年金制度とは? みんなもらえるのか?
1963年(昭和38年)生れの吾輩は、今年60歳を迎えた。38年務めた会社を定年退職することを決めた。務めている会社は、65歳までの継続雇用制度(雇用延長・再雇用制度)を導入しているため、希望すれば65歳までは再雇用をしてくれる。
しかし、個人的な体調の不具合により60歳で退職を決断した。当然心配になるのは、今後の生活費の確保だ。これまで、年金のことなど考えていなかったし、自分は生涯現役でいつまでも元気でいられると思っていた。しかしそうではないことを自覚した。個人差にもよるが、馬齢を重ねる(ばれいをかさねる)と人間は体のあちこちに不具合が出てくることが分かった。昔は企業戦士と言われ24時間働ける気力と体力が求められていたし、若かったしそれを辛いとは思っていなかった。だが、ここにきて体を酷使してきたその付けが今廻ってきたようだ。まさにアスリートと同じで、体や心のメンテナンスは必要だったといまさらながら若干の後悔もある。
吾輩はこれまで、定年後の生活など真剣に考えてこなかったし、何もわからないがので、これから必要な「年金の手続き」や「損をしない制度の活用方法」などについて、ここで一気にまとめてみようと思う。
ネットでもいろいろ調べることが出来るが、今ひとつ分かりにくいので、吾輩がこれから実際に行う手続きについて、まとめることで、これから定年を迎える皆さんにとってお役立情報をお届けしたい。
まずは会社を退職するところから
定年退職は一生で一回だけの体験なので、やるべきことはやって、損をしないようにしたいものだ。
失業保険は受け取れるのか?
定年退職というと仕事とから完全に離れることから、リタイアの感覚があったので、失業保険を受け取れないと思っていた。しかし、条件はあるもののそれを満たせば失業保険を受け取るこが出来る。条件は下記の3点。
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雇用保険の被保険者期間が、離職前の2年間に通算して12ヶ月以上ある。
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65歳未満であること。
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就職する意思や就職できる能力があり、積極的に仕事を探しているにも関わらず職に就いていない事。
調べてみると、定年退職は会社都合退職として認められるが、失業給付の給付日数に変化は無いとのこと。吾輩の場合は、定年退職した年齢が60歳であり65歳未満なのと、被保険者期間が38年になるので下記から150日の給付日数となる。
定年は会社都合のようにも感じますが、退職日はあらかじめ就業規則等で決められているので、転職の準備などが計画的にできるはずだと考えられ、給付日数は会社都合の場合よりも少なくなっています。しかし、定年で退職した場合には自己都合退職とは異なり、2カ月間(令和2年10月1日の退職以降)の給付制限はなく、待機期間7日で基本手当を受給することができる。
※65歳以降に退職する場合は、「高年齢求職者給付金」が支払われる。失業保険で算出する「基本手当日額」に50日分を乗じた金額を一時金で受け取ります。なお、雇用保険の被保険者期間が1年未満なら一時金は30日分になる。
失業保険の申請方法
失業保険を受け取るには、まず失業保険を申請する必要がある。どこに行けばいいのかといへば、所轄のハローワークに書類を整えて行く必要がある。書類とは如何なるものが必要なのか?必要な書類は下記の5点。
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離職票-1、離職票-2(定年退職後、10日前後で会社から交付されます)
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個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
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身元(実在)確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
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写真2枚(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm × 横2.5cm、マイナンバーカード提示で省略可能)
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本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関あり)
この書類をもって、管轄のハローワークに行って申請をすればいい。その際、窓口に備え付けの求職票申込書に、再就職の希望条件や業務経験などを記入して、5点の書類とともに提出。希望する仕事が明確に決まっていない場合は、ハローワークの職員と相談しながら記入。なお、記入済みの履歴書を手元に用意しておくとスムーズに記入できる。
失業保険の申請後に保険を受け取るまでの順序
保険の申請、受け取りまでの順序は以下の通り。
・窓口で簡単な面談や離職票に記載の離職理由などを確認し、受給資格の決定
・雇用保険説明会の案内
・雇用保険受給資格者証、失業認定申告書が配布され、求職活動などを記入。
・求職活動をハローワークに報告する。
※再就職や失業保険の支給が終わるまで、失業認定と振り込みが4週間ごとに繰り返されることになる。ちなみに、月曜日と金曜日は受付が混雑する傾向があるので避けた方がいい。
失業手当の受給期間の延長
ここまでで、定年退職後にも失業保険による失業手当が受給することが確認できた。
