長かった夏の暑さも終わり、「食欲の秋」としての味覚を味わうのもそこそこに、11月になると、冬の味覚「カニ」の解禁シーズンがやってくる。
冬の日本海を代表する味覚としての「カニ」は、多くの人が心待ちにしている事だろう。
吾輩も、その中の一人で、特に年末年始に、「カニ」鍋をつつくのが楽しみである。
鍋に入れると旨みがだしに溶け込み、体の芯から温まる一品となり、五臓六腑に染み渡る。
この季節、身がぎっしり詰まった新鮮な「カニ」を味わえるのは、寒い時期ならではの贅沢だろう。
ここでは、日本海の「ブランドガニ」について、見ていきたいと思う。
冬の日本海の味覚「ズワイガニ」の有名産地と解禁日
「ズワイガニ」の有名産地
ズワイガニの主な漁獲地域は、2013年段階において、日本海の西部で、石川県、福井県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県の1府5県にまたがる地域である。
この地域だけで漁獲量の「約84%」を占めていたことからも、この地域の「カニ」が有名だという事がわかる。
引用元:水産庁ホームページ 平成27年漁期TAC(漁獲可能量)設定に関する意見交換会
しかし、近年では、日本海西部の漁獲量が減少傾向で、この原因の1つとして、海水温の上昇ではないかと推測される。
「カニ」は、「2〜4℃位」の水温でしか生息できないそうだ。
この海域の漁獲量が減少傾向の中、一方、北海道では、漁獲量が増えて来ており、2019年においては、北海道が漁獲量日本一となっている。
以下は、漁獲量の推移と、漁獲量の都道府県別シェア、及び漁獲量ランキングですので、参考にされたい。
漁獲量の推移
引用元:食品データー館【都道府県】ズワイガニの産地・漁獲量ランキング
「ズワイガニ」の解禁日
冬の始まりを告げるのは、「カニ」の解禁日だが、特に北陸や、山陰地方の「カニ」はとても有名で、全国から足を運ぶ人も多いのだとか。
金沢に限らず、日本海の冬の味覚といえば、皆さんもご承知の通り、ずばり「ズワイガニ」だろう。
この「ズワイガニ漁」は、4~10月の間は、農林水産省令で禁漁されており、「カニ解禁日」は、一部の地域を除き、毎年11月6日となっている。
下記資料は、水産庁の日本海西部の「ズワイガニ」の禁漁期間を表したもので、参考にされたい。
引用元:水産庁ホームページ 日本海西部あかがれい・ずわいがにの広域資源管理について
ちなみに、「カニ」の保護のため、毎年11月6日から3月20日あたりまでが、「カニ」漁ができる期間、いわゆる「漁期」となっている。
しかし、「オスガニ」と「メスガニ」でその期間が若干異なり、水産資源の保護の観点から、「メスガニ」の漁期が短くなっている。
【メスガニの漁期】11月6日~翌年1月20日
【オスガニの漁期】11月6日~翌年3月20日
「ズワイガニ漁」の取り決め
ズワイガニ漁は、A海域(富山県以西)では、ほとんどが「沖合底びき網(沖底)」と呼ばれる漁法で行われているが、B海域(新潟県以北)では、主に「小型底びき網(小底)」と呼ばれる漁法と刺網によって漁獲されれているとのこと。
他にも、「かにかご」等 による漁法もあるそう。
日本海のズワイガニ漁業は、底びき網による漁法が中心であり、海底の生物を捕獲してしまうため、水産資源保護を目的として、様々な漁業規制がかけられているという。
主な規制は、以下の通り。
1つ目は、基本的な法的規制として、国が定める「特定大臣許可等の取締りに関する省令」(農林水産大臣が出す行政上の命令)があるそう。
2つ目は、「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」(TAC法)にもとづき、ズワイガニについては、国により漁獲量の上限となる漁獲可能量(TAC)が設定されているそう。
