冬の寒さが本格化する季節、暖房器具の使用頻度が増えることで、電気代が家計を圧迫することに、頭を悩ませる家庭も、多いのではないだろうか。
特に、近年では、燃料費の高騰や、電力需給の逼迫などを背景に、電気代の上昇が続いている。
この状況を前にして、無理なく暖かさを保ちながら、電気代を抑える工夫が、求められている。
ここでは、暖房費の節約をテーマに、手軽に取り組める実用的な方法を「20選」として紹介したい。
「エアコン」や「こたつ」などの暖房器具の賢い使い方から、「窓の断熱」や「隙間風の防止」といった家全体の工夫、さらには「体を直接温める方法」や「ちょっと意外でユニークな方法」まで、多角的なアプローチで提案する内容である。
これらの工夫は、大掛かりな設備投資を必要とせず、ちょっとした手間や、日常の習慣を見直すだけで実践できるものばかりで、吾輩も実践しているものも多い。
「家族みんなで過ごす時間を暖かく、そして経済的に」という想いを込めて、家庭を支える人々の役に立つ情報をお届けしたい。
暖房費を無理なく節約しながら、快適で温かな冬を過ごすためのヒントを、このブログで見つけていただければ幸いだ。
家計にやさしい、冬の暮らしを実現するための一歩を、この記事とともに、踏み出していただきたい。
電気代が高騰する理由
近年、電気代が高騰している背景には、主に「電力需要の増加」と、「燃料費の上昇」がある。
特に、火力発電に使用される「石炭」や「天然ガス」などの、燃料価格の変動が、電気料金に直接影響を与えている。
電気代の高騰は、燃料費の上昇や世界的なエネルギー需要の変動、地政学的リスク、為替レートの変動など、複数の要因が絡み合って生じている。
これらの背景を理解すると、日常生活における、エネルギー使用の見直しや節約意識を、高めることが出来るのだろう。
燃料費の推移と電気料金への影響
日本の電力供給は、「火力発電」が大部分を占めており、その燃料となる、化石燃料の価格変動が、電気料金に反映される仕組みである。
ちなみに、資源エネルギー庁のデータによれば、2023年度の電力供給源の発電割合は、石油によるものが「7.3%」、石炭が「28.5%」、天然ガスが「32.9%」となっている。
この様に、エネルギー供給源は、化石燃料による火力発電が、「68.7%」を占めている。
出典元:経済産業省 資源エネルギー庁 令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績(速報)(令和6年11月22日公表)
例えば、資源エネルギー庁のデータによれば、原油価格は、2014~2016年度や2020年度に一時的に低下したものの、その後再び上昇傾向を示している。
世界的なエネルギーの需給ひっ迫と資源燃料価格の高騰
エネルギー政策を考える上では、安全性を大前提として、まずはエネルギーの安定的な供給、そして、経済性の確保(エネルギーコストの抑制)、環境との調和等が重要な要素とされています。しかし、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの侵略を契機に、世界のエネルギーを取り巻く情勢は混迷を深めるとともに大きく変化し、特にエネルギーの安定供給やエネルギーコストの面で、世界各国に大きな影響を与えることとなりました。
2021年から上昇傾向にあったエネルギー価格でしたが、2022年には、さらに高騰することとなり、世界各地の天然ガス市場では過去最高値を記録しました(第121-1-1)。ロシアのウクライナ侵略等を起因とする、こうした世界のエネルギー情勢の変化は、短期的なエネルギーの需給ひっ迫や価格高騰を引き起こしただけでなく、中長期的にもエネルギー市場への影響を及ぼすことが予想されています。
【第121-1-1】エネルギー市場価格の推移
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁 第1節 世界的なエネルギーの需給ひっ迫と資源燃料価格の高騰
燃料費高騰の主な原因
世界的なエネルギー需要の増加:
新型コロナウイルスの感染拡大により、一時的に経済活動が停滞し、燃料需要が減少したが、コロナ後の経済回復に伴い、需要が急増し、供給が追いつかない状況が生じた。
地政学的リスク:
例えば、ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁として、ヨーロッパ諸国が、ロシア産天然ガスの輸入を停止し、他地域からの調達を始めたことで、国際的なLNG(液化天然ガス)の需要が高まり、価格上昇を招いた。
為替レートの変動:
円安が進行すると、輸入燃料の購入費用が増加し、その結果、燃料費調整額が上昇する。
具体例: 家庭への影響(電気料金の変化)
電気料金はどうなっていますか?