吾輩は、定年後は少しゆっくりしてから、仕事を始めてみたいと考えているのだが、その場合は失業手当は受給できるのか調べてみた。
吾輩は、定年退職後は収入が無くなるので、少し休んでから失業手当が受給できればありがたい。
受給期間の延長
失業手当の受給期間は、原則として退職日の翌日から1年間というのは前述の通りだが、「一定の要件を満たした場合に限って、退職日の翌日から4年以内で延長申請ができる」のだ。
2017年には制度の見直しがあって、延長後の受給期間の終了日までであれば、延長申請ができるようになった。要は、「退職から30日後から最大4年まで受給期間の延長ができる」ということ。
だが、注意点がある。受給可能な日数はすでに勤続年数などで決まっているので、期限内に延長申請したとしても、その申請が遅かった場合は、すべての失業手当を給付できないことになる。つまり、満額で失業手当を受給できずに期間満了を迎える可能性があるということ。なので、申請は早めに行わなければならない。
例をあげれば、吾輩は所定給付日数が150日(5ヵ月)あるので、退職の日の翌日から3年10カ月経過したタイミングで受給期間延長を行った場合は、退職した日の翌日から4年に到達するまでの残りの60日分(2カ月)は失業手当を受給出来るが、残った90日分は受給出来なくなるということだ。
ここは、押さえておきたい。
受給の要件
では、一定の要件とは何か?だが、失業手当の受給期間を延長できるのは、退職後すぐに働けない状況にある人。
「働けない状況」に該当する主な理由は、以下のとおり。
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妊娠、出産、3歳未満の子どもの育児
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病気やけが
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親族の介護(6親等内の血族と配偶者および3親等以内の姻族のみ。)
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事業主の命により海外勤務する配偶者に同行する場合
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青年海外協力隊など公的機関が行う海外技術指導による海外派遣
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60歳以上の定年などにより離職し、しばらくの間休養する場合
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退職後に事業を開始した場合(令和4年7月~)
上記の理由で退職し、働けない状態が30日以上続いた場合に限って、申請により受給期間の延長ができる。
吾輩の場合は、6番の60歳以上の定年により離職にあてはまる。
そして、60歳以上の定年による退職後、しばらくの間休養する場合は継続雇用制度で雇用され、制度の終了をもって退職した人も含まれている。
受給期間 延長申請書の提出
当然だが、黙っていては貰えない。延長申請には、ハローワークに受給期間延長申請書の提出が必要だ。
受給期間延長の申請方法
具体的に延長申請に必要な書類は、以下のとおり。
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受給期間延長申請書
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離職票
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雇用保険受給資格者証
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延長理由を証明する書類
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印鑑
受給期間延長申請書は、ハローワークの窓口または郵送で受け取ることが可能。
失業手当の受給手続きの前に延長申請をする場合は、離職票を準備しておく。
離職票は、元勤務先が退職手続きを完了した後、本人に直接または郵送などで渡される。
失業手当の受給手続き後に延長申請する場合は、雇用保険受給資格者証が必要だ。雇用保険受給資格者証は、雇用保険受給者初回説明会で配布される。
延長申請の際には、延長理由を証明する書類の提出が求められるので、病気の場合は診断書や医療明細書、出産の場合は母子手帳など。そして、印鑑も必要だ。
60歳以上の定年などが理由の場合の申請方法
吾輩の場合は、60歳以上の定年で離職した後「しばらく休養したい」と思っているので、受給の延長が可能だが、通常の申請方法と異なるので、この様に申請する必要がある。
受給期間延長の申請手続きは次のとおり。
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申請期間:退職日の翌日から2カ月以内
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延長可能期間:元々の受給期間1年+休養したい期間(最長1年間)
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必要書類:「受給期間延長等申請書」と「離職票-2」と「本人の印鑑(認印・ス タンプ印以外)」
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申請方法:原則として本人がハローワークへ直接提出
このように申請の手続きを見ていくと、延長申請の期限は、退職日の翌日から2カ月以内で、延長可能な期間は、元々の受給期間1年と休養したい期間を合わせた期間。
休養したい期間は、最長でも1年間。