なお、TAC法は、2020年1月に70年ぶりに施行された漁業法に、統合された。
3つ目は、これらの法的な漁業規制に加え、漁業者間の「協定」などがあるそう。
例えば、日本海西部のズワイガニ漁業では、石川県から島根県までの1府5県の関係漁業者で構成される「日本海ズワイガニ特別委員会」において、「日本海ズワイガニ採捕に関する協定」を取決め、漁業者の自主規制により省令の強化などが行われているという。
漁場による「ズワイガニ」の違い
「ズワイガニ」の食味や特徴は、漁場によって違いがあるとされており、一般的に「北の海」と「西の海」では、いくつかの要因によって風味や質感に違いがあるのだという。
これには、「カニ」の食べる餌、海水温、漁場の地形や水質などが関係しているのだとか。
1. 漁場の違いと影響
北の海(オホーツク海や日本海北部)は、寒冷な気候と冷たい海水が特徴である。
冬季には海が凍ることもあり、冷たい水の中で育つ「ズワイガニ」は、身が引き締まっていて、甘みが強いとされている。
冷たい水の中で成長するため、成長スピードがゆっくりで、その分、食感がしっかりしているという。
西の海(日本海西部や山陰地方沿岸や福井県周辺)は、北に比べて水温がやや高く、栄養豊富な暖流と冷たい寒流がぶつかるため、豊富なプランクトンや海藻が生息している。
このため、西の海で育つ「ズワイガニ」は、やや柔らかい食感で、甘みがありつつも身がとろけるような感覚を持つとされる。
2. カニが食べる餌による違い
「ズワイガニ」は、主に魚類(ただし、生きた魚は捕まえられないので、死んで海底に落ちた魚)、クモヒトデ、エビ類、イカ類、ゴカイ類などを食べているという。
北の海(オホーツク海や日本海北部)では、寒冷な水温下で生育する特有のプランクトンや魚介類が豊富で、これらの餌が「ズワイガニ」の甘みをさらに引き出すという。
西の海(日本海西部や山陰地方沿岸や福井県周辺)では、比較的暖かい海域で成長するため、異なる種類のプランクトンや甲殻類を餌にしている。
この違いが、「カニ」の風味や質感に、影響を与えると考えられている。
3. 海水温の影響
「ズワイガニ」は、冷たい水域「2〜4℃位」を好む傾向があり、特に低水温で育ったカニの方が、身が引き締まり、甘みが強くなるとされている。
北の海(オホーツク海や日本海北部)のような極寒の環境では、「ズワイガニ」は、ゆっくりと成長するため、質の高い身を形成するという。
西の海(日本海西部や山陰地方沿岸や福井県周辺)のような比較的温暖な海域では、成長が早く、やや柔らかい食感が特徴となることが多いそう。
このように、海水温は、カニの身の引き締まりや味に、大きな影響を与えるとのこと。
4. 総合的な食味の違い
北の海で獲れるズワイガニ(例えば、オホーツク海や北海道沿岸のズワイガニ)は、非常に引き締まった身と強い甘みが特徴で、食感がしっかりしている。
特に寒冷な環境下でのカニは、風味が濃厚で、贅沢な甘さが広がる。
西の海で獲れるズワイガニ(例えば、山陰地方や福井県周辺)は、柔らかく甘みがある一方で、身がとろけるような食感を持つ。
身の柔らかさが好きな人には、西の海の「ズワイガニ」が人気とのこと。
5. 結論
「ズワイガニ」の風味や食感は、漁場ごとに異なる環境要因(餌、海水温、成長スピードなど)によって変化する。
北の冷たい海では、引き締まった身と濃厚な甘みが特徴となり、西の温暖な海では、柔らかい食感と優しい甘さを楽しむことが出来る。
どちらが好まれるかは、個々の好みによるが、海域による「ズワイガニ」の違いを楽しむのも、冬のカニ料理の醍醐味の一つだろう。
日本海沿岸の主な「ズワイガニ」の魅力
山形県:庄内産の「庄内北前ガニ特選」に関する情報
山形県 ブランドガニ 【庄内北前ガニ特選】
