社会人としての第一歩を踏み出すと、毎日が新しい発見や挑戦の連続となる。
その中で「もっと効率的に仕事を進めたい」と、感じることも少なくないだろう。
しかし、「業務の効率化」と聞いても、どこから手をつけて良いのか、わからないことが多いはずだ。
効率よく働くことは、ただスピードを上げるだけではない。
日々の業務の中にある「ムリ・ムダ・ムラ」を見つけ出し、改善することがポイントとなる。
ここでは、新入社員の皆さんのために、仕事をスムーズに進め、上司や先輩からの信頼を得るための、具体的な方法を見ていきたい。
「ムリ・ムダ・ムラ」とは
社会人としての第一歩を踏み出した皆さんは、これから新しい環境で、多くのことを学び、経験していくことだろう。
その中で、多くの人が目指すことの1つは「効率よく仕事をすること」だ。
何故なら、時間は、決してあなたを待っていてはくれず、あなたの仕事が出来ても出来なくても、時間は過ぎ去って行くからだ。
しかし、「効率よく仕事をする」というのは、経験を積んでいく中で、徐々に身につくものなのだ。
最初は、難しく感じるかもしれないが、「コツ」を知ることで、一歩ずつ進めることができる。
理想的な作業環境は、「負荷（作業量）」と「能力（キャパシティ）」が均衡している状態である。
「ムリ・ムダ・ムラ」の改善とは、業務や作業の中に潜む、非効率を見つけるための考え方であり、これらをなくすことで、仕事がスムーズになり、生産性が上がるようになる。
簡単に言えば、「無理なことはしない」「無駄を無くす」「ばらつきを無くす」が目標だ。
「ムリ（無理）」とは：やりすぎは禁物！
「ムリ（無理）」とは、負荷が能力を上回っている状況であり、自分に「ムリ」な負担をかけることである。
たとえば、以下のような状況が考えられる。
- 一人で大量の仕事を抱え込んでしまう。（仕事が多すぎる）
- 締め切りがギリギリで、睡眠時間を削って作業する。（締め切りが早すぎる）
- まだ慣れていないのに、いきなり難しい作業を完璧にこなそうとする。（仕事が難しすぎる）
これ等の他にも、自分にとって、（自分の現時点での能力）において、過剰な状態で、「〇〇〇過ぎる」といった状況だ。
- 〇〇〇が多すぎる。
- 〇〇〇が難しすぎる。
- 〇〇〇が早すぎる。
- 〇〇〇が重過ぎる。
- 〇〇〇が高過ぎる。
- 〇〇〇が長すぎる。
何をするのでも、自分の能力を超えて、出来もしないのに、行おうとすることは、何もしないのと同じくらい悪い事であり、まさに、「過ぎたるは なお 及ばざるがごとし」である。
この「ムリ」は、自分の能力の向上によって、仕事の効率も上がり、これまで「ムリ」だと思っていたことが「ムリ」でなくなってくる。
これこそが、「自分の限界を突破」したことの証である。
故に、「自分で自分の限界を作ってはいけない」のだ。
しかし、新入社員にとって、この課題の解決には、経験などを積まなければならないので、即効性が無い事がもどかしい。
「ムダ（無駄）」とは
「ムダ（無駄）」とは、逆に負荷が能力を下回っている状況で、必要のない作業や、時間を無駄に使ってしまうことである。
こんな場面はないだろうか？
- 必要以上に丁寧にやりすぎてしまう。（品質も価値も上がっていない過剰品質のムダ）
- 同じ資料を何度も見直す。（重複、繰り返し作業の時間のムダ）
- 長時間の会議で、結局何も決まらない。（生産性が上がらない時間のムダ）
「ムダ」は、自分の能力に関係がない項目である。
何故なら、「ムダ」とは、自分の能力（経験）に関係がなく、主に「時間をダラダラと使うこと」に言い換えることが出来るので、自分の意識を変え、行動するだけで、「ムダ」の解消は実践できるからだ。
さらに、新入社員にありがちな「ムダ」の例は、以下のようなことが考えられる。
- 物を探す時間の「ムダ」