この辺りは事前にハローワークに行って確認したいな。
申請に必要な書類は、受給期間延長申請書と離職票の2点。
この場合は、郵送での申請には対応していないので、原則として本人が直接ハローワークに行って、書類を提出する必要がある。
年金制度の始まり
そもそも年金は、歳をとって働けなくなった後も暮らしていけるよう、みんなでお金を出し合い、支え合おうという仕組み。
日本の公的年金制度は、1942 年に労働者年金保険制度が創設されたことが始まり。公的年金制度の 70 年にわたる歴史は大きく3つの時期に分けることができ、第1期は、年金制度の創設の時期で、1961 年の国民皆年金の実現まで。第2期は、経済の順調な発展と歩調を合わせて、年金制度が充実した時期。そして第3期は、少子高齢社会へ対応するため、年金制度の見直しを行った時期で、現在も改革を進めている。
- 1922年 健康保険法が成立。
この時代(戦前の日本1920年~1930年代)は戦争のために戦力と生産力を大きくすることが課題であり、国民の健康と生活の安定に重点をおく必要があった。仕事をバリバリするためにはまずは、健康に関わる事だった。 - 1938年 国民健康保険法が成立
- 1939年(昭和14年)船員保険が始まる。
医療保険だけでなく年金保険も導入し、社会保障をより充実させ、さらに戦力・生産力を増強させようと国は考えた。こうして最初の年金保険としてはじまったのが1939年の船員保険法ということ。最初の年金が始まった年は1939年、船員に対してだけだった。 - 1941年 船員以外の労働者にも年金制度がつくらる
- 1942年 労働者年金保険制度が創設
- 1944年 改正し、厚生年金保険として名称を変更
労働者が増加して年金の適用をうけない労働者が増加したので、適用範囲を拡大するために1944年に改正し、厚生年金保険として名称を変更しました。これでほぼすべての労働者が厚生年金保険の対象となったが、農民・漁師などの自営業者や無業者には加入する年金制度はまだなかった。また、従業員が5人未満の企業は厚生年金保険に加入しなくていいことになっていた。
※現在は法人なら従業員が5人未満でも強制加入になる。 - 1959年 国民年金制度ができる
1950年代、まだこの頃は農民や漁師などの自営業者や5人未満の零細企業で働くひとが大部分を占めていたため、どの年金保険制度にも加入していない人が多く存在し、このことが社会問題となっていた。この問題への対応で1959年に国民全員が加入する国民年金制度ができた。 - 1961年 国民皆年金(こくみんかいねんきん)体制が確立
転職して他の年金制度に移ってもそれぞれの加入期間に応じた通算年金を支給してくれる仕組みに改正し、1961年に国民皆年金(こくみんかいねんきん)体制ができた。
※つまり、現在の年金のシステムは1961年にできた。
歴史について詳しくは、下記のサイトで確認してみてください。
税金・社会保障教育
年金制度とは
人は長生きするすることで体が動かなくなったり、病気になったり、生きるためには様々なリスクが人にのしかかる。年金制度とは、個人の力だけで対応するのが難しい生活上のリスク(老齢、障害、死亡のリスク)に対処するための制度だ。
吾輩のような会社勤めのサラリーマンは、会社が保険料を給料から天引きし、払ってくれているので、保険に加入している感覚が乏しかった。年金保険制度は、吾輩が何か生活上のリスクにあったとき、吾輩の生活を支えるため「年金」が給付されるものだ。
※年金は若い世代(現役世代)が支払う保険料などを財源として、高齢者世代に年金をわたす(給付する)という世代間での支えあいのしくみ(世代間扶養の賦課方式)になっている。
- 世代間扶養の賦課方式を基本とする年金制度は、受給世代の年金給付費をその時の現役世代の保険料負担で賄う仕組みであり、 現役世代の拠出した保険料はそのまま自分の将来の年金給付の原資となるものでない。
- すなわち、これから先のどの世代についても、現役時代に負担する保険料は、前世代の給付(過去の加入期間に対応する給付)の財源となり、 受給者となったときの年金給付費は、次世代の保険料負担で賄われることとなる。
→一方、積立方式の考え方では、受給者の年金給付は、現役時代(過去の加入期間)の保険料拠出により積み立てられた積立金により賄われることとなる。
年金制度は、国民年金と厚生年金の2つの年金保険でできている。
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)の1階部分と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の2階建て構造になっている。
会社員・公務員の方は、2つの年金制度に加入することになる。年金制度は、前述のとおり1階部分と2階部分の2階建てになっていて、概要は下記のとおり。
1階部分 国民年金((基礎年金)20歳以上60歳未満のすべての方が加入する)
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1号被保険者(20歳以上60歳未満の農業者、自営業者、学生、無職の人など)
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2号被保険者(会社員、公務員)
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3号被保険者(2号被保険者に扶養されていて、年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者)
2階部分 厚生年金(会社員・公務員の人が加入する)
厚生年金保険に加入している会社、工場、商店、船舶、官公庁などの適用事業所に常時使用される70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となる。
年金は何をしてくれるのか?