引用元:やまがた庄内観光サイト チラシ
- 解禁日
毎年10月1日(庄内地方のズワイガニ漁の解禁日)
庄内浜のズワイガニ漁は、カニの成長期である、脱皮の時期に違いがあるため、北陸や山陰の有名産地より1ヶ月早い10月1日に解禁される。 - オスとメスの呼び名
オスガニ:「芳ガニ(ヨシガニ)」
メスガニ:「クボガニ」全国的には「女ガニ(メガニ)」が通り名。
子が未成熟なメガニは「ゼニガニ」と呼んで区別している。 - ブランドガニのブランド名
「庄内北前ガニ特選(しょうないきたまえがにとくせん)」
庄内浜でとれた、山形県のブランドズワイガニ「庄内北前ガニ」は、曳網回数を1日当たり3回までに制限する独自の厳しい基準を定めており、無制限に捕れるわけではないそう。
「庄内北前ガニ」の中でも、重さが1キロ以上、甲羅の幅が13センチ以上など、厳しい基準を満たしたものだけが「特選」を名乗ることを許されるという。 - 選別基準
1)出荷時点で活ガニであること
2)重さが700g以上であること(※特選は1.0kg以上)
3)甲羅の幅が13センチ以上であること
4)キズ、足キレがないこと
5)ミズガニ(脱皮直後)でないこと
6)雄ガニであること
7)10月~1月に底曳で漁獲したもの - カニの特徴
山形・庄内産のズワイガニは、身がしっかりと詰まっており、甘みが強い。
庄内浜の冷たい海で育つため、旨味が凝縮され、繊細な味わいが特徴。
特にオスは大きく、食べ応えがあり、メスは内子(卵)と外子が豊富で珍味として人気。 - おすすめの食べ方
蒸しガニ:素材の味をシンプルに楽しむために最もおすすめ。
カニ鍋:寒い季節にピッタリ。カニの旨味がスープに染み出て美味しい。
焼きガニ:香ばしい風味と甘みが際立つ。
カニ刺し:新鮮なカニをそのまま刺身でいただく贅沢な食べ方。
カニ雑炊:ズワイガニの旨味がたっぷり詰まった贅沢な一品。
新潟県産の「越後本ズワイ」に関する情報
新潟県 ブランドガニ 【越後本ズワイ】
新潟県のズワイガニを全国の皆様に知っていただくため、新潟県村上市から糸魚川市及び粟島浦村の5漁協で組織する新潟越後広域水産業再生委員会では、平成29年より、厳しい選別基準をクリアした高品質なズワイガニのみを「越後本ズワイ」と名付け、新潟のズワイガニの旗印としてPRを行っています。
このブランドロゴは平成30年8月に商標登録された、まさに「越後本ズワイ」だけの目印です!
美味しさを保証する独自の選別基準!
越後本ズワイの選別基準には、重さ(800g以上)や色つやのほか、独自の選別基準である「身入り指数」を採用しています。
身入り指数は体重を甲羅の幅の3乗で割った値であり、身がぎっしり詰まった良質なカニであることの目安となるもので、新潟県水産海洋研究所が開発したスケールで客観的かつ正確に測定することができます。
このタグが目印です!
「越後本ズワイ」には、厳しい選別基準をクリアした証として、出荷時にブランドロゴが印刷されたタグが取り付けられます。
店頭でお買い求めの際は、タグをご確認ください!
引用元:新潟県ホームページ 新潟の冬の味覚!「越後本ズワイ」
解禁日
毎年11月6日(新潟県内のズワイガニ漁の解禁日)
オスガニ:11月6日~3月31日
メスガニ:11月6日~2月28日
オスとメスの呼び名
オスガニ:「本ズワイガニ(ホンズワイガニ)」
メスガニ:「女ガニ(メガニ)」
ブランドガニのブランド名
「越後本ズワイ(えちごほんずわい)」
「越後本ズワイ」の選別基準は、重さ(800g以上)や色つやのほか、独自の選別基準である「身入り指数」を採用している。
厳しい選別基準をクリアした、高品質なズワイガニのみを「越後本ズワイ」と名付け、厳しい選別基準をクリアした証として、出荷時にブランドロゴが印刷されたタグが取り付けられる。
