夏季オリンピックのバレーボール競技は、男女共に「1964年の東京オリンピック」で正式競技となってから、現在まで行われている。
バレーボールは、吾輩が就職して間もないくらい(1985年)迄は、昼休み時間に、バレーボールを使ってトスやレシーブをしながら「ボール回し」をしていたことを思い出した。
その当時は、バレーボールが大変人気があって、大人は公園で、学生は校庭で「ボール回し」をしていたものである。
それはなぜかと思い返すと、バレーボールは、オリンピック1964年東京大会で正式競技になったことに加え、日本代表チームがこの大会で初出場を果たし、この大会で女子が初の金メダルを獲得したからだ。
ちなみに、男子チームは、1972年ミュンヘン大会で初の金メダルを獲得している。
当時の女子バレーボールチームは、「東洋の魔女」と称され、大変な人気がり、その後東京オリンピックの金メダル獲得によって、バレーボールブームが起こり、テレビドラマでは『サインはV』、漫画・アニメなどでは『アタックNo.1』など老若男女問わず食い入るように見ていた。
そんなバレーボールだが、今大会も男女ともに人気があり、メダル獲得を期待されているが、今大会で勝敗のカギとなりそうなのが「ブロック」ではないかと思っている。
ここでは、その「ブロック」について見ていきたい。
「ブロック」とは
バレーボールの「ブロック」とは、ネット際で相手の「スパイク」やアタックを防ぐために行われる防御行動のことで、攻撃を無効化し、得点を防ぐための重要な技術である。
「ブロック」の基本的な概念、種類、役割は以下の通り。
「ブロック」の基本的な概念
- 目的
- 「ブロック」の主な目的は、相手チームの攻撃を直接阻止すること。
- 直接ポイントを獲得する場合もあるが、多くの場合は相手の攻撃を弱め、リバウンドを味方が拾いやすくすることが目標となる。
- 基本動作
- プレイヤーは、ネット際に位置し、相手のアタッカーの動きを見ながらジャンプして両手を広げ、指を開いて「ブロック」する。
- タイミングよくジャンプし、手を相手コート側に押し出すことで、「スパイク」を封じ込む。
「ブロック」の種類
- シングルブロック
- 一人のプレイヤーが単独で「ブロック」することで、主にミドルブロッカーが行う。
- 相手の攻撃に対して素早く反応しなければならないため、高度な技術が求められる。
- ダブルブロック
- 二人のプレイヤーが協力して「ブロック」することで、通常、ミドルブロッカーとアウトサイドヒッターが協力する。
- より広い範囲をカバーでき、成功率が高くなる。
- トリプルブロック
- 三人のプレイヤーが連携して「ブロック」することで、特に強力なアタッカーに対して行われる。
- 非常に強力な防御だが、他のエリアが手薄になるリスクがある。
「ブロック」の役割と効果
- 得点の防止
- 成功した「ブロック」は、直接ポイントを阻止し、自チームに有利な状況を作り出すことが出来る。
- 相手の強力な「スパイク」を止めることで、相手のリズムを崩す効果がある。
- リバウンドの誘発
- 「ブロック」が成功しなくても、ボールをリバウンドさせて味方が拾いやすい形にすることができる。
- これにより、次の攻撃を自チームが仕掛けるチャンスが増える。
- 心理的プレッシャー
- 効果的な「ブロック」は、相手に心理的なプレッシャーを与え、相手アタッカーは、「ブロック」を意識することで、ミスを犯しやすくなる。
- 戦術的な役割
- 「ブロック」は、ディフェンスの一環として、相手チームの攻撃パターンを分析し、特定のプレイヤーや攻撃を重点的に防ぐ戦術の一部。
- コーチやプレイヤーは、相手の攻撃の特徴に応じ、「ブロック」の配置や方法を調整する。
「ブロック」技術の向上
- トレーニング
- ジャンプ力や手の位置、タイミングを向上させるための専門的なトレーニングが行われる。
- チーム練習では、ブロッカーとディフェンダーが連携して実戦形式の練習を行う。
- 映像分析
- 相手チームのアタッカーの動きを分析し、「ブロック」のタイミングや位置を研究する。
- 自分たちの「ブロック」の弱点を把握し、改善点を見つけるための映像分析も重要。
バレーボールにおいて「ブロック」は、攻撃と防御のバランスを取るために欠かせない技術で、「ブロック」のスキルを磨くことで、チーム全体の防御力が向上すると共に、試合における競争力が高まることが期待できる。
高い「ブロック」の利点
1.相手のスパイクをより高い位置で止められる
- 高い「ブロック」は、相手の「スパイク」をより早い段階で捕らえることができ、攻撃を未然に防ぐ確率が高まる。
2.広い範囲をカバーできる
- 高いプレイヤーは、手の届く範囲が広いため、ネットの広範囲をカバーすることができるため、相手の攻撃コースを制限することができる。
3.プレッシャーを与える
- 相手アタッカーにとって、高いブロックは心理的なプレッシャーになり、高さがあることで、相手が「スパイク」を打つ際に、「ブロック」を意識せざるを得なくなる。
「ブロック」の最高到達点
「ブロック」で重要なポイントとして、どの位の高さまで手が届くのかという事があるが、そもそも、バレーボールのネットの高さは、どのくらいあるのだろうか?