では次に、そもそも年金は吾輩に何をしてくれるのか、調べてみた。
年金というと、一般的には「保険料を支払って加入する年金保険」や「老後にもらえるお金」のことを指している。
ここでは国民年金や厚生年金の「公的年金」についてピックアップしてみる。
保険料を支払って年金保険に加入していれば、65歳になると老後の年金が毎年もらえるようになるのは周知のとおりだろう。詳細については、後で一緒にみてみよう。
ちなみに、すべての方は20歳~60歳になるまで国民年金保険に加入して保険料を支払うことになる。
そして気になるのは、払った保険料分が生きている間にもらえるかどうかだ。
年金は老後のお金だけじゃない?年金は他に何をしてくれる?
年金は、歳をとって働けなくたとき、事故等で障害が残ったとき、亡くなったときに給付される。この3つのリスクを国民みんなで対処するという考えのもと作られた制度が「公的年金制度」とのこと。
また、年金はそのときの時代の価値に合った金額が給付され、貯蓄しているだけでは目減りしてしまうかもしれないリスクにも対応しているとのこと。
なんと、こんなにも多くの保証があったとは・・・。吾輩は年金と言ったら歳をとって働けなくなったときに貰うものと思っていたから「目から鱗が落ちる」とはこのことだ。
年金は老齢基礎年金の給付だけじゃない!
国民年金には、下記のような種類の「給付」がある。
(給付にあたっての要件はそれぞれ異なり、所得制限のあるものもある)
しかし、これらの年金は、受け取る資格ができたとき、自動的に支給されないので注意が必要だ。自分で受け取るための手続きをする必要があるので、制度をよく確認しなければならない。
保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができる。
病気やケガによって、日常生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受給することができる。
国民年金または厚生年金の被保険者(被保険者であった人)が亡くなった時に、被保険者の配偶者や子など、被保険者によって生計を維持されていた遺族に支給される。
国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての納付済期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が年金を受けずに死亡したとき、その夫に生計を維持されていた婚姻期間が10年以上ある妻に、60歳から65歳までの間に支給される。
第1号被保険者・任意加入被保険者が定額保険料に付加保険料(月額400円)をプラスして納付すると、老齢基礎年金に付加年金が上乗せされる。
死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)として保険料を36月(3年)以上納めた方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときに、その方と生計を同じくしていたご遺族の方に支給される。
7.短期在留外国人の脱退一時金(手続きは日本年金機構になります)
国民年金第1号被保険者として、6か月以上保険料を納めた外国人で、老齢基礎年金などの受給期間を満たしていない方が、帰国したときに支給される一時金。ただし、日本国内に住所を有するとき、障がい基礎年金などの受給権を有したことがあるとき、国民年金の被保険者の資格を喪失した日から2年を経過したときは支給されない。
情報を自分から収集しないと役所は教えてはくれないので、損をしたくなければ、知識を蓄えるしかない。
※ちなみに、年金収入には所得税や住民税が掛かったり国民健康保険料などの保険料が引かれるので、手取りはおよそ85%~90%程度になる事を知っておこう。
詳細は「日本年金機構」で確認しよう。
払い込みが不足している場合どうなる?どうする?
