャカシャカとやさしく研ぐのがポイントで、ソフトボールを握ったような手の形で、一定のスピードで同じ方向に20回くらい、米の摩擦を利用しながらシャカシャカとかき回す。
5.研ぎ水の取り換え:素早く水を溜め、研ぎ汁を捨てる「研ぎ水の取り替え」は、「2回」行い、合計3回程度研ぐと良い。
6.浸漬(米を水に浸す):炊く前に、水に浸すことがとても大切で、浸漬をすることにより、米の芯までたっぷりと水が浸透する。水を含んだ米は、炊き増えし、ふっくらと炊き上がる。最低30分(冬場なら1時間)浸漬する。
7.炊飯器で早炊きする
8.蒸らす:「火を止めてから10~15分間」は、フタをとらずにそのまま蒸らす。 蒸らしすぎてもご飯が絞まってしまうので要注意。
9.シャリ切り:蒸らしが終わったら、釜の底からお米をはがすように「シャリ切り」(かき混ぜる)をする。「シャリ切り」をすることにより、釜の底や中のお米が空気に触れ、余分な水分を飛ばすことができる。
10.握り:握りは、おにぎり用型などを使わず、手でふっくら握る。握り過ぎない3回程度。
自宅でおにぎりを作る場合は、この様に上記の点に注意すれば、特別なものは必要なく、お手軽に「おにぎり」を作れるのではないか?
さらに、米や海苔、塩などにもこだわれば、自宅でも専門店に負けない「おにぎり」を作れるかもしれない。
是非、チャレンジしてもらいたい。
ともに頑張ろう!!