- 移動する時間の「ムダ」
- 人に聞く時間の「ムダ」
- 人に聞かれ対応する時間の「ムダ」
- 疲労により思考力が低下する時間の「ムダ」
「ムラ（斑）」とは
「ムラ（斑）」は、「ムリ」と「ムダ」の両方が、混在して時間によって現れる状況で、仕事の量や質が、日によってバラバラになることである。
- 忙しい日と暇な日の差が激しい。
- ある日は集中して仕事ができるけれど、別の日はミスが多い。
新入社員は、仕事の量や締め切りなどについて、采配する機会が与えられていないので、一定程度「ムラ」が生じてしまうのは、仕方がないだろう。
とにかく、新入社員は、与えられた仕事を、やりきるしかないのだから。
「ムリ・ムダ・ムラ」の発生原因を知ろう
仕事を進めるうえで、効率の悪さに悩むことがあるかもしれない。
その効率の悪さの多くは、「ムリ・ムダ・ムラ」が原因である。
それでは、なぜ「ムリ・ムダ・ムラ」が発生するのか、その原因を見てみよう。
1. ムリ（無理）が発生する原因
「ムリ」とは、自分の能力以上に、無理な負担や過度な要求がかかることを指す。
このような状況が生まれる原因は、以下の通り。
過剰な目標設定
上司やチーム、又は自分自身で、現実的ではない、高すぎる目標を設定してしまう。
スケジュールの甘さ
作業に必要な時間を、正確に見積もれておらず、作業の期間が短すぎるため、厳しくなる。
リソース不足
必要な人数や道具が足りない状態で仕事を進めるため、一人にかかる負担が多すぎる。
過剰な完璧主義
何でも完璧にやろうとする意識が高すぎるあまり、時間やエネルギーを無駄に使ってしまう。
2. ムダ（無駄）が発生する原因
「ムダ」とは、価値を生まない不要な作業や時間の浪費のこと。
無駄が発生する原因を理解しておくと、改善のヒントが見えてくる。
目的の不明確な作業
なぜその作業をしているのか、目的が曖昧で、ただ「やるべきだから」と続けている。
非効率な業務フロー
手順が複雑すぎたり、無駄な手戻りが発生している。
コミュニケーション不足
誰がどの作業を行うかなど、チーム内の情報共有がうまくいかないため、誤解や重複作業が発生する。
ツールや設備の活用不足
手作業で行っていることを、最新のツールを使い、自動化すれば短縮できるのに、古いやり方を続けている。
3. ムラ（斑・ばらつき）が発生する原因
「ムラ」とは、作業のばらつきや不安定さを指す。
「ムラ」が発生すると、仕事の品質やペースが一定にならず、結果的に効率が下がる。
計画の不徹底
作業の量や順番が計画されていないため、忙しい日と暇な日の差が激しくなる。
スキルや知識の偏り
チームメンバーの中で、特定の人だけが特定の作業をできるスキルがあるため、その人に仕事が集中しがち。
標準化されていない作業
作業方法が人によって違うため、品質や結果にばらつきが生まれる。
外部要因の影響
突発的なトラブルや予期せぬ変更が原因で、予定が狂ってしまう。
原因を知ることで改善が見える
「ムリ・ムダ・ムラ」は、それぞれが独立しているようでいて、実は密接に関わっている。
「ムリ」なスケジュールは、「ムダ」な作業を生み、結果的に「ムラ」（ばらつき）が増えることもある。
「負荷（作業量）」と自分の「能力（キャパシティ）」が均衡している状態が、理想的な作業環境だが、負荷と能力のバランスが崩れると「ムリ・ムダ・ムラ」が発生してしまう。
その原因は、人員配置や生産計画が不適切だと考えられる。
負荷が増えれば、作業が滞り、能力が増えれば、人員が余る状態になる。
このバランスをどのように均衡させるかが、非常に重要になる。
新入社員の皆さんも、仕事を進める中で、これらの原因に気づいたら、上司や先輩と相談して改善策を考えてみよう。
一つひとつ、小さな改善を積み重ねていくことが、効率的な働き方への第一歩となる。