多くの皆さんもご承知の通り、老齢基礎年金を満額受給するには、20歳から60歳までの40年間(40年×12ヶ月=480ヶ月)の国民年金保険料納付済期間が必要です。これに満たない場合は、満額受給は出来ないことになる。
吾輩はもとよりすべての人は20歳~60歳になるまで年金保険に加入して保険料を支払うことになるが、吾輩は大学時代の18歳から20歳までの2年間は学生で払っていなかった。したがって、2年間不足している38年間の払い込みの期間となるため、満額の受給額にはならない。60歳の時点で480月の納付済期間が満たない場合はどうしたらいいのでしょうか?不足分を追加で納付したほうが良いのか?しない方が良いのか?わからないことだらけです。
吾輩の場合は、大学時代の2年間分が足りていないので、その辺が知りたいところだ。
不足分は「任意加入制度を利用する」。
任意加入制度を利用すると国民年金の加入期間を延長できる。こうすることで、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることがでる。納付月数が 480月(40年)に満たないために満額の老齢基礎年金をもらえない場合は、60歳から同様に任意加入して、480月【または65歳】まで納付することで受給額を増やすことができるとのこと。
任意加入制度を利用できるのは、60歳以上65歳未満の最大5年間。ただし、納付済期間が480月に達するまで。吾輩は2年分(2年×12ヶ月=24ヶ月)で480月に達する計算だ。任意加入期間中は、通常の加入者と同額の国民年金保険料を毎月支払うことになる。
しかし、何やら加入できる条件があるらしい。
国民年金の任意加入制度を利用できるのは、下記の条件に当てはまる人。
(日本国籍を有しない人で、在留資格が「医療滞在・医療滞在者の付添人」「観光、保養などを目的とする長期滞在者・同行配偶者」の人を除く)
②老齢基礎年金を繰上げ受給していない人
③20~60歳未満の期間の保険料納付済期間が480月未満の人
④厚生年金保険や共済組合等に加入していない人
例えば、令和4年度中に追納する場合、
追納額は、1万6590円×24カ月分=39万81600円
およそ40万円を支払うことになる。
では追納した場合、老後の年金はどう増えるか?国民年金は480カ月(20~60歳までの40年間)払うと受給額は「満額」になる。
満額の額はその年によって異なり、例えば令和5年度の年金額の例(67歳以下の場合)
満額は「795,000円(年額)」(66,250円/月)で計算してみると、
795,000円÷480=1カ月あたり約1,656円
1,656円×24カ月(2年分)=39,744円
2年分の追納をすると、年間約39,000円増える。
仮に年金を65歳から受給し、80歳まで生きた場合、
39,000円×15年=約58万円
多く年金を受け取れるので、差し引きすると、
約58万-約40万=約18万
が「お得になる」計算だ。
75歳6ヶ月まで生きればトントン。手取りベースで考えると3~4年延びることになるので、およそ80歳まで生きればトントンということになる。
金銭的に余裕があれば、追加で保険料を納めてもいいかもしれない。吾輩の場合は、65歳になる前(60歳)に老齢年金を受給しようと考えていたので、①と③と④に該当するが、繰上げ受給する場合は出来ないので、考えどころだ。
国民年金は何歳からもらえるのか?
現在の制度では、皆さんもご承知の通り老齢基礎年金の給付を受けられるのは、原則として65歳からとなっている。原則と書いてあるのは、希望すれば60歳から75歳までの間で本人が自分で選ぶことが出来るから。
年金の受給には、60歳から65歳までの間に繰上げて年金を受け取る「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に繰下げて年金を受け取る「繰下げ受給」を選択することができる。
ここで注意が必要なのが、「繰上げ受給」の場合は、1ヶ月毎に一定の比率で年金受給額が「減額」されることだ。また、「繰下げ受給」の場合は、逆に1ヶ月毎に一定の比率で年金受給額が「増額」される。
国民年金では、保険料の納付義務があるのは20歳以上60歳未満の40年間(480ヵ月)と定められており、平成29年8月の法改正で緩和され、現在では10年(120ヵ月)以上の納付があれば受給資格が得られる。
ここでいう「10年以上」には、保険料を全額納付していた期間だけでなく「免除期間」※1)や「合算対象期間」※2)を加えることができる。
事情があり年金保険料の支払いが困難な人が申請した場合に認められる期間のこと。状況によって「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」から決定される。