選別基準
1)新潟県村上市~糸魚川市と粟島浦村の漁港で水揚げされたもの
2)重量800g以上のオス
3)身がぎっしり詰まっているもの(身入り指数38以上のもの)
4)脚が揃っていて色つやが良いもの
5)泥を吐かせたもの
6)出荷時に生きているもの
※身入り指数は、新潟県水産海洋研究所が開発した「越後本ズワイだけの選別基準」であり、「身入り指数は、体重を甲羅の幅の3乗で割った値」により、客観的かつ正確に測定することができるという。
カニの特徴
新潟の冷たい海で育った「越後本ズワイ」は、身が引き締まっていて甘みが濃厚。
オスは大きく、ボリューム感があり、弾力のある身が特徴。
メス(メガニ)は小ぶりだが、内子と外子が豊富で、濃厚な味わいを楽しめる。
おすすめの食べ方
茹でガニ:カニ本来の甘さを引き立てるシンプルな食べ方。
カニ鍋:カニの出汁がスープに染み出し、他の具材も美味しくなる人気の料理。
かに雑炊:鍋の締めとして、カニの出汁でご飯を煮込む贅沢な雑炊。
焼きガニ:香ばしい風味がプラスされ、カニの旨味が一層引き立つ。
石川県産の「加能ガニ」に関する情報
石川県 ブランドガニ 【加能ガニ 輝】
- 解禁日
毎年11月6日(石川県内のズワイガニ漁の解禁日)
オスガニ:11月6日~3月20日
メスガニ:11月6日~12月29日 - オスとメスの呼び名
オスガニ:「加能ガニ(カノウガニ)」
メスガニ:「香箱ガニ(コウバコガニ)」 - ブランドガニのブランド名
「加能ガニ 輝(かのうがに かがやき)」
石川県で水揚げされたズワイガニのオスを「加能ガニ」と呼んでいる。
石川県の漁業協同組合の合併に際し、「加賀」と「能登」から1文字ずつ取って「加能」と名付けられたそう。
甲羅幅が「9cm以上」で、身入りのいいものには「水色のタグ」がつけられる。
さらに、限られた目利き人により、加能ガニの最高峰「輝」に認定されると、石川の伝統工芸・九谷焼のタグが取り付けられる。 - 選別基準
1)加能ガニの水揚漁港は、橋立漁港、金沢港、富来漁港、輪島港、蛸島漁港等で、底曳網漁で水揚げされたもの
2)重量1.5kg以上
3)甲羅幅9.0cm以上(※輝は14.5cm以上)
4)全ての脚がそろっているもの
5)傷がなく色が美しい
6)甲羅が硬く、身入りが良いもの
7)鮮度の徹底 (獲れた日をタグに記載)
8)資源管理に積極的に取り組んでいる - カニの特徴
加能ガニの身は甘みがあり、ツメの部分まで身がつまっている。
身の甘さとプリプリの食感が特徴で、特に水揚げ直後のカニは新鮮で味わい深い。
香箱ガニは小さいながらも、内子や外子の豊かな風味が好まれる。身も甘く、茹でたてをそのまま食べるのがおすすめ。 - おすすめの食べ方
カニ刺し:殻を取った活ガニの脚1本ごとを、氷水につけることで、カニの身が膨らみ「カニの花」が咲く。
蒸しガニ:活ガニを丸ごと1匹味わえる食べ方。蒸したカニの身はふくっらと甘みがあり、味が濃い。
焼きガニ:新鮮なカニみそを甲羅焼にし、焼かれたみその中に身を浸して食べたり、残ったカニみそに日本酒を入れる甲羅酒を楽しめる。
カニ味噌:加能ガニのカニ味噌は非常に濃厚で、カニの身と一緒に食べたり、甲羅焼きにして楽しむこともおすすめ。
香箱ガニ:茹でて甲羅ごと食べるのが一般的で、内子、外子、カニ味噌を混ぜて食べると、一口で多彩な味わいが楽しめる。
味噌汁:コクがあり旨みが凝縮されたカニ味噌と内子、ぷちぷちとした食感の外子、これらからは、香箱ガニの出汁が出て最高。
福井県産の「越前ガニ」に関する情報
福井県 ブランドガニ 【越前がに 極】
引用元:福井県ホームページ 冬の味覚の王者 越前がに
福井県 ブランドガニ 【越前がに 極】
引用元:えちぜん観光ナビ 越前がにとは?