原因を理解することで、効率的な働き方に近づけるのだ！
「ムリ・ムダ・ムラ」を解消する簡単なコツ
繰り返しになるが、仕事を効率よく進めるためには、「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことが大切である。
しかし、どうやって解消すればいいのか、悩むこともあるだろう。
ここでは、シンプルでわかりやすい「コツ」をお伝えしよう！
「ムリ」を無くすコツ
「ムリ」をすると、体力や気持ちに余裕がなくなり、ミスにつながる。
「ムリ」を減らすために、こんな工夫をしてみよう。
相談する勇気を持とう！
先輩や上司に相談することで、無理のない範囲で仕事を進める方法が見つかる。
困ったときは、先輩や上司に「ちょっと助けてください」と声をかけるだけで、無理な負担が減るだろう。
休むことも仕事のうち！
十分な休息を取ることで、頭も体もリフレッシュして、より効率的に働くことが出来る。
疲れたときには、思い切って休むことも大切。
元気な体と頭で、仕事に取り組む方が、結局効率が良くなるのだ。
仕事を優先順位で整理しよう！
すぐやるべき仕事と、後でもいい仕事を分けることで、余裕を持って進める事ができる。
どの仕事の優先順位が高いかを判断するには、今の自分の能力によって変わるし、仕事の内容や難易度、閉め切り日などを把握していないと、仕分けできない。
最低限でも、自分の能力レベルがどれ位かを、知る必要がある。
「ムダ」を無くすコツ
「ムダ」な作業や時間は、不要な作業を減らせば、その分仕事が楽になる。
「これって本当に必要？」と考えよう！
やらなくてもいいことをやっていないか、一度立ち止まって見直してみよう。
「これはやる意味があるのか？」と自分に問いかけてみると良い。
しかし、新入社員にとって、上司や先輩から与えられた作業が、必要か不要かを判断することは難しいので、仕事の内容を自分なりに解釈することが必要になる。
シンプルに考える！
完璧を目指しすぎず、「まずはやってみる」ことが大切である。
自分の能力を過剰評価すると、高い目標を設定しがちで、分からない事が増え、勉強から始めなくてはならなくなる。
そもそも、上司や先輩は、新入社員に対し、難しい仕事は与えていないものだ。
効率的な道具を使う！
表計算ソフト（Excel）やタスク管理アプリなど、便利なツールを積極的に使うことで、時間を節約することが出来る。
「ムラ」を無くすコツ
仕事の「ムラ」「ばらつき」を減らせば、安定した結果を出すことが出来る。
計画を立てよう！
1日のスケジュールをざっくりと決めておくと、忙しい日と暇な日の差が少なくなり、仕事の質のばらつきも減る。
ルーティンを作る！
毎日同じ時間に同じ作業をすることで、仕事のリズムが安定する。
例えば、朝はメールチェック、午後は資料作成といったように、自分なりのルーティンを作るとムラが減る。
チームで情報を共有する！
一人で抱え込まず、進捗状況や課題をチームで共有することで、仕事の流れがスムーズになる。
仕事以外の普段から、チームの皆と話（雑談、世間話、相手の興味や関心ごとなどについて）をすることで、仕事の話や相談もし易くなる。
まとめ
「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすための「コツ」は、最初は小さなことからでOK。
「ムリしない」「ムダを減らす」「リズムを整える」
この3つを意識するだけで、少しずつ仕事が楽になり、成果も上がるはず。
「ムリ・ムダ・ムラ」を意識して働くことで、少しずつ効率が良くなり、余裕も生まれる。
最初から完璧を目指す必要はない。
まずは、自分ができることから、取り組んでみよう。
経験を積むうちに、自分に合った効率的な働き方が見つかるはずだ。
焦らず、毎日少しずつ、改善していこう！