年金額には反映されませんが受給資格期間として含めることができる期間のこと。かつて国民年金が「任意加入」だった時代に加入していなかった方や、海外に住んでいて国民年金未加入の時期がある方などが利用できる。
吾輩の場合は、65歳になる前に老齢年金を受給しようと考えていたので、繰上げると年金が減額されるだけでなく、一生減額率が変わらないとなると、なお一層考えなければならない。う~ん~~。どうする。
繰上げ受給のメリットとデメリット
吾輩は60歳から繰上げ受給を考えている。理由は、退職することで収入が無くなる事、貯蓄は健康寿命を過ぎて生活に介助が必要になった時の備えとしておきたいためだ。
人が何歳まで生きることが出来るかについては、誰にもわからないので、どれが正解というものは無いのは分かっている。繰上げ受給にはどのようなメリットやデメリットがあるかを見て、考えていきたい。
メリット
収入が無くても生活資金が手に入ることだ。老齢基礎年金の満額受給額は66,250円と会社員だったので男性平均で、老齢厚生年金がおよそ100,000円、合計およそ160,000円ほどだ。ここから税金や健康保険料など約1割が引かれるが、ここでは考えないでおこう。
60歳から受給できれば65歳までに5年間早くお金が手に入るので、生活費が賄えることになるだろう。しかし、「繰上げ受給」には1ヶ月当たり0.4%の割引が適用されるので、年金受給額の累計でみると、5年繰り上げし60歳受給開始の場合(24%減額)の累計額に65歳受給開始の累計額は、80歳10カ月で追いつく計算になる。
この年齢の時点で、自分がどのような状態であるのかは想像しがたいが、80歳10ヶ月が過ぎても、生きてさえいれば年金が受給できるので、「生きているだけ丸儲け」だと思っている。
とは言っても、早くもらえる分、「繰上げ受給」には様々な注意点があるので、よく考える必要がある。
デメリット
繰上げ受給は、やはり受給額が減るということだろう。そのほかにも注意点があるので見ていこう。
まずどれだけ、減額されるのか日本年金機構の年金の繰上げ受給に関する早見表があるので参考にしてほしい。
※老齢基礎年金の「繰上げ受給」とは:年金は原則として65歳から受け取ることができるが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができる。ただし、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額される。そして、その減額率は一生変わらない。
なお、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求をする必要がある。
繰上げによる減額
繰上げにより減額される年金額は、老齢基礎年金の額(振替加算額を除く)および老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)に、下記の減額率を乗じることにより計算します。(全部繰上げ※1)
減額率(最大24%)= 0.4%※2× 繰上げ請求月から65歳に達する日※3の前月までの月数※4
※1 老齢基礎年金の繰上げには「全部繰上げ」と「一部繰上げ」があり、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の特例に該当しない場合は、全部繰上げとなります。
※2 昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は、0.5%(最大30%)となります。
※3 年齢の計算は「年齢計算に関する法律」に基づいて行われ、65歳に達した日は、65歳の誕生日の前日になります。
(例)4月1日生まれの方が65歳に達した日は、誕生日の前日の3月31日となります。
※4 特別支給の老齢厚生年金を受給できる方の老齢厚生年金の減額率は、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達する日の前月までの月数で計算します。老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて減額され、減額は生涯続きます。
繰上げ請求早見表
昭和37年4月1日以前生まれの方(ひと月当たりの減額率0.5% ) 請求時の
年齢0カ月 1カ月 2カ月 3カ月 4カ月 5カ月 6カ月 7カ月 8カ月 9カ月 10カ月 11カ月 60歳 30.0% 29.5% 29.0% 28.5% 28.0% 27.5% 27.0% 26.5% 26.0% 25.5% 25.0% 24.5% 61歳 24.0% 23.5% 23.0% 22.5% 22.0% 21.5% 21.0% 20.5% 20.0% 19.5% 19.0% 18.5% 62歳 18.0% 17.5% 17.0% 16.5% 16.0% 15.5% 15.0% 14.5% 14.0% 13.5% 13.0% 12.5% 63歳 12.0% 11.5% 11.0% 10.5% 10.0% 9.5% 9.0% 8.5% 8.0% 7.5% 7.0% 6.5% 64歳 6.0% 5.5% 5.0% 4.5% 4.0% 3.5% 3.0% 2.5% 2.0% 1.5% 1.0% 0.5%
