2024年、今、「魚肉ソーセージ」が人気だという。
吾輩が小さいころの昭和40年代(1970年代)は、「魚肉ソーセージ」は一般的で、どの家庭でも普通に食べられていた食品であり、主なタンパク質の供給源であった。
食べていたのは、子供のころの記憶しかなく、大人になってからは食べた記憶は無い。
それがなぜ今、人気なのだろうか?
気になったので、見ていきたい。
昭和40年代の「魚肉ソーセージ」人気の理由
昭和40年代(1960年代後半から1970年代)の日本における「魚肉ソーセージ」の人気は、いくつかの経済的・社会的要因が影響していた様だ。
主な理由は以下の通り。
1. 経済状況と食生活
昭和40年代は、高度経済成長期ではあったものの、まだ生活水準が急速に向上している過程にあって、特に一般庶民にとっては、肉類は高価な食品であった記憶がある。
当時は、牛肉や豚肉が贅沢品とされており、日常的に購入するのが難しい家庭も多かった様だ。
そのため、より手頃な価格でタンパク質を補える「魚肉ソーセージ」が選ばれていた様だ。
2. 「魚肉ソーセージ」の価格と手軽さ
「魚肉ソーセージ」は、魚のすり身を原料とするので、牛肉や豚肉よりも原料コストが安く抑えられていた。
また、魚の缶詰や練り製品と同様に長期保存ができるので、食品保存のインフラが十分でなかったその時代において、便利な商品として人気を集めていたのだろう。
栄養価が高く、調理が簡単なことも魅力の一つだったはずだ。
3. 貿易政策と関税の影響
当時、日本はまだ国内産業保護のために、多くの輸入品に高い関税をかけていた。
特に、食肉などの輸入に対しては、高い関税が課されていたので、輸入肉が国内市場にあまり流通しなかったので、国産肉の価格も高かった様だ。
このような環境の下で、国内産の魚を使った「魚肉ソーセージ」が、手頃な代替タンパク源として、広く受け入れられていたのだろう。
4. 健康志向と栄養価
昭和40年代の日本では、魚が健康に良いとされ、魚食文化が根強く残っており、食卓は魚が中心であったことを記憶している。
「魚肉ソーセージ」は、栄養価が高く、特にタンパク質が豊富であり、さらにカルシウムなどの成分を添加することもできたため、栄養補給の面でも支持されていたとのこと。
5. 人気の理由まとめ
昭和40年代の日本では、貧しかったわけではないものの、肉類がまだ高価であったため、手軽で安価な「魚肉ソーセージ」が日常的なタンパク質源として人気を集めた様だ。
さらに、輸入肉に対する関税や国内の魚食文化も、「魚肉ソーセージ」の普及に大きな影響を与えたと考えられる。
「魚肉ソーセージ」の再燃理由とその社会的背景
2024年現在、「魚肉ソーセージ」の人気が再燃している背景には、いくつかの社会的・経済的要因が絡んでいる。
「魚肉ソーセージ」の人気復活に関連する主な背景は、以下の通り。
1. 経済的な要因と貧困化の進行
日本では近年、「物価の上昇」や「低所得者層の増加」、「賃金停滞」などで、生活コストが増加し、多くの家庭では、経済的な厳しさが感じられている。
2024年現在、食品価格も上昇しており、特に肉類や新鮮な魚も高騰している状況だ。
そのため、魚肉ソーセージのような安価で栄養価の高い食品が再評価されて、家計に負担の少ない選択肢として、注目されるようになっていると思われる。
昭和時代と同様に、手軽なタンパク質源としての役割を果たしているのだ。
2. 健康志向と高タンパク低脂肪食品の需要
現代の消費者は、健康志向が高まり、特に高タンパク・低脂肪な食品に対する需要が増している。
「魚肉ソーセージ」は、脂肪分が少なく、比較的低カロリーでありながら、タンパク質を豊富に含んでいるため、健康的な食事を心がける人々にとって理想的な食品である。
特に、ダイエットや筋トレを行う人たちの間では、「魚肉ソーセージ」が手軽に摂取できる栄養食品として人気を集めている様だ。