東日本大震災以降、電気料金は上がっています。原油価格の下落などにより2014~2016年度と新型コロナウイルスの感染拡大の影響により2020年度は低下しましたが、再び上昇傾向です。
電気料金平均単価の推移
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁 電気料金の変化
例えば、一般的な家庭でエアコンを使用する際、燃料費の上昇に伴い、電気料金が増加する。
これにより、家計への負担が増し、節電や効率的なエネルギー使用が求められる状況となっている。
一般家庭の電気代の平均額
日本の一般家庭における電気使用量は、世帯人数や住居形態によって異なる。
環境省の令和3年度(2021年度)の調査によれば、1世帯あたりの年間平均電力消費量は、約4,175kWhであり、これは電気代に換算すると、約11.3万円となる。
引用元:環境省「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)」図1-69~図1-72(p.39~40)(支払金額は図1-63(p.36))
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会は、「新電力料金目安単価」を制定しており、2023年11月時点の電気料金の目安単価は、1kWhあたり31円(税込)だそう。
なお、電気料金1kWhあたりの目安単価は、地域によって異なり、2023年10月時点の、家庭における、電気料金1kWhあたりの目安単価は、下記のとおり。
大手電力会社10社の1kWhあたりの目安単価
引用元:ドコモでんき
- 2023年10月時点の家庭の電気料金について、1kWhあたりの目安単価を計算しています。
- 契約種別は30A、月間電力使用量を350kWhと仮定して計算しています。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価は1.4円/kWh(2023年10月時点)です。
- 「北海道電力」「東北電力」「東京電力」「北陸電力」「中部電力」「関西電力」「中国電力」「四国電力」「九州電力」「沖縄電力」内で公表されている数値を参照しています。
暖房器具ごとの電気代比較
暖房器具にもいろんな種類があります。ここでは代表的な暖房器具の1時間当たりの電気代を比較してみましょう。なお、電気料金単価は先ほどと同じく31円/kWhを使用しています。
1時間あたりの電気代が安いのはエアコンです。次に、ホットカーペットも安いことが分かります。
暖房の電気代を節約する7つの方法
様々な暖房器具を比較して、それぞれの電気代を確認しました。
次に、暖房にかかる電気代を節約する方法を7つご紹介します。
1.着る物で調整する
2.暖房の設定温度を見直す
3.エアコンの使い方を見直す
4.空気を逃さないようにする
5.扇風機やサーキュレーターを使って空気を循環させる
6.加湿器を活用して体感温度を上げる
7.電力会社を見直す
引用元:エバーグリーン・マーケティング 暖房費の節約方法を7つご紹介!冬の電気代を抑えよう
暖房費を抑えるための工夫
暖房費を抑えるためには、日常生活の中で、いくつかの工夫が効果的である。
これらの工夫を組み合わせることで、電気代を抑えながら、快適に過ごすことが出来るだろう。
特に、毛布や断熱材、湿度管理といった、手軽に取り入れられる方法は、すぐに実践できるのでおすすめ!