- 解禁日
毎年11月6日(福井県内のズワイガニ漁の解禁日)
オスガニ:11月6日~3月20日
メスガニ:11月6日~12月31日
水ガニ又はズボガニ:2月19日~3月20日(水ガニとは、脱皮直後で殻が柔らかい雄がに) - オスとメスの呼び名
オスガニ:「越前ガニ(エチゼンガニ)」「硬がに(カタガニ)」
メスガニ:「セイコガニ」 - ブランドガニのブランド名
「越前ガニ極(えちぜんがにきわみ)」
「越前がに」とは、福井県の漁港に水揚げされる雄のズワイガニのこと。
越前ガニの最高級ブランド「極(きわみ)」は、福井県が誇る特別な松葉ガニで、厳選された品質基準を満たしたものだけに与えられる称号である。
このブランドは、味、身の入り具合、サイズ、鮮度すべてにおいてトップクラスのカニにしか認定されず、ブランドマークの入った「黄色いタグ」付きのカニが「越前がに」の証。
越前がに「極」には、「黄色いタグ」と「極」の文字が刻まれたダブルタグが付けられる。 - 選別基準
1)福井県で水揚げされたもの
2)重量1.3kg以上
3)甲羅幅9.0cm以上(※極は14.5cm以上)
4)爪の幅3.0cm以上
5)傷がない
6)姿かたちが整っている - カニの特徴
豊富なエサと、日本海海底の冷たい海水で育った越前がには、殻の中に身がギュッと詰まっており、みずみずしくジューシーな甘みが感じられる。
越前ガニは、大きく引き締まった身と、甘さが凝縮されたカニ味噌が魅力です。特に身の甘さや風味が豊かで甲羅の中には、カニみそがたっぷりと入っている。
セイコガニは小さいながらも、卵(内子と外子)がぎっしり詰まっており、カニ味噌の風味も濃厚。
セイコガニは、見た目よりもずっと深い味わいを持ち、特に卵の食感が好まれる。 - おすすめの食べ方
カニ刺し:新鮮な越前ガニは刺身でも食べられる。脚肉を薄く切り、わさび醤油やポン酢で食べると、カニ本来の甘さが感じられる。
茹でガニ:越前ガニの基本的な食べ方はシンプルに茹でること。カニの新鮮な甘みと豊かな風味を引き出すため、何もつけずにそのまま食べるのが一般的。
焼きガニ:カニの殻を割って焼くと、香ばしさが増し、旨みが凝縮される。越前ガニの脚を焼きガニにすると、甘みがさらに引き立つ。
カニしゃぶ:越前ガニを丸ごと1杯、カニしゃぶにし、カニ味噌を加えた出汁で、足の身をさっと、しゃぶしゃぶしてにすると、カニの甘さと味噌の風味が口の中で広がる。出汁にカニ味噌の入った、鍋の最後の雑炊も絶品。
セイコガニの甲羅盛り:セイコガニは茹でた後、甲羅の中に内子や外子、カニ味噌を詰め込んだ「甲羅盛り」が人気。卵と味噌の濃厚な味わいが一度に楽しめる。
京都府・兵庫県・鳥取県・島根県産の「松葉ガニ」に関する情報
解禁日
毎年11月6日(京都府~島根県のズワイガニ漁の解禁日)
オスガニ:11月6日~3月20日
メスガニ:11月6日~12月31日
オスとメスの呼び名
オスガニ:「松葉ガニ(マツバガニ)」
メスガニ:「セコガニ」又は「親ガニ(オヤガニ)」
カニの特徴
松葉ガニは、山陰地方の寒冷な日本海で育つため、身がしっかりと引き締まっており、甘みが強いのが特徴。
特にオスの松葉ガニは大きく、脚の肉がしっかりと詰まっているため、食べ応えがある。
松葉ガニのカニ味噌は、濃厚でクリーミーな風味があり、甲羅に詰まったカニ味噌を味わうのが醍醐味。
松葉ガニは、海のミネラルを豊富に吸収して育つため、甘みと旨味が濃厚で、特に刺身や茹でガニとして食べるとその風味が際立つ。
おすすめの食べ方
カニ刺し:松葉ガニは、活きの状態で販売されることが多く、刺身でカニ本来の味を楽しみたい。ポン酢や市販のカニ酢につけて食べると、上品な甘みと旨味を楽しむことができる。また、濃厚で臭みのないカニ味噌につけるのもおすすめ。
茹でガニ:茹でたものをそのままポン酢につけて食べるのもおすすめで、ふっくらとした身や、松葉ガニの旨味たっぷりの出汁を、感じることができる。
カニ味噌の甲羅焼き:カニ味噌がついた甲羅を焼き網にのせて焼く料理で、濃厚で臭みのないカニ味噌は、カニの身と一緒に食べたり、ごはんを混ぜて食べるのもおすすめ。
カニすき:鍋料理としてカニを楽しむ「カニすき」も冬の定番。カニから出る出汁が、他の具材や鍋全体の味を引き立ててくれる。
産 地 | オスの呼び名 (ブランド名) | トップブランド名 | メスの呼び名 | タグの色 |