3. 忙しいライフスタイルに合った手軽さ
現代では、共働き家庭や一人暮らしの増加に伴い、調理の手間が少ない食品が求められている。
毎日の事なので、忙しい中で食事の準備と片付けを行うのは、かなりの労力を要し負担だ。
「魚肉ソーセージ」は、そのまま食べることができるし、サラダや料理のトッピングとしても使いやすく、手軽に栄養を補える点が魅力なのだ。
また、長期間保存(90日~150日)できることから、ストック食品としても重宝されている。
4. 物価上昇と節約志向
2024年現在、物価の上昇が日本だけでなく、世界的にも問題となっており、家計の節約が重要なテーマとなってきた。
「魚肉ソーセージ」は安価であり、冷蔵保存が不要で、長期間保存可能なため、食品ロスを減らす手段としても支持されている様だ。
家庭の食費を抑えるために、「魚肉ソーセージ」のようなコストパフォーマンスの高い食品が選ばれるようになっていると考えられる。
5. SNSやレシピサイトの影響
近年、SNSやレシピサイトで、魚肉ソーセージを使った様々なレシピがシェアされている。
これまで料理に関心が無かった吾輩も、定年後、自宅で食事をする機会が多くなったことで、「YouTube」でいろいろな料理のレシピを見る様になっている。
特に、「インフルエンサー」や「健康志向の料理家」が「魚肉ソーセージ」のアレンジレシピを発信することで、再び注目されるようになっているという。
簡単に美味しい料理を作れる点や、見た目のバリエーションが豊富である点が、若い世代にも支持されているとのこと。
6. 社会的背景のまとめ
2024年における「魚肉ソーセージ」の人気再燃は、経済的な厳しさや物価上昇の影響を背景に、手軽で安価、かつ栄養価の高い食品として再評価されている。
また、健康志向やSNSでの情報発信が、魚肉ソーセージの新たな利用方法を広める一因となり、現代のライフスタイルに合った食品として、多くの消費者に支持されている。
「魚肉ソーセージ」から垣間見える現代日本における経済的課題
「魚肉ソーセージ」の人気再燃が、現代の日本における経済的課題と関連している背景には、いくつかの重要な問題がある。
これらの課題が、日本人の食生活や消費行動に影響を与え、安価で手軽な食品への需要を高めていると考えられる。
主な経済的課題は、以下の通り。
1. 物価上昇(インフレ)
日本では、近年の世界的な原材料価格の上昇や輸送コストの増加により、食料品や生活必需品の物価が上昇している点だ。
特に、輸入に依存する食品やエネルギー価格が急騰しているので、食費の増加が家計に直接的な負担となっている。
このような状況下で、安価で栄養価の高い「魚肉ソーセージ」が再評価される要因の一つとなっているようである。
2. 所得の停滞
日本では、過去数十年にわたり実質賃金の伸びが停滞しており、多くの家庭が収入の増加を実感できていない状態である。
一方で、生活コストは上昇しているので、消費者はコストパフォーマンスの良い食品を求める傾向が強まっているのだ。
特に、低所得層や中間層において、日常の食事にかける費用を抑えながら、栄養を確保できる食品が重要視されていると思われる。
3. 格差の拡大と貧困層の増加
日本では、経済的格差が拡大し、相対的貧困率が高まり続けているのだという。
特に、「シングルマザー家庭」や「非正規雇用者の増加」により、貧困に直面する家庭が増えていることが指摘されている。
このような状況では、安価でボリュームのある食品が食生活の支えとなっており、「魚肉ソーセージ」は、そうしたニーズに応える存在となっているのだ。
4. 高齢化と年金生活者の増加
日本は、超高齢社会であり、年金生活者が増加していて、吾輩もその一人である。
多くの高齢者にとって、限られた年金で生活する必要があるため、コストを抑えた食事選びが重要になっている。
「魚肉ソーセージ」は、調理が簡単で、手軽に栄養を摂取できるため、特に高齢者にとって魅力的な選択肢と言える。