簡単に取り入れられる工夫
電気代を抑えつつ、暖房器具を効果的に活用するためのアイデアを、以下に10個あげてみる。
いずれも、簡単に取り入れられる工夫である。
(1)ホットカーペットに毛布を掛ける
「ホットカーペット」の上に、「毛布」を掛けることで、熱を逃がさず、こたつのような暖かさを得ることが出来る。
毛布は、熱の蓄積効果が高く、低い温度設定でも、十分に暖かさを感じることが出来る。
(2)窓に断熱シートを貼る
窓からの冷気を防ぐため、「断熱シート」や「プチプチ(気泡緩衝材)」を窓に貼ると、室温を保ちやすくなる。
これにより、暖房効率が向上し、電気代を抑えることが出来る。
(3)暖房器具を使う場所を限定する
広い部屋全体を暖めるのではなく、「カーテン」や「パーテーション」で空間を区切ることで、暖房器具の効率を上げる。
使用スペースを絞ることで、電気代を節約することが出来る。
(4)床にラグやカーペットを敷く
床が冷えていると、部屋全体の暖かさが損なわれる。
「ラグ」や「カーペット」を敷くことで、足元の冷えを防ぎ、暖房の効率が上がる。
(5)湯たんぽを活用する
「湯たんぽ」は、電気を使わずに手軽に暖が取れるアイテムである。
「湯たんぽ」を布団の中に入れたり、足元に置くだけで、暖かさを感じられ、暖房器具の使用頻度を減らすことが出来る。
(6)こたつをフル活用する
「こたつ」は、電気代が比較的安く済む暖房器具である。
暖房器具を併用せず、「こたつ」だけで過ごす時間を増やすことで、節約につながる。
(7)サーキュレーターで暖気を循環させる
暖房器具を使用すると、暖かい空気が、天井付近に溜まる。
「サーキュレーター」や「扇風機」で、空気を循環させると、部屋全体が均等に暖まり、効率が向上する。
(8)着る毛布や防寒服を着用する
暖房器具に頼りすぎず、「着る毛布」や「保温性の高い衣服」を活用することで、低い設定温度でも、快適に過ごすことが出来る。
「ヒートテック素材」や、「フリース」も効果的である。
(9)加湿器で湿度を上げる
湿度が低いと体感温度が下がる。
「加湿器」を使って、湿度を40~60%程度に保つと、暖房の効率が上がり、より少ないエネルギーで暖かさを感じることが出来る。
(10)電気毛布を活用する
「電気毛布」は、消費電力が非常に少ないため、「電気毛布」を布団の中やソファでの使用に最適である。
「電気毛布」の使用は、エアコンやファンヒーターを併用するよりも、電気代を抑えることが出来る。
少し意外な工夫
以下は、暖房器具の電気代を抑えつつ、少し意外なアイデアや工夫を、10個あげてみよう。
これらは、これまで思いつかなかったようなユニークは方法で、少し手を加えるだけで、電気代を抑えられるものを、ピックアップしてみた。
(11)アルミホイルで反射板を作る
「エアコン」や「ヒーター」の後ろに、「段ボール」や「板」を使って、アルミホイルを貼り付けた反射板を設置する。
これで、熱を室内側に反射させ、暖房効率を高める。
特に、壁に触れて、冷気を吸収しがちな部分に、効果的である。
(12)ペットボトル湯たんぽをDIY
2リットルの「ペットボトル」に、お湯を入れてタオルで包み、足元や膝に置いて、温かさを維持する。
湯たんぽよりも手軽で、低コストだが、十分暖かさを確保できる。
(13)こたつ布団を天井から吊るして小部屋を作る
天井からフックや洗濯ハンガーを吊るし、こたつ布団や厚手のシーツで囲いを作ることで、即席の「暖房ブース」を作る。
狭い空間なので、暖房効率を、劇的に向上させることが出来る。
(14)冷気シャットアウトスカートを使う
机やテーブルに、大きな布を巻き付け、足元をすっぽり覆う「スカート」を作成する。
デスクワーク中に、足元が冷えるのを防ぎ、少ない暖房でも、快適に作業することが出来る。
(15)足元用ペット専用ヒーターを活用
「ペット用の小型ヒーター」は、低電力設計で、「ペット用の小型ヒーター」を、足元や座る場所に使うとコスパが高い。
意外にも、人間にも役立つ、暖房器具である。
(16)ビニール傘で暖房空間を確保
逆さにした「透明なビニール傘」を使い、頭や体を覆うと、熱が逃げにくくなり、簡易的な温室のような効果を得ることが出来る。
作業時や読書の際に、試してみるのが良い。
(17)発泡スチロール箱を椅子にする
「発泡スチロールの箱」を、椅子代わりにして座ると、冷気を遮断しつつ、体温を効率よく維持することが出来る。
座る部分に、クッションを敷けば、快適に過ごすことが出来る。
(18)乾燥米や豆袋をレンジで温める
布袋に、乾燥米や豆を詰めて、電子レンジで温める「即席ヒートバッグ」を作り、膝や肩に乗せる。
30分~1時間ほど保温できるので、暖房器具の節約になる。
(19)風呂場の残り湯を温室効果に利用
お風呂の残り湯を、そのまま放置すると、湯気が部屋の湿度を上げ、体感温度を上げる効果がある。
特に、浴室とリビングが近い場合は、効果が高いが、結露には注意が必要。
(20)靴の中にカイロを入れる
足元からの冷えを防ぐために、靴やスリッパの中に、「カイロ(靴専用タイプ)」を入れると、全身が温まりやすくなる。
足元の温度を確保することで、暖房依存が減る。
実際の節電効果は?