男子と女子では、バレーボールのネットの高さが異なり、男子の一般的なネットの高さは「2.43m」で、女子の場合は「2.24m」が標準となっている。
ちなみに、日本男子代表チームについて、選手毎の身長と最高到達高さを一覧表にしてみた。
選手名 | 身長 | 最高到達高さ | ポジション |
---|---|---|---|
石川祐希(いしかわ・ゆうき) | 192cm | 351cm | アウトサイドヒッター |
西田有志(にしだ・ゆうじ) | 186cm | 350cm | オポジット |
関田誠大(せきた・まさひろ) | 175cm | 310cm | セッター |
髙橋藍(たかはし・らん) | 188cm | 343cm | アウトサイドヒッター |
甲斐優斗(かい・まさと) | 200cm | 355cm | アウトサイドヒッター |
山本智大(やまもと・ともひろ) | 171cm | 310cm | リベロ |
小野寺太志(おのでら・たいし) | 202cm | 355cm | ミドルブロッカー |
山内晶大(やまうち・あきひろ) | 204cm | 355cm | ミドルブロッカー |
宮浦健人(きやうら・けんと) | 190cm | 350cm | オポジット |
大塚達宣(おおつか・たつのり) | 194cm | 348cm | アウトサイドヒッター |
髙橋健太郎(たかはし・けんたろう) | 202cm | 355cm | ミドルブロッカー |
深津旭弘(ふかつ・あきひろ) | 183cm | 310cm | セッター |
富田将馬(とみた・しょうま) | 190cm(交代選手) | 340cm | アウトサイドヒッター |
※なお、各選手の最高到達高さについては、参考程度にお考え下さい。
この様に、男子の場合はネットの高さより1m程度高い位置まで手が届くことになる。
まとめ
バレーボールの「ブロック」において、高さは重要な要素だが、それだけではなく、「タイミング」「手の位置と角度」「フットワーク」「チームワーク」、そして「戦術的な理解」も同様に重要になる。
これらの要素が組み合わさることで、効果的な「ブロック」が可能となる。
したがって、「ブロック」の高さを追求することは勿論大切だが、それ以外の技術や戦術も併せて磨くことが必要となる。
一見、指を伸ばした方が相手の「スパイク」を「ブロック」できそうだが、吾輩は、指の部分にどれほど「スパイク」の防止効果があるのかが疑問に思っている。
なぜなら、「スパイク」の球速は、およそ「100km/h」あるためで、そんな速度のボールを、指の部分で止められるとは、どうしても思えないのだ。
それなら、指を握って「グー」の形で「ブロック」した方が効果があるのではないかと素人ながら思うのである。
「ブロック」は、通常、両方の手のひらを広げて、相手の「スパイク」を防ぐのだが、今大会の日本チームの「ブロック」では、相手チームの「ワンタッチ」を狙った「スパイク」を防止するため、手のひらを「グー」の形で「ブロック」するケースをよく見かける。
解説者もワンタッチを狙った「スパイク」を防止するため、指を「グー」の形にしていると言っていたので、間違いは無いと思う。
この様な対策も、不要な点数を与えないためにも、十分な効果があると思うので、ぜひ実践してメダルを獲得してほしい。
がんばれ 日本!