5. 共働き家庭の増加と家計の負担
共働き家庭が増加しているものの、保育料や教育費、生活費の負担が重い現状にある。
共働き家庭では、時間がない中で、効率的に食事を用意する必要があるので、「魚肉ソーセージ」のような、手軽に調理できる食品の需要が増加していると思われる。
また、食品にかかるコストを抑えながらも、栄養価を重視する家庭にとって、「魚肉ソーセージ」は、理想的な食品であることは間違いない。
6. 食品ロス削減の動き
現代の日本では、食品ロス削減が大きなテーマとなって来ており、消費者は無駄なく食材を使い切る意識を高めている。
「魚肉ソーセージ」は長期保存(90日~150日)が可能であり、冷蔵保存を必要としないので、食品ロスを減らすうえで、魅力的な選択肢である。
これも、経済的負担を軽減する手段として人気の再燃に貢献している。
7. 経済的課題のまとめ
現代の日本における魚肉ソーセージの人気再燃には、「物価上昇」、「所得停滞」、「経済格差の拡大」、「高齢化」、「共働き家庭の増加」、そして「食品ロス削減」といった経済的課題が深く関わっている。
これらの課題に直面する、我々消費者にとって、「魚肉ソーセージ」は、手軽で安価、かつ栄養豊富な食品として魅力的な選択肢となり、再び注目されるようになっているのだ。
主要3社の「魚肉ソーセージ」の魅力と経済性
「魚肉ソーセージ」の魅力と経済性について、主要メーカー3社の商品を比較し、その価格やコストパフォーマンスを評価してみた。
以下では、3つの代表的なメーカーである「ニッスイ(日本水産)」、「マルハニチロ」、および「東洋水産」の製品を取り上げてみた。
1. 株式会社 ニッスイ(日本水産)
商品名:ニッスイ おさかなのソーセージ
引用元:株式会社ニッスイ 商品情報
- 内容量:1本70g
- 価格:1本あたり約80円前後(4本パックで約320円程度)
- 特徴:カルシウムが添加されており、骨や歯の健康に配慮されている。また、DHA・EPAなどの魚由来の栄養素も含まれている。保存料を使用せず、子供から大人まで幅広い世代に人気がある。
- コストパフォーマンス:魚肉ソーセージの中では価格がやや高めだが、栄養価が豊富であり、DHA・EPAなどの付加価値があるため、健康志向の消費者にとっては、コストパフォーマンスが高いと評価できる。
2. マルハニチロ 株式会社
商品名:マルハニチロ フィッシュソーセージ
引用元:マルハニチロ株式会社 商品情報
- 内容量:1本70g
- 価格:1本あたり約60円前後(4本パックで約240円程度)
- 特徴:スタンダードな魚肉ソーセージで、価格が比較的リーズナブルである。特別な栄養添加はされていないが、手軽なタンパク質源として根強い人気がある。クセのない味で、様々な料理に使いやすい点が特徴である。
- コストパフォーマンス:非常に手頃な価格で、日常的な食事に利用しやすい製品である。特に「価格を重視する消費者」にとっては、良好なコストパフォーマンスが評価される。
3. 東洋水産 株式会社(マルちゃん)
商品名:マルちゃん フィッシュソーセージ
引用元:東洋水産株式会社 商品情報
- 内容量:1本70g
- 価格:1本あたり約85円前後(4本パックで約340円程度)
- 特徴:
- 低カロリーでヘルシーであり、カルシウムが添加されており、健康志向の消費者向けに広く利用されている。特に味にクセがなく、どんな料理にも合わせやすい点が特徴である。
- DHAやEPAなどの栄養素は強化されていない、シンプルな魚肉ソーセージである。
- コストパフォーマンス:
- 他社製品に比べて最も安価で、低価格志向の消費者に適した製品である。付加価値のある栄養素は少ないものの、低カロリーでカルシュウムが多く含まれており、ダイエットや筋トレを行う健康志向の消費者には、最適なコストパフォーマンスを誇る。