暖房費を抑えるための工夫には、具体的な節電効果が期待できる方法が、いくつか存在する。
これらの工夫を組み合わせることで、暖房費の節約効果を、高めることが可能である。
以下に、主な対策とその効果を紹介しよう。
エアコンの設定温度を適切に調整する
エアコンの設定温度を、1℃下げることで、消費電力を、約5~10%節約できるとされている。
環境省は、冬季のエアコン設定温度として、20℃を推奨しており、これに従うことで、無理のない省エネが可能である。
断熱対策の強化
冬季に、室内から逃げる熱の約58%は、窓からとされている。
「厚手のカーテン」や「断熱シート」を使用し、窓からの熱損失を防ぐことで、暖房効率が向上し、結果的に電気代の節約につながる。
暖房器具の使い分け
家族全員が集まるときは、「エアコン」を使用し、一人のときは、「こたつ」や「電気毛布」を使うなど、状況に応じて、暖房器具を使い分けることで、無駄なエネルギー消費を、抑えることができる。
エアコンの運転方法の工夫
「エアコン」の運転に関しては、短時間の外出時には、「つけっぱなし」にする方が、頻繁にオンオフを繰り返すよりも、消費電力が少なく、電気代が安くなる場合がある。
まとめ
冬の寒さをしのぐためには、暖房器具が欠かせないが、その一方で、電気代の高騰が家計を圧迫している。
しかし、毎日の暮らしの中で、少しずつ工夫を取り入れることで、無理なく暖房費を節約することが、可能である。
ここで、暖房費を抑えるための重要なポイントを、振り返ってみよう。
まず、暖房器具の使い方を工夫することが大切である。
エアコンの設定温度を、20℃に保つだけでも、消費電力を、約5~10%削減できるとされている。
加えて、「サーキュレーター」や「扇風機」を併用し、暖かい空気を部屋全体に循環させれば、エアコンの効率が上がり、短時間で室温が保たれる。
「こたつ」や「電気毛布」など、電気代が安い器具を、上手に使い分けることも効果的だ。
次に、部屋の断熱対策を強化することが、ポイントである。
部屋から逃げる熱の「約6割」は、窓やドアの隙間からであるため、「断熱シート」や「厚手のカーテン」を使うと、大幅な熱損失を防ぐことが出来る。
さらに、「隙間テープ」でドアや窓の隙間を塞ぐと、外気の侵入を防ぎ、暖房効率が格段にアップする。
また、体を直接温める工夫も取り入れたい。
「重ね着」や「ひざ掛け」、「湯たんぽ」を使うことで、暖房器具に頼りすぎずに済む。
特に、寝る前に布団を「電気毛布」や「湯たんぽ」で温めておくことで、快適な睡眠が得られるだけでなく、節電にもつながる。
さらに、家族全員で取り組む姿勢も大事である。
家族が、一つの部屋に集まって過ごすことで、暖房を使う部屋を最小限に抑えられる。
テレビや家事など、普段の生活の中で、一緒に時間を過ごす工夫をすれば、自然と暖房費の節約につながるだろう。
暖房器具自体のメンテナンスや、見直しも忘れてはいけない。
エアコンのフィルターを、定期的に掃除するだけで、無駄な電力消費を抑え、効率よく部屋を暖められる。
また、省エネ性能の高い器具へ買い替えることも、長期的に見れば、節約効果が大きい。
このように、暖房費の節約は、決して難しいことではない。
大掛かりな対策を取らなくても、「温度を少し調整する」「窓にシートを貼る」「ひざ掛けを使う」など、日々の小さな工夫の積み重ねが、結果として、大きな節約につながるのである。
我々の生活は、毎日忙しい。
だからこそ、無理のない範囲で、取り入れられる工夫を、少しずつ試してみても良いだろう。
家計の負担を減らしながら、家族全員が快適に過ごせる冬を目指すことが、何よりも大切である。
できることから少しずつ。
その意識が、節約の第一歩だ。
小さな工夫を積み重ねていけば、気がつけば、家計に嬉しい結果が見えてくるだろう。
この冬は、暖房費節約の工夫を取り入れ、心も体も温かく、家計にもやさしい日々を、過ごしていこう。