昭和37年4月2日以降生まれの方(ひと月当たりの減額率0.4% ) 請求時の
年齢0カ月 1カ月 2カ月 3カ月 4カ月 5カ月 6カ月 7カ月 8カ月 9カ月 10カ月 11カ月 60歳 24.0% 23.6% 23.2% 22.8% 22.4% 22.0% 21.6% 21.2% 20.8% 20.4% 20.0% 19.6% 61歳 19.2% 18.8% 18.4% 18.0% 17.6% 17.2% 16.8% 16.4% 16.0% 15.6% 15.2% 14.8% 62歳 14.4% 14.0% 13.6% 13.2% 12.8% 12.4% 12.0% 11.6% 11.2% 10.8% 10.4% 10.0% 63歳 9.6% 9.2% 8.8% 8.4% 8.0% 7.6% 7.2% 6.8% 6.4% 6.0% 5.6% 5.2% 64歳 4.8% 4.4% 4.0% 3.6% 3.2% 2.8% 2.4% 2.0% 1.6% 1.2% 0.8% 0.4% 特別支給の老齢厚生年金を受給できる方の老齢厚生年金の減額率は、受給開始年齢に達する日の前月までの月数で計算します。
繰上げ請求の注意点
繰上げ請求をする際は、以下の点にご注意ください。
- 老齢年金を繰上げ請求すると、繰上げする期間に応じて年金額が減額されます。生涯にわたり減額された年金を受給することになります。
- 繰上げ請求すると、請求した日の翌月分から、年金が支給されます。
- 老齢年金を繰上げ請求した後は、繰上げ請求を取消しすることはできません。
- 老齢年金を繰上げ請求すると、国民年金の任意加入や、保険料の追納はできなくなります。
- 共済組合加入期間がある場合、共済組合から支給される老齢年金についても、原則同時に繰上げ請求することとなります。
- 繰上げ請求すると、厚生年金基金から支給される年金も減額される場合があります。
- 65歳になるまでの間、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合は、老齢厚生年金の一部または全部の年金額が支給停止となります。(老齢基礎年金は支給停止されません。)
- 厚生年金保険に加入した場合のほか、国会議員や地方議員になった場合には、給与や賞与の額に応じて、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。(繰上げ請求した老齢基礎年金は支給停止されません。)
- 繰上げ請求した老齢年金は、65歳になるまでの間、遺族厚生年金や遺族共済年金などの他の年金と併せて受給できず、いずれかの年金を選択することになります。
- 繰上げ請求した日以後は、国民年金の寡婦年金は支給されません。寡婦年金を受給中の方は、寡婦年金の権利がなくなります。
- 繰上げ請求した日以後は、事後重症などによる障害基礎(厚生)年金を請求することができません。(治療中の病気や持病がある方は注意してください。)
- 老齢厚生年金の繰上げ請求をした場合、厚生年金保険の長期加入者や障害者の特例措置を受けることができなくなります。
- 老齢厚生年金や退職共済年金を受給中の方が繰上げ請求すると、これらの年金に定額部分の支給がある場合は、定額部分は支給停止されます。
※出典元:日本年金機構 「年金の繰上げ受給」
「繰上げ受給」には沢山の注意点があったが、要点をまとめてみると、
- 繰上げする期間に応じて年金額が減額され、生涯にわたり減額された年金を受給することになる。
👍【納得した】老齢基礎年金の額(振替加算額を除く)および老齢厚生年金の額(加給年金額を除く) - 繰上げ請求の取消しはできない。
👍【納得した】 - 国民年金の任意加入や、保険料の追納はできない。
👎【他に方法は無いのか。追納が終わった後に繰上げ請求する】 - 共済組合から支給される老齢年金も、原則同時に繰上げ請求しなければならない。
👍【納得した】 - 厚生年金基金から支給される年金も減額される場合がある。
👍【納得した】 - 65歳になるまでの間、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合は、老齢厚生年金の一部または全部の年金額が支給停止となる。
👍【納得した】 - 国民年金の寡婦年金は支給されない。
👍【納得した】 - 事後重症などによる障害基礎(厚生)年金を請求できない。
👍【納得した】
老齢基礎年金の受給額はいくらもらえるのか?