4. 「魚肉ソーセージ」比較と評価
項 目 | ニッスイ1本(70g) | ニッスイ100gあたり | マルハニチロ1本(65g) | マルハニチロ100gあたり | 東洋水産1本(70g) | 東洋水産100gあたり |
---|---|---|---|---|---|---|
エネルギー (kcal) | 123 | 175.6 | 108 | 166.1 | 87 | 124.2 |
タンパク質 (g) | 6.3 | 9.0 | 6.1 | 9.4 | 5.2 | 7.4 |
脂質 (g) | 6.5 | 9.3 | 5.2 | 8.0 | 2.6 | 3.7 |
炭水化物 (g) | 9.9 | 14.1 | 9.2 | 14.1 | 10.8 | 15.4 |
食塩相当量(g) | 1.3 | 1.9 | 1.2 | 1.8 | 1.4 | 2.0 |
カルシウム(mg) | 350 | 499.8 | 600 | 922.8 | 530 | 756.8 |
価格(税別) (円) | 85 | 121 | 64 | 98 | 87 | 124 |
①.ニッスイ おさかなのソーセージ
- 価格:やや高め(1本80円前後)
- コストパフォーマンス:DHA・EPAやカルシウムが含まれ、栄養価が非常に高いため、健康志向の消費者にとっては付加価値が高く、コストパフォーマンスは良好である。
②.マルハニチロ フィッシュソーセージ
- 価格:リーズナブル(1本65円前後)
- コストパフォーマンス:標準的な魚肉ソーセージとして、価格と品質のバランスが取れており、日常使いに最適である。特に安定した品質を重視する家庭には、コストパフォーマンスが非常に高い製品である。
③.東洋水産(マルちゃん) フィッシュソーセージ
- 価格:やや高め(1本85円前後)
- コストパフォーマンス:ソーセージ1本当たり、牛乳460ml分のカルシウムが入っており、カルシュウムが手軽に摂取できる。価格は、栄養バランスを考えた上でもコストパフォーマンスが良く、カロリーが抑えられており、ヘルシーでダイエット向きと言える。
5. 総合評価
- 健康志向・栄養重視の人には、ニッスイの「おさかなのソーセージ」が最適。DHA・EPAやカルシウムなど、栄養価の高さが魅力であり、多少価格が高くても健康に価値を置く消費者には高評価である。
- 価格と品質のバランスを重視する人には、マルハニチロの「フィッシュソーセージ」が最適。栄養価は標準的であるが、価格も手頃で、コストパフォーマンスに優れている。
- ダイエット重視の人には、東洋水産の「マルちゃん フィッシュソーセージ」が最も適している。多少価格は高めだが、脂質が少なく低カロリーで、特にダイエット中に失われがちなカルシュウムを多く含み、ダイエットや筋トレを目的としたヘルシー志向の消費者には最適である。
まとめ:「魚肉ソーセージ」の人気再燃の理由と背景
現代の日本における「魚肉ソーセージ」の人気再燃には、いくつかの経済的課題が密接に関わっていた。
1.「物価上昇」や「所得停滞」により、消費者はより手頃な価格で、栄養価の高い食品を求める傾向が強まった。
「魚肉ソーセージ」は、安価でありながらタンパク質が豊富で、経済的な選択肢として再評価されている。
2.「経済格差の拡大」に伴い、節約を意識した購買行動が広がり、「高齢化」によって手軽に調理や保存ができる食品の需要が拡大している。
3.「共働き家庭の増加」により、簡便性の高い食品が注目され、保存性が高く、弁当などにも便利な「魚肉ソーセージ」が選ばれている。
4.「食品ロス削減への意識高揚」に伴い、長期保存が可能な「魚肉ソーセージ」は、その解決策の一つとして注目されている。
今後、健康志向や持続可能な食品への関心が続く中、「魚肉ソーセージ」は、引き続き多くの層に支持され、成長の可能性を秘めていると感じた。