---|---|---|---|---|
京都府(間人漁港) | 間人ガニ(タイザガニ) | ***** | コッペガニ | 緑 |
京都府(浅茂川港) | 大善ガニ(ダイゼンガニ) | ***** | セコガニ | 〃 |
兵庫県(浜坂港) | 浜坂カニ(ハマサカカニ) | 光輝(コウキ) 煌星(キラボシ) | 〃 | 水色 |
兵庫県(柴山漁港) | 柴山カニ(シバヤマカニ) | 「柴山GOLD(シバヤマゴールド)」 | 〃 | ピンク |
兵庫県(津居山港) | 津居山カニ(ツイヤマカニ) | ***** | 〃 | 青 |
島根県(隠岐諸島周辺) | 隠岐松葉ガニ(オキマツバガニ) | ***** | ***** | 漁船の所属する港や漁場によって鳥取県の鳥取港・境港・網代港・田後港などに運ばれる。 |
鳥取県(全域)鳥取港・境港・網代港・田後港 | とっとり松葉ガニ(トットリマツバガニ) | 「特選とっとり松葉がに五輝星(いつきぼし)」 | 親ガニ(オヤガニ) | 白地に赤枠赤文字 |
タグ付きの「松葉ガニ」には、以下のような基準が設けられている。
- 甲羅の大きさが11cm以上
- 身入りの状態が良いと判断されたもの
- 「活」の状態で仕入れられたもの
- 脚の折れや欠けがないもの(小指や足の先部分の折れや欠けを除く)
タグなしの「松葉ガニ」とは、以下の両方またはいずれかに当てはまるカニである。
- 甲羅の大きさが9cm以上11cm未満
- 脚が1~2本欠損している
松葉ガニは、甲羅のサイズが、9cm以上のものしか漁獲できない決まりがある。
タグ付けの基準に、惜しくも通らなかった小ぶりの松葉ガニや、脚が欠けて見た目の悪いものは、タグは付けられないが、味はタグ付きと変わらないとのこと。
松葉ガニ 各地のトップブランド
兵庫県(浜坂港)【浜坂松葉ガニ 光輝(こうき)・煌星(きらぼし)】
兵庫県 ブランドガニ 【浜坂松葉ガニ 光輝・煌星】
引用元:浜坂漁港協同組合 浜坂松葉がに
兵庫県(浜坂港)【柴山GOLD(シバヤマゴールド)】
兵庫県 ブランドガニ 【柴山GOLD(シバヤマゴールド)】
引用元:柴山GOLD
兵庫県(柴山漁港)ブランドガニのブランド名
「柴山GOLD(シバヤマゴールド)」
選別基準
1)指落ちが無い
2)重量1.35kg以上
3)左右のバランスが良く
4)甲羅幅13.5cm以上
5)漁業者、選り手、仲買人の全てに認められていること
鳥取県(全域)「特選とっとり松葉がに五輝星(いつきぼし)」
鳥取県 ブランドガニ 【特選とっとり松葉ガニ 五輝星(いつきぼし)】
引用元:とっとり市(いち)最高級ブランド・特選とっとり松葉がに「五輝星」タグ付【生/茹で】
鳥取県ブランドガニのブランド名
「特選とっとり松葉ガニ 五輝星(とっとりまつばがにいつきぼし)」
選別基準
1)甲羅幅13.5cm以上
2)重量1.2kg以上
3)全ての脚が揃っている
4)鮮やかな色合い
5)身が詰まっていること
通販でズワイガニを購入する際の5つのポイント
【プロが教える!】通販でズワイガニを購入する際の5つのポイント
引用元:カニ総本店 松菱
カニの簡単なさばき方
引用元:JFいしかわ 加能ガニ むき方
まとめ
日本海産のズワイガニは、冬の訪れとともに解禁され、段々と寒くなってくる、この季節ならではの、贅沢な味覚となっている。
ズワイガニは、全国各地で親しまれており、特に日本海側では、松葉ガニ(鳥取・兵庫)、越前ガニ(福井)、加能ガニ(石川)など、地域ごとに異なる愛称で親しまれている。
引用元:水産研究・教育機構 日本海西部におけるズワイガニのブランド名
豊かな甘みと旨味が詰まったカニの身は、茹で、焼き、鍋、刺身と様々な調理法で楽しむことが出来、どれもその独特の風味を堪能できる贅沢な一品である。
特に、各地の目利きにより認定された、トップブランドのカニたちは、希少性が高く、めったにお目にかかることが出来ない逸品である。
日本海の豊かな海で育まれるカニたちは、自然の恵みそのもの。
その恵みを長く享受するため、地元の漁師や漁業関係者の皆さんが、ズワイガニの王者である、トップブランドの称号を守るため、水産資源保護の取組みがしっかりと守られ、努力されていることの証である。
段々と寒くなり、あったかい鍋料理が恋しくなる季節。
年末年始は、カニ鍋であったまろう。