老齢基礎年金の受給額は、「物価スライド方式」といって、毎年、物価の変動に応じて見直されている。
令和5年度の受給額は、67歳以下の方は満額で年間79万5,000円(月額約6万6,250円)、68歳以上の方は満額で年間79万2,600円(月額約6万6,050円)になっている。
「満額」というのは、40年間、年金保険料を全て納付していた場合に受け取ることができる金額のことで、この間、納付していなかった時期や、免除期間があった場合は、その期間の長さや免除額に応じて減額されることになる。
詳しくは、下記の日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」を参考にしてください。
年金額(令和5年4月分から)
20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金の納付月数や厚生年金の加入期間等に応じて年金額が計算されます。
20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。計算式は以下のとおりです。67歳以下の方(昭和31年4月2日以後生まれ)
- ※68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)は、792,600円となります。
- 国民年金保険料の一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)の承認を受けた期間は、減額された保険料を納めていない場合、未納期間扱いとなります。そのため、上記計算式においては、それぞれ4分の3免除を4分の1納付、半額免除を半額納付、4分の1免除を4分の3納付と表記しています。
- 平成21年3月分までの免除期間については、全額免除は3分の1、4分の1納付は2分の1、半額納付は3分の2、4分の3納付は6分の5で、それぞれ計算します。
- 20歳から60歳になるまでの第2号被保険者および第3号被保険者の期間も保険料納付済期間に含みます。
- 免除等期間について、あとから保険料を追納している期間は、保険料納付済期間に含みます。(学生納付特例、納付猶予の期間は、保険料を追納していない場合、年金額には反映されません。)
- 昭和16年4月1日以前に生まれた方は、昭和36年4月から60歳になるまでの期間の保険料をすべて納付すると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
- 国民年金の付加保険料を納めた期間がある場合は、200円に付加保険料納付月数を乗じた額が老齢基礎年金(年額)に上乗せされます。
老齢厚生年金の「加給年金」と「振替加算」について
「加給年金」は、扶養している配偶者や子どもがいる場合、厚生年金(または共済年金)に加算される年金のこと。配偶者が65歳になると条件から外れるため、それ以降はもらえないが、65歳から配偶者自身が老齢基礎年金を受け取る場合に、加算されるのが「振替加算」となる。
振替加算は、年金を受け取り始めた配偶者が、ある一定の条件にあてはまらないともらえず、振替加算をもらうには、年金請求書に配偶者に関する下記の情報を記入する。
- 氏名
- 生年月日
- 年金証書の基礎年金番号
- 年金コード
「加給年金」は、受給可能な条件がそろっていても、申請をしなければ貰えない。はじめて老齢厚生年金の受給申請をする際に、加給年金の受給に関する内容も記載し、添付書類もそろえて申請する。受諾されると、年金の受給額に加給年金が上乗せされる。
このように、意外と自分から申請しないと貰うことが出来ない制度も多いので、めんどくさがらず根気強く手続きをしていこう。
まとめ
年金は、5年毎に改正されたり、老齢基礎年金の受給額は、「物価スライド方式」といって、毎年、物価の変動に応じて見直されているので、自分が受給できる金額をチェックしておく必要がある。
【年金制度の構造】
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)の1階部分と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の2階建て構造になっている。
【年金の役割】
年金は、歳をとって働けなくたとき(老齢基礎年金、付加年金)、事故等で障害が残ったとき(障害基礎年金)、亡くなったとき(遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金)に給付される。
【年金の保険料の払い込み】
齢基礎年金を満額受給するには、20歳から60歳までの40年間(40年×12ヶ月=480ヶ月)の国民年金保険料納付済期間が必要。任意加入制度を利用すると国民年金の加入期間を延長できる。こうすることで、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることがでる。
【年金をもらえる年齢】
現在の制度では、老齢基礎年金の給付を受けられるのは、原則として65歳からとなっている。年金の受給には、60歳から65歳までの間に繰上げて年金を受け取る「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に繰下げて年金を受け取る「繰下げ受給」を選択することができる。
【年金のもらえる金額】
令和5年度の受給額は、67歳以下の方は満額で年間79万5,000円(月額約6万6,250円)、68歳以上の方は満額で年間79万2,600円(月額約6万6,050円)になっている。「満額」というのは、40年間、年金保険料を全て納付していた場合に受け取ることができる金額のことで、この間、納付していなかった時期や、免除期間があった場合は、その期間の長さや免除額に応じて減額されることになる。
ちなみに、年金収入には所得税や住民税が引かれたり、公的医療保険(国民健康保険または後期高齢者医療制度)の保険料及び介護保険料が引かれるので、手取りはおよそ85%~90%程度になる事を知っておこう。
そして、年金の振込は2か月に1回で、偶数月に支給されることになっている。振込日は15日だ。15日が土日または祝日の月は、その直前の平日に振り